Y.S.C.C.vsAC長野パルセイロ:観戦レポート

1年間の全てが決まる最終日。3連戦の最終日とあって疲労が選手を襲う。最後は目の前の敵との戦いであり、自分自身との戦いでもある。気候との戦いとならなかったのはお天道様に感謝をし、ピッチとの戦いとならなかったのは開催地である市原市に心から感謝をしたい。
地域リーグ決勝大会決勝ラウンド3日目第1試合「YSCCvsAC長野パルセイロ」。YSCCはここまで勝ち点ゼロ。自動昇格の目はなくなり、3位ですら自力で決められない背水の状態だ。YSCCがJFL昇格を果たすにはこの試合での勝利が最低条件となる。第2試合の結果も気になるが、まずは勝たなければ話が先に進まない。スタジアムには土曜に行われた2日目に引き続いて多くのサポーター・フォロアーがかけつけており、加えてJリーグの日程を終えた関東在住のJサポーターも集結。関東代表YSCCにエールを送った。
AC長野パルセイロは勝ち点を1以上獲得すればJFL自動昇格が決定する。更に優勝を狙うのであれば勝ち点3が欲しいところ。欲を出すか、JFL昇格という目標を果たすべく現実的な戦い方をするかにひとつ焦点が集まった。この日も多くの長野サポーターが臨海に集結。正真正銘のアウェイを前に、2日目に三洋電機洲本を圧倒したほどの空気は作れなかったが、軽快なリズムの応援で場を盛り上げた。

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慎重な出だしからスピードアップ

試合は運命の一戦とは思えぬほど、ゆっくりとした展開で始まった。2日間も激闘を続けてきたのだから無理もない。同じメンバーで戦ってきたAC長野パルセイロはともかくとして、選手を入れ替えながら戦ったYSCCですら疲労を隠しきれてなかった。それでも両者はチャンスエリアできちんとスピードアップ。決してスコアレスでやり過ごす気はなかったらしい。
試合は両サイドの裏を効果的に使ったYSCCが徐々にペースをつかむ。19分、YSCCは左からAC長野パルセイロのゴール前へと侵入することに成功する。裏へのパス一本で抜け出したのは31青田翔。青田はスルーパスに対して飛び出してきていたGK諏訪の目の前でボールを奪った。あとはゴールに放り込むのみと思われたが、AC長野パルセイロのDF籾谷真弘にきちんと対応されてしまった。

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前半のAC長野パルセイロは決して無理をしなかった。攻めるにしても守備のラインを崩すことなく、最小限の人数で攻める。勝ちたい聞い持ちも伝わったが、JFL昇格という目標を見据えた現実的な戦い方も忘れなかった。

後半から長野始動

後半に入ると、ようやくAC長野パルセイロが動き出す。後半4分、AC長野パルセイロは10宇野沢祐次が左サイドからペナルティエリア内に侵入すると、GK浜村を十分に引きつけてから中央へ折り返した。折り返した先にいたのは9佐藤大典。佐藤はぽっかりと空いたゴールへ向けて丁寧にボールをけり込んだ。

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しかし、1点もののチャンスはゴール前に残っていたDF松田康佑に体でブロックされてしまう。こぼれたボールを13藤田信が逃さず蹴り込もうとしたが、松田にしっかりと詰められていた。

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なぶる様にしつこく攻めてくるAC長野パルセイロ。YSCCはAC長野パルセイロの攻撃を中央を固める形で跳ね返し続けた。中でも注目を集めたのは、この日DFに入った松田康祐。松田は守備の穴を埋めるかのように常に相手のシュートコースに立ち、AC長野パルセイロの決定的なシュートをことごとく跳ね返し続けた。それはまるでGKが2人いるよう。松田のシュートコースを予測する力を前に、AC長野パルセイロの2トップの正確なシュートが仇となった様にも見えた。かくしてYSCCはこの試合を無失点で終えるのだが、MVPを挙げるとしたら松田康祐で間違いない。

