福島ユナイテッドFCvsAC長野パルセイロ:観戦レポート

準決勝第2試合は福島ユナイテッドFCAC長野パルセイロが対戦。福島ユナイテッドFCは3回戦の結果で本大会の目的であった地域リーグ決勝大会出場を決定。目的を果たした福島ユナイテッドFCがこの試合をどう臨むかが一つの焦点となった。3大会連続でベスト4入りを果たしたAC長野パルセイロは2年ぶりの優勝を目指す。しかしAC長野パルセイロは2回戦、3回戦連続で延長戦を戦っており、疲弊している。この試合は優勝に対する執着心を計る試合となった。
両チーム大きくメンバーを入れ替えて臨んだ。福島ユナイテッドFCは攻撃の要である久野純弥がベンチ外。ほか主要メンバーは殆どベンチに控えていた。AC長野パルセイロも流石にメンバーを入れ替えて臨んだ。前試合前半で退いた要田勇一こそスタメンに名を連ねたが、多くの主力が控えに回っていた。

見所なき前半戦

試合はAC長野パルセイロの攻勢で進む。AC長野パルセイロは持ち前のパスサッカーを披露する。披露するのだが、それは中盤以下に限られた。中盤の構成が変わるとここまで違うものなのか。AC長野パルセイロはボールキープしながらも、単調なパス回しではなかなか前方へ攻め入る事が出来なかった。
福島ユナイテッドFCAC長野パルセイロからボールを奪えず苦しむ。よく言えばAC長野パルセイロの攻撃を高い位置で防ぎ続けた。攻撃に転じるときはサイドの高い位置に配球して攻撃の起点とする。起点とするのだが攻撃は出きなかった。
低調な前半は両者ノーチャンス。私はいいシーンのメモを取りながら観戦するのだが、一切メモをする事なく時間だけが経過した。この試合はどこでオチがつくのだろうか。

長野パルセイロがワンチャンスから先制

拮抗した試合を打ち破る力がAC長野パルセイロにはあった。36分、左サイドを駆け上がった5大橋良隆は簡単にクロスを配球する。中央で待ち構えていたのは11要田勇一。要田は難しい態勢ながら頭でそれを捕えてゴールネットを揺らした。

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前半唯一の見せ所を作ったAC長野パルセイロが効率よく先制した。ところで、前半のシュート数はAC長野パルセイロが3本に対して福島ユナイテッドFCが0本。試合はこのまま消化されていってしまうのか。

反撃のユナイテッド

後半に入ると、先制された福島ユナイテッドFCがひとまず動く。福島UはMFの28伊藤卓也を投入した。
福島ユナイテッドFCは伊藤の投入で息を吹き返す。福島Uは伊藤が右サイドに攻撃の起点を作るようになった事で攻撃の幅が広がった。AC長野パルセイロのワンサイドゲームの様になっていた試合は一気にひっくり返る。福島ユナイテッドFCは得意としているサイドのコンビネーションから長野を崩して攻撃を仕掛けた。勢い付いてきたところで福島ユナイテッドFCはベンチに控えていた9小林康剛と27平岡佑太の2トップを投入する。試合は一気に加速することになる。
福島ユナイテッドFCの2トップが投入された直後の24分、事故が起こる。AC長野パルセイロは福島Uの攻撃を防ぐと、最後はGK諏訪が大きく蹴り出そうとした。疲労からきたミスなのか、集中を欠いていたからかは分からない。諏訪が蹴り出したボールは目の前にいた長野のDFに当たってしまう。これが痛恨のミスとなってしまう。当たって転がった先にいたのは入りたての9小林康剛。小林はそれを難なくゴールへ放り込んで同点ゴールとした。

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AC長野パルセイロはすぐさま主力の21籾谷真弘と7土橋宏由樹を投入して本気モードへ移行。3試合連続の延長戦は免れたかったが、叶わなかった。

ピンチ一転し歓喜

延長戦が始まるとまたしても事故が起こる。今度は福島ユナイテッドFCの身に起きた。28伊藤卓也が怪我で戦線を離脱してしまったのだ。伊藤は後半から入ってきて福島ユナイテッドFCの攻撃の核となっていただけにダメージは大きい。それもそうだが、交代枠を使いきっているがために伊藤の離脱で福島ユナイテッドFCは10人で試合をする事を強いられる。福島Uもここで終わりか。流石に一人少ない状態でAC長野パルセイロに勝つのは難しい。
サッカーは本当に何があるのか分からないものだ。延長前半6分、福島ユナイテッドFCはペナルティエリア内で平岡がボールをキープする。すぐに長野パルセイロの守備が平岡を包囲した。この態勢ではまともにゴールを狙う事など出来ない。そう思った次の瞬間、平岡は山なりにボールを蹴り出すと、ボールは綺麗にGK諏訪の頭上を越えてゴールへと吸い込まれた。

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途中出場の小林と平岡がシュート1本ずつを放って2得点。役者がきちんと仕事をこなして効率よく得点を重ねた福島ユナイテッドFCが遂に逆転に成功した。

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しぶとくひっくり返した長野

逆転に成功した福島ユナイテッドFCだったが、やはり一人少ない状態でAC長野パルセイロに勝つのは難しかったらしい。AC長野パルセイロは逆転直後の延長前半7分、14高野耕平が右サイドを突破すると、中をよく見て折り返す。折り返した先にいたのは11要田勇一。要田はボールを受けると勢いよく右足を振り抜いてボールをゴールネットに突き刺した。

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同点で波に乗るAC長野パルセイロは延長前半ロスタイム、左サイドから上げられたクロスに高野耕平が頭で合わせてゴールネットを揺らす。これが真の勝負強さと言うべきか。AC長野パルセイロがあっさりと逆転した。

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とどめは延長後半10分、カウンターから一人抜け出した要田勇一がボールを持ってペナルティエリア内へ侵入する。要田にそこでボールを持たされたら終わったも同然だ。要田は一度切り返して迫ってきた守備を振り切ると、落ち着いてボールをゴールへと放り込んだ。

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消化試合なんかじゃない

全社と言えば敗者復活トーナメントという性質上、殺伐とした雰囲気をイメージしがちだ。実際、
昨日までの全社は死闘という言葉が似合う、辛く苦しい試合ばかりだった。しかし全社枠が決まった以上、もう殺伐とする必要はない。全社は本来の社会人チームの頂点を極める意味を取り戻した。
この日の2試合は選手一人一人が楽しそうにプレーしてたのが印象的だった。特にAC長野パルセイロの選手からは強くそれを感じた。3試合連続での延長戦に突入した時の表情が忘れられない。それは本当にサッカーを楽しんでいる顔だった。あんなに活き活きとサッカーをしているAC長野パルセイロを見るのは初めてかもしれない。
チーム存亡すら賭けて全社枠取得を目指す悲愴感漂う全社も緊張感があっていいが、純粋に優勝を目指す全社も悪くない。そう思った準決勝だった。

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