藤枝MYFC初蹴りレポート

 新年明けましておめでとうございます。今年も龍星ひかると「ここからJリーグ」をよろしくお願いします。・・と申しましても、ご存知のようにサッカー界はまだ2009シーズンを終えていません。高校サッカーをはじめとした学生の大会もそうですが、地域リーグでも府県リーグ決勝大会などの地域リーグ昇格を賭けた戦いを残しています。その辺の情報も追々まとめられたらと思います。今回は新年一発目ということで、藤枝MYFCが主催した初蹴りイベントの様子をお伝えします。

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WEBから生まれた新時代のチーム、藤枝MYFC

 藤枝MYFC(マイエフシー)はその名のとおり静岡県藤枝市をホームタウンにJリーグ参入を目指しているクラブチーム。今年は静岡県リーグ1部を舞台に戦うことになる。一見、ごく普通のクラブチームのようだが、実態はかなり特殊なチームだ。特殊なのはネットの住人が「オーナー(有料会員)」となってクラブの運営をしていること。MYFCのサイトに行くと会員登録することができ、そこを通してクラブに出資する代わりにオーナーとしての権利を得ることができる。オーナーは専用の掲示板を用いてクラブの運営に関する議論をし、重要な決定は全て投票で行う。これ以上の説明は割愛するが、とにかく藤枝MYFCの運営は非常に不思議なシステムになっているのだ。

 チームはスーパーバイザに“世界の釜本”こと釜本邦茂が就任しており、監督には元清水エスパルスの斉藤俊秀が選手兼任で就任している。選手にも元浦和レッズの酒井友之や横山拓也、元清水エスパルスの吉田康弘など県リーグの規格を超えたメンバーを揃えている。

1部はふれあいイベント、2部はドリームカップ

 この初蹴りイベントは2部に分けられる。1部は地域の子供を交えた初蹴り大会。2部は藤枝ドリームカップと称されて藤枝MYFCと藤枝ドリームスの試合が予定されていた。藤枝ドリームスとはこの日のために結成された藤枝地域出身選手による選抜チームとなる。この藤枝ドリームスにはコンサドーレ札幌への移籍で時の人になっている中山雅史や1週間後に引退試合を迎える名波浩といった著名な選手から、TDKの朝比奈伸や福島ユナイテッドFCの清野雄大といったアマチュアクラブで活躍する選手まで幅広く揃えた。

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藤枝市を見わたす藤枝総合運動公園

 藤枝駅南口からのシャトルバスに乗り込み北の方へ坂を上っていくと、青空に照らされた一面の住宅街を尻目に眺めることが出来る。どんどん高度を上げてたどり着いたのは藤枝市総合運動公園サッカー場。将来、藤枝MYFCがJリーグの舞台に上がるときはこのサッカー場が拠点になることだろう。藤色の客席に彩られたメインメインスタンドの他は芝生席であるから改修が必要になること必至ではあるが、大した問題はないはずだ。

 メインスタンドのゲートを潜ると、ピッチをいっぱいいっぱい使って子供達がボールを追いかけていた。到着した時には既に1部のふれあいイベントが始まっていたらしい。男女交えた子供達が地元のスター選手と地元チームの選手に混じってボールを追いかけている。弾けっぱなしの小さな活気たちが青空と化学反応を起こして会場は暖かい雰囲気に包まれていた。このイベントに参加したのは600人とのことで予想を超える人数が集まったという。進行は藤枝MYFCの斉藤俊秀が勤めていた。子供達よ、君達はとっても貴重な体験をしているのだよ。

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初めてのキックオフ

 1部のイベントを終えて子供達がスタンドに着席を追えた頃、ようやく2部のドリームカップが始まる。ところが試合が始まると会場は何とも微妙な空気に包まれてしまった。それもそのはずで、藤枝vs藤枝ではどちらを応援したらいいのか分からないからだ。SBSのアナウンサーが控えの選手にインタビューするなど球宴ならではの演出もしてみせたが、逆にピッチでの出来事が観客から遠ざかってしまった。

 この雰囲気を打開したのが時の男、中山雅史だった。ドリームスの中山雅史がこの試合最初のシュートを放つ。観客はようやく安心して歓喜を表現することが出来た。中山雅史はその後も積極的に前線で勝負を仕掛けては歓声を引き立てていた。要所で盛り上げることが出来るあたりがやはりスーパースターである所以なのだろう。

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真剣さとイベント性の融合点

 試合はかなりの真剣勝負になっていた。藤枝MYFCはしっかりとサイドでボールをつないで、ときにはロブを織り交ぜながら積極的にドリームスのサイドを突き続ける。後半開始前に名波浩が「MYFCの選手が結構本気できたので・・」と言ったように、藤枝MYFCはドリームスに真剣勝負を挑んでいた。膠着したまま進んだ前半12分、ようやく試合が動く。バイタルエリアでフリーでボールを持った横山拓也はそのままミドルシュートを放つと、これがゴール右隅に突き刺さった。藤枝MYFCが先制した。先制されたドリームスも名波浩の華麗なテクニックや中山雅史の果敢なプレーで魅せながら藤枝MYFCのゴールに迫ったがゴールを割ることが出来なかった。

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 後半に入ると、ドリームスが一挙にメンバーを変えた一方で藤枝MYFCは前半のメンバーを引き継いだ。試合の流れは噛み合いだしたドリームスへと傾く。後半5分には名波浩のパスを起点に、慶應義塾大学から清水エスパルスへえの入団が決まっている河合陽介がドリブルでゴール正面に持ち込んでシュートを放つ。河合陽介の思い切ったシュートはきれいにゴール左隅に吸い込まれた。意地の一発と言えるゴールでドリームスが同点に追いついた。

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 藤枝MYFCは追いつかれたことで出場していた斉藤俊秀監督がベンチに下がり、メンバーを入れ替えながら戦況の打開を試みた。一方でドリームスのベンチには背番号「+9」の存在があった。背番号+9、それは釜本邦茂だ。ドリームスの監督を務めていた釜本邦茂が選手として出場し、背番号9番の中山雅史と2トップを組んだのだ。藤枝の地で世代を超えたスーパースターの競演が実現した。真剣勝負を挑む藤枝MYFCと圧倒しながらも話題を欠かさない藤枝ドリームス。このコントラストが互いの魅力を引き立てた。

 結局試合は1?1のまま終えてPK戦を戦い、ドリームスが6?5で勝利した。

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次世代のビッグクラブへ、藤枝MYFCが立ち上がる

 年始の忙しい時期に8000人を集めたこのイベントは盛況に終わった。藤枝MYFCとしても地元に向けていい宣伝になったことだろう。しかし厳しい見方をすれば中山雅史に救われる形で何とか盛り上がったと言える。もちろん、それなりのタレントを揃えることが出来たのもMYFCの実力であり、藤枝の魅力であるから否定するつもりはない。県リーグで8000人を集めるイベントが出来るチームは藤枝MYFCぐらいだろう。

 静岡県リーグを戦う藤枝MYFCはひとまず東海社会人リーグ2部への昇格が目標となる。確かにカテゴリのステップアップも一つの目標であるべきだ。それと同時に、来年のこのイベントでスタンドが藤色に染まり、自然にMYFCへと声援が送られるようになるのも一つの目標であってほしい。サッカー王国の誇りにかけて、静岡県第3のJチームとして、藤枝MYFCがひとつの旋風を起こそうとしている。

 なお、この試合で得た収益は藤枝市に寄付することになっている。

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