1点が遠いYSCC

AC長野パルセイロの攻撃を凌ぎつつ、YSCCはカウンターを中心に攻撃を仕掛ける。後半14分、YSCCはボールをもった31青田翔が右サイドから縦にペナルティエリア内に侵入する。青田は中央に味方が走り込んでいることを確認して折り返した。中央はGKを除いて2対1の数的優位。ひとつ判断を変えていたら状況は変わっていたかもしれない。足元でボールを受けた9福井和基は単純にゴールへ蹴り込もうとしてDFに阻まれた。

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YSCCはカウンターから厚みのある攻撃を仕掛けたが、連戦の疲れも手伝って崩しきれなかった。試合は90分を戦ってスコアレスドロー。AC長野パルセイロの2位とYSCCの4位が決まった。

2年連続の失敗

YSCCは昨年に続いて決勝ラウンド敗退が決まってからPK戦を戦うことになった。PK戦は目標を達成して緊張の糸が切れたAC長野パルセイロがPKを4人中3人が失敗。対して3人全員が決めたYSCCが勝利した。
3日間の戦いに敗れてなお最後まで戦い抜いたYSCCに最大の拍手を送りたい。そう締めれば聞こえはいいが、2年連続で同じ舞台で同じ形で敗れたことについては重く捉えたいところ。YSCCの弱点と言われているのが安定して選手が集まらないことだ。しかし今回は常にフルメンバーを揃えることが出来た上に、地の利を生かして前日合宿も行った。その上3チームのスカウティングも完ぺきと言えた。準備は万端だった。
しかしながら、YSCCにはまだ決定的に欠けているピースが必ずある。関東リーグでいかにそれを見つけられるか、実装できるかが来年もこの舞台に帰ってこれるかどうかへと繋がる。しかし心配はしていない。昨年の悔しさを胸に、今年はしっかりとパワーアップをして帰ってきた。YSCCが本気でJFLを目指している限り、また来年もこの舞台に戻ってくることだろう。

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ありがとう北信越、こんにちはJFL

AC長野パルセイロは最終的にPKで敗れた。積年の思いを達成したのだから気持ちが切れてしまうのも無理もない。疲れ果てたオレンジのイレブンは黒い記念Tシャツに着替えると、確かに掴んだ現実をゆっくりと確かめるように、徐々にテンションを上げた。
黒きオレンジ軍団が向かった先はオレンジのゴール裏。彼岸で行われたそれは報道のカメラに囲まれてまるで何が行われているか見えなかったが、歓喜だけは溢れるように伝わってきた。
正直、AC長野パルセイロのサポーターがこれほど市原臨海に来るとは思ってもいなかった。昨年の全社で見た時は目測で数えられる程度。それがどうだろう、今年の市原臨海にはそれを大きく上回る120人近くの声出しサポーターが集まっていた。メインスタンドにも多くのファンがいたのでそれも合わせると200人はいただろうか。山口での全社に来ていたサポーターが片手で数える程度だったので、なおさら衝撃的だった。
3回目の挑戦でようやく到達したJFL。昨年は北信越リーグでしのぎを削った2チームがJFL昇格を果たしたため、JAPANサッカーカレッジと共に取り残される形となってしまった。シーズンオフには胸スポンサーからAOKIが撤退。監督も長く指揮をとっていたバドゥ・ビエイラが退任。沖縄かりゆしFCや静岡FCなど消えていくチームがいるなか、同じ末路をたどることすら囁かれた。
それでも主力選手の多くが今年もチームに残留。最後のチャンスとばかりにFW宇野沢やGK諏訪らピンポイントでの補強を行った。緊張感を失った北信越リーグでも常に全力で戦い、断トツの成績で優勝を果たした。全社ではチーム一丸となって戦う姿勢で粘り強く戦い、準優勝に輝いた。地域決勝ではそれらの力を総合的に発揮して勝ち抜いた。多くのサポーターが加わった。満を持してのJFL昇格だ。おめでとう、AC長野パルセイロ

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