FC刈谷vsFC岐阜セカンド:観戦レポート

地域リーグを追いかけているといろいろ得をすることがある。それはシーズンを同時に9つ楽しめること。9つのリーグがあれば9回の開幕を迎えることができ、9つの優勝チームが生まれ、かけるチーム数分のドラマを知ることができる。全地域をカヴァーしようとする物好きは少ないかもしれないが、悪くはないので試してみてはいかがでしょう。

5月7日に地域リーグ7つ目の開幕を迎えたのは東海社会人リーグ。リーグプレビューはさておき、この日はウェーブスタジアム刈谷FC刈谷FC岐阜セカンドが対峙することとなった。

FC刈谷は昨年の東海社会人リーグ1部で2位。藤枝MYFCに独走を許してしまい、JFL復帰どころか全国大会への出場も果たせずに終わってしまった。今年は昨年の雪辱を果たす。

FC岐阜セカンドはJ2FC岐阜のセカンドチーム。昨年は東海社会人リーグ2部に所属しており、所属1年で優勝を果たした。セカンドとしては初めての東海社会人リーグ1部を戦うことになる。

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FC刈谷、押されながらもワンチャンスを生かす

FC刈谷のキックオフで始まった試合はFC岐阜セカンドが優位に進める。FC岐阜セカンドは中央と左サイドでボールを交換しながら左サイドを縦に突破。アクセントのように右サイドからの攻撃を織り交ぜながらFC刈谷を押し込んだ。FC刈谷は押されながらも冷静にFC岐阜セカンドの攻撃に対応。決定的なパスを前線に収めさせなかった。

怒涛の攻撃に耐えていると不意にチャンスが訪れるもの。開始3分、FC刈谷はカウンターの機会を得ると、11中山康弘が左サイドを縦に突破。中山は持ち前のスピードでFC岐阜セカンドの守備を置き去りにすると、ペナルティエリアに十分侵入した所でマイナスのクロスを送った。このクロスは中央に走り込んでいた選手に合わず、FC岐阜セカンドの守備に阻まれてしまった。

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・・かと思いきや、戻りながらの守備がいかに難しいかというのを目の当たりにすることになる。FC岐阜セカンドの守備が足で捉えたはずのボールは程よい起動調整を受けてゴールネットに吸い込まれた。
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ホームのFC刈谷が今シーズン最初のチャンスを先制ゴールに結びつけた。

FC岐阜セカンド、攻めどゴールは遠く・・

14分には左サイドバックに入っていた5吉岡拓郎が左サイドからペナルティエリア内に侵入。プロセスは違えどFC刈谷の先制シーンと同じ状況を迎えた。

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折り返してあとは合わせれば得点。千載一遇の場面で送られたクロスは味方の足を捉えることができずに逆サイドに流れていってしまった。

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攻めど攻めきれないFC岐阜セカンド。もどかしい時間を多く過ごすこととなったが、ゴールの匂いが途絶えることはなかった。

ついに掴んだ同点弾

後半に入ってもFC岐阜セカンドが攻勢にすすめる展開は変わらない。そしてついにFC岐阜セカンドはしぶとく攻めた効果を数字に示すこととなる。後半7分、FC岐阜セカンドは左サイドから中央へボールを送る。送られたボールは中央で構えていた29細野元伸の足元へ渡った。

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ボールを受けた細野は左足で簡単にボールの軌道を変えてみせる。ボールは前目のポジションをとっていたGK園田の右脇を通り過ぎて行き、ゴールネットを揺らした。

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FC岐阜セカンドが前半からの流れをようやく掴み、ついに同点に追いついた。

クロスがゴールに・・ラッキーゴールが逆転弾

同点に追いつかれたFC刈谷。押されているとあって逃げ切りたいところだったがそうはいかなかった。しかし追いつかれたことを嘆いても仕方が無い。ターゲットとなっていたFC岐阜セカンドの細野のマークを厳重にし、攻撃に転じるときは上がってきた両サイドバックの裏を使うなど相手に合わせた対応をとった。しかしながらFC刈谷FC岐阜セカンドの勢いを殺すことに成功はしたものの、流れを変えることはなかった。

後半22分、FC岐阜セカンドは14瀬古朋広が左サイドからクロスを送り込む。ファーサイドを目指したボールは十分に伸び切らず、味方にたどり着くことなくゴールラインを割ろうとした。GK園田友彦は下がりながらボールの行く末を見届けようとした。ところがGK園田の目測は誤っていた。大きな弧を描いたボールはゴール右ポストを直撃。跳ね返ったボールはゴール左サイドネットを揺らしてしまった。

