Y.S.C.C.vsツエーゲン金沢:観戦レポート

最高の舞台、絶好の対戦カード

 初日から2日目にかけて荒れ狂った天気も最終日にはすっかり晴れて、雪をかぶった山脈がアルウィンの背景となっていた。決勝大会最終日。3日目は消化試合となってもおかしくなかったが、第一試合「Y.S.C.C.vsツエーゲン金沢」は入れ替え戦をかけた、第二試合「日立栃木ウーヴァSCvs松本山雅FC」は優勝をかけた分かりやすいマッチメイクとなっていた。地元の方々はもちろん、Jリーグ最終節を見届けた全国の地域リーグファンも多く会場に集まった。

 第一試合はY.S.C.C.vsツエーゲン金沢。勝ち点差2でツエーゲン金沢がリードしており、Y.S.C.C.が入れ替え戦に進むには90分以内で勝つしかなかった。またツエーゲン金沢は90分引き分け以上で3位以内となり、自動昇格(2位以上)の可能性を残すならPK勝ち以上の結果を残すしかなかった。またこの結果で第2試合を戦う松本山雅FCの昇格が決まる可能性もあるなど様々な視点で注目を浴びる試合となった。

ここからJリーグ-Y.S.C.C.vsツエーゲン金沢

攻戦一方のツエーゲン

 試合はツエーゲン金沢のワンサイドゲームだった。ツエーゲン金沢は前線の選手にボールを集めてY.S.C.C.を押し込むと、攻撃の起点を変えながら断続的に攻撃を繰り返す。ところが、前線の選手にボール集めても、Y.S.C.C.に寄せられてなかなか展開できない。攻めても攻めきれなく、ツエーゲン金沢はすぐに手詰まりを起こしていた。気がつけば、ツエーゲン金沢のワンサイドゲームと言えるのはあくまでも見た目だけだった。

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堅守ときどき速攻

 守備に奔走したY.S.C.C.ではあったが、この試合を支配していたのはY.S.C.C.だった。Y.S.C.C.ツエーゲン金沢の攻撃を引いた守備陣でしっかりと食い止める。そしてすぐにはリアクションを起こさない。後方でゆっくりとボールを回しながら虎視眈々と攻撃するタイミングを待ち、ツエーゲン金沢のペースを乱した。攻撃に関しても無理に攻め込むのではなく、リスクを犯さない最小限の人数で攻撃を組み立てていった。

 そしてY.S.C.C.の狙いはピタリとはまる。前半14分に小笹健二が右サイドから放ったクロスを中央で構えていた松田康佑がマークをきれいに外した上で頭で合わせて先制した。

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ツエーゲンに土壇場で訪れたビッグチャンス

 きつい言い方をすると、ツエーゲン金沢の攻撃はまるで工夫がない。ツエーゲン金沢は一貫性がない攻撃を繰り返すしかなく、引いて逃げ切り態勢だったY.S.C.C.に対して得点できるとは思えなかった。これがツエーゲン金沢の限界なのか・・。私は携帯で作成していた速報記事に「Y.S.C.C.がウノ・ゼロ勝利で逆転で入れ替え戦へ進出」と書き込み、送信する時が来るのを覚悟した。

 しかしツエーゲン金沢は最後まであきらめずに攻め続けた。下手な鉄砲でも数打てば当たるとはよく言うが、本当に当たるのはごく稀である。この日訪れていたサッカーの神様はかなり寛大だったようだ。後半43分、ツエーゲン金沢はゴール前での混戦から相手のハンドを誘い、PKを獲得した。

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 願って叶わなかった絶好のチャンス。クリゾンがこのビッグチャンスをものにしてツエーゲン金沢が勝負を決める同点弾を奪った。決勝ラウンドで唯一決めたゴールはツエーゲン金沢を土壇場で入れ替え戦へと導いた。

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Y.S.C.C.、純粋なアマチュアチームであったが故に

 Y.S.C.C.は決勝ラウンドでもなかなかベストメンバーを組めなかった。それは社会人である故の事情であり、社会人大会で本来あるべき姿なのかもしれない。Y.S.C.C.は社会人チームであるスタンスを守るべく、メンバーを入れ替えながらここまで戦ってきた。

 ベストメンバーがピッチに揃ったのは入れ替え戦が懸かった最終日でようやくだったという。そして総力戦となったこの試合で、J2クラスの戦力を抱えたツエーゲン金沢を相手に完璧な勝ち試合を作った。

 試合終了が告げられたとき、水色の選手が次々とピッチに倒れた。関東1部では最終節で日立栃木ウーヴァSCを倒して逆転で優勝を勝ち取り、いわきでの一次ラウンドではグルージャ盛岡との死闘を制してここまできた。色んなものが走馬灯のように駆け巡ったことだろう。JFLへ後一歩が届かなかった。残りの10分弱を守り切れなかった選手たちの悔しさは計り知れない。

 次々に倒れるY.S.C.C.の選手を見たとき、不意に全社の3位決定戦を戦ったAC長野パルセイロを思い出した。決勝大会進出を逃した直後の失意を隠せない状態で、精神力を振り絞りながら戦ってたパルセイロの選手たちの姿を鮮明に覚えている。目標を逃した直後と言う点でAC長野パルセイロY.S.C.C.が重なり、その状況でも戦わなくてはならないPK合戦は全社の3位決定戦に状況が似ていた。現実を受け入れられず、心の整理が出来ていない選手もいたことだろう。それでもY.S.C.C.は長丁場となったPK戦を最後まで戦い抜いて勝利を手にした。Y.S.C.C.が決勝ラウンドで勝ち取った勝ち点2は非常に重みのある勝ち点2であったに違いない。

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入れ替え戦へ向けてツエーゲンがすべきこと

 ツエーゲン金沢が執念のゴールで入れ替え戦行きを決めた。そのエネルギーと執念は恐れ入る。しかしまだ昇格は決まっておらず、FC刈谷との入れ替え戦を戦わなくてはならない。

 繰り返しになるが、ツエーゲン金沢のサッカーは戦術に一貫性がなく、非常にムラがある。ここまで勝ち進めたのはそれだけの選手を揃えられたからといってもいいだろう。確かにその戦力を揃えられたのもチームとしてのひとつの強さである。そしてツエーゲン金沢の最後まであきらめない姿勢はひとつの大きな武器だ。その点を否定するつもりはないが、決勝ラウンドの戦いを見る限りではFC刈谷に勝てる気がしないのが正直な感想となる。時間はないが、入れ替え戦までに入念な準備をしなければ絶対に勝てない。

 特に鍛えなくてはならないのが攻撃面。今からでも、何かしらひとつでも、得点パターンを染み付かせておきたいところだ。相手は普段から全国の強豪と戦っているチーム。勢いだけで押し切れるのはここまでだと思った方がいい。

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