カマタマーレ讃岐vsAC長野パルセイロ:観戦レポート

長い長い5日間もいよいよ最後の戦いとなった。地獄のトーナメントのファイナリストに名乗りをあげたのは四国王者カマタマーレ讃岐と北信越王者AC長野パルセイロ。共に地域リーグ決勝大会への出場は決めていたので、この大会には「優勝」を目標に戦ってきた。
カマタマーレ讃岐は図抜けた守備力で各地域の強豪チームの攻撃を封じ、ここまで無失点で勝ち上がってきた。AC長野パルセイロは初戦で九州王者HOYOに勝利すると、2回戦からは3試合連続で延長戦を戦ってしぶとく勝ち上がってきた。
スマートなカマタマーレ讃岐と根性のAC長野パルセイロ。栄冠を目の前にした2つの力が今ぶつかり合う。

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我慢の決勝戦

決勝と言えばスペクタクルな展開を期待しがちだが、5日間5連戦の決勝にそれを求めてはいけない。4連戦を勝ち抜いて疲れきっている両者は前半から飛ばすことなく、ゆっくりと試合を進めた。
膠着したまま時は進む。AC長野パルセイロが攻勢で試合を進めるのだが、攻撃に人数を割かないために単発の攻撃に終始する。カマタマーレ讃岐の攻撃も、使いたい最終ライン裏のスペースを潰されてしまって上手に攻撃出来なかった。まだ勝負の時間帯ではない。我慢の時間が続いた前半はスコアレスで終える。

動き出した後半戦

「押し上げよう!押し上げよう!」ハーフタイムにそう言ってベンチからピッチに向かったのはAC長野パルセイロ。いよいよ本領発揮か。面白い試合になりそうだ。
しかしながら、もはや限界だったらしい。AC長野パルセイロの攻撃は激しさを増すどころか、衰えを隠すので精一杯だった。
後半から勝負にきたのはAC長野パルセイロだけではない。カマタマーレ讃岐も最後の力を振り絞る様に長野ゴールを襲った。後半12分、カマタマーレ讃岐は右サイドでFKを得ると、8下松祐がゴール前へボールを送った。送ったボールはAC長野パルセイロの守備に跳ね返されてしまったが、こぼれ球をカマタマーレ讃岐の15綱田大志が拾うことになる。綱田は迷わず左足を振り抜いた。放たれたボールは一直線にゴール左隅を目指したが、僅かに逸れてしまった。

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後半15分、今度はAC長野パルセイロのチャンス。左後方のFKからゴール前に送られたボールはファーサイドに抜け出していた21本城宏紀に渡る。ゴール前に立ちはだかっているのはGK家木大輔ただ一人。シュート態勢を取れなかった本城は背後にいた2籾谷真弘にチャンスを委ねる。籾谷は左足でボールをゴールへ送り込んだ。・・かに見えたが、ボールがが揺らしたのはサイドネットだった。AC長野パルセイロはこれ以上無いチャンスをものに出来なかった。

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カマタマーレ讃岐、ベストゴールで先制

後半21分、カマタマーレ讃岐は21岡本秀雄が右サイドの突破に成功すると、中央へマイナスに折り返す。AC長野パルセイロの守備はこの時しっかりと引いており、この時点で決定機になるとは思わなかった。しかしカマタマーレ讃岐にはそれをゴールに結びつけてしまう力があった。ボールが向かった先にいたのは8下松祐。下松は難しい体勢ながらボレーでボールを捕らえると、ボールは誰にも阻まれる事なく一直線にゴールネットへ突き刺さった。

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目の覚めるボレーシュートは間違いなく本大会ベストゴール。決勝戦らしい素晴らしいシュートでカマタマーレ讃岐が先制に成功した。