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もがくFC刈谷・・劣勢覆せず

ついに逆転を許してしまったFC刈谷。今まではさんざん引きこもっていたが、いよいよ攻撃的な姿勢を見せなければならない。ところがFC刈谷は重心を低くしたままだった。どうやら勘違いしていたらしい。FC刈谷の攻撃パターンはカウンターがメイン。低く引いて、十分に引きつけたところで空いたスペースを一気に突破するのがFC刈谷の攻撃だった。

残り時間も少なくなり、焦りを見せるスタンド。ボールを持った11中山康弘が左サイドを一気に駆け上がると、「イケイケイケー!」の子供達の掛け声とともに熱気を帯びた。ここはホーム、ウェーブスタジアム刈谷

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最後の最後まで意地を見せたFC刈谷だったが、ついに2得点目は奪えなかった。2011年東海社会人リーグ1部開幕戦はFC岐阜セカンドが逆転でFC刈谷に勝利した。

伝説は再び訪れるか

東海社会人リーグ1部昇格初戦。FC岐阜セカンドの開幕逆転勝利は、かつて怒涛の快進撃で東海社会人リーグからJリーグまで上り詰めたトップチームの後を追随するかのようだ。トップチームだけで精一杯な感があるFC岐阜のセカンドチーム。このチームが日本サッカーのピラミッドにおいて実際にどこまで求められているのかは定かではない。この際、そんなシビアな世界の話は無視して夢を見てみようじゃないか。そのときFC岐阜セカンドはどこまで上り詰めることができるのだろうか。

今日の試合を見る限りにおいてFC刈谷を圧倒した攻撃力と中盤の構成力は見逃せない。優勝候補であろう藤枝MYFCが今季どれだけやれるのかはまだ分からないが、少なくとも同等の力はあるらしい。左サイドを突破する迫力は十分に武器になりうるし、先日の全社岐阜県予選でも決勝点を決めたFW細野元伸のシュート精度は安心して見ていられる。前半早々に押し込んでおきながら失点を許すなど、試合運びの面で甘さは見せるものの、足元の技術がものをいう東海社会人リーグを戦うにおいてはさほど重要ではない。トップチームの伝説を再現してみるのもさほど悪くはないのではないだろうか。

来年岐阜県で開催される国体の強化チームとしての意義をも果たすFC岐阜セカンド。本番は来年だが全国の舞台で岐阜のチームがどれだけやれるかというのを示しておくのも悪くなかろう。FC岐阜セカンドの東海社会人リーグ1部での躍進にも期待したい。

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ウェーブスタジアム刈谷の変わらぬ光景

不覚にも東海社会人リーグの2年目を戦うこととなったFC刈谷。苦しいチーム状況を小耳に挟んでいたので、ある程度の覚悟はして2年ぶりのウェーブスタジアム刈谷に足を運んだ。ところがそれは無駄な覚悟だったらしい。いざ会場に着いてみると、ずらっとFC刈谷ののぼりが飾られ、まさかのケータリングカーが2店。グッズ販売からマッチデープログラムまで用意されていた。会場にくる前に値段の割に合わない味噌カツを食べたことを激しく後悔したのは余計な情報か。ピッチはスポンサー看板で飾られ、大型掲示板は必要な情報をきちんと掲示していた。スタンドには526人もの観客が訪れており、ゴール裏からは聞き慣れた応援と変わらぬトランペットの音色が響いていた。2年前にJFLの舞台で見たあの光景そのままだ。

試合前、刈谷市長は挨拶をする中で意外な言葉を発した。「(FC刈谷には)今年こそ是非、JFLへの挑戦権を獲得し頑張ってくれるよう皆さんで応援をしていただきたい。」義理で挨拶をしたのならば「挑戦権を獲得」などという難しい表現はわざわざ出てこない。「JFL昇格を目指して」くらいが適度になるはずだ。わざわざ「挑戦権を獲得」という言い方をしたところに含みを感じざるをえない。それはFC刈谷が刈谷市で果たすべき役割はJFLに存在することが絶対ではないということを主張しているかのようだった。

JFL昇格を目指すのは当然。FC刈谷はそれ以上に刈谷市で刈谷市を代表する市民クラブという役割を担っていると感じた。スポンサーは減ったかもしれないが、変わらずに支援している企業は存在する。観客も減ったかもしれないが、地域リーグでまして東海リーグで526人というのは異常に多い。降格して変わらないというのがいかに難しいことか。これも変わらず支援している刈谷市と企業やサポーターがあってのものなのだろう。今は苦しいかもしれない。でもFC刈谷は大切なものを全く失っていない。いつしかFC刈谷がJFLの舞台に大きくなって帰ってくることを心待ちにしています。

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