カマタマーレ讃岐が勝負を決める追加点

試合がいよいよ動き出した。余裕が出来たカマタマーレ讃岐に対してAC長野パルセイロはDF籾谷ら守備を優先していた選手すら前線に送り込んでパワープレーを仕掛ける。これが吉と出るか凶と出るか。
AC長野パルセイロのパワープレーは凶と出た。カマタマーレ讃岐AC長野パルセイロの最終ラインが欠けたところを逃さなかった。カマタマーレ讃岐はカウンターからボールを持った14斎藤良平が左サイドからペナルティエリア内に簡単に侵入する。数的優位となり、得点は間違いなくなった。斎藤は中央をフリーで走りこんで来た13森田栄治へボールを送ると、森田はそれを難なくゴールへと放り込んだ。

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2点目が入ったところで勝負あり。カマタマーレ讃岐は2-0で決勝を制して全国社会人サッカー選手権大会優勝を勝ち取った。また、カマタマーレ讃岐の優勝は四国勢として初の全社制覇でもあった。

カマタマーレ讃岐、地域決勝突破へ着々

先日、徳島スポーツヴィレッジで観戦した四国リーグ「三洋電機徳島vsカマタマーレ讃岐」を思い出す。全社を勝ち抜くほど力をつけていたことは見抜けなかったが、確実に昨年までより力をつけていたことは感じられた。
それはともかく、印象的だったのが同試合のハーフタイムの出来事。カマタマーレ讃岐は前半で3点のリードを奪っていたのに関わらず、監督から怒号が起きた。「一つのプレーを大切にしろ。最後まで諦めるな。この程度の暑さでへばっていたら、3連戦の地域決勝はもっとしんどいぞ。」カマタマーレ讃岐はただ勝つためのサッカーを目指しているのではなかった。地域決勝を勝ち抜くためのサッカーを目指していた。連戦に対応するための試合運びと粘り強さを普段から準備していたのだ。
かくして、カマタマーレ讃岐は5連戦を無失点で乗り越えた。カマタマーレ讃岐の地域決勝へ向けた準備は順調すぎるくらいに進んでいることをこの大会で証明してみせたことになる。
しかし、まだ何も手にしていない。カマタマーレ讃岐の目標は地域決勝を勝ち抜いてJFLに昇格すること。全社優勝は模試で好成績を記録したに過ぎない。模試で好成績を残した分、本番の試験である地域リーグ決勝大会では確実にマークがきつくなる。もっと厳しい戦いが待っている。カマタマーレ讃岐の勝負はここからだ。

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楽しんで勝つ長野パルセイロ

根性と勝負強さで2年ぶりの決勝まで上り詰めたAC長野パルセイロ。疲弊しながらも地域決勝を勝ち抜く為の武器を随所に示してくれた。素早いパス交換からの中央突破はベストコンディションならば強固なカマタマーレ讃岐の守備すら切り裂くことだろう。
それよりも印象的だったのがチーム全体が楽しそうにサッカーをしていたことだ。AC長野パルセイロが所属する北信越リーグといえば、「無駄に熱い北信越」と言われた昨年までの悲壮感漂うイメージが強い。勝つのに一生懸命で勝負に真剣といった感じだ。
今回、AC長野パルセイロに抱くイメージを塗り替えることになった。AC長野パルセイロはどんなに苦しい状態に追い込まれても、延長を戦う羽目になっても、前向きだった。真剣勝負の中でも笑顔を絶やさないチームだった。今回、観戦した中では最も雰囲気がよかった様に思える。
全社では両チームと審判団が横一列に並んでピッチに入場するのだが、AC長野パルセイロの選手は11人全員が手を繋いで入場していた。AC長野パルセイロの雰囲気の良さを象徴するシーンだった。このチームのまとまりは必ずやミラクルを起こす要因の一つになることだろう。

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麺類ダービー「うどんvsそば」

カマタマーレ讃岐の本拠地香川県の名物はうどん。AC長野パルセイロの本拠地長野県の名物は蕎麦。ネタとは言え、うどんと蕎麦の「麺類ダービー」と呼ばれたこの対戦、奇しくも地域リーグ決勝大会一次ラウンドで再現されることになった。このダービー、どうやら名だけにはならなさそうだ。今後、名勝負「麺類ダービー」は必見となる。

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