Y.S.C.C. vs ツエーゲン金沢:観戦レポート

私は歩くのが大好きなので、横浜駅から三ツ沢公園まで歩いて往復するのがお決まりのパターンとなっている。Google Mapsで算出された最短ルートを慣れた足取りでせっせと登って行き、バックスタンドが見えた所でスタジアムの熱気が聞こえてくる。横浜FCの時、Y.S.C.C.の時、それぞれカテゴリ相応のサウンドが聞こえてきて高揚感を覚えるのだが、今回は少し違った。

初めて訪れた明治安田J3リーグの試合はJ2ほど賑やかではなく、JFLほど牧歌的でもない、また新しい雰囲気だ。開放的だった関係者入り口はブルーの柵でキッチリと仕切られ、Jリーグのビブスを付けたメディアの方が歩いていたりと、このマニュアル通りの厳重な体制は正しくJリーグっぽい。チケット売り場にはJFA後援会のチケット引き換えなど存在せず、(というかその事をすっかり忘れており、)1,500円の当日券を購入して入った。

20140721-100030-36030060.jpg

会場に入ると「見慣れた光景」と「見慣れた光景」が交差して「新しい光景」が飛び込んできた。細かく挙げていくと本当にキリがないが、そこは「JFL」でも「J2」でもない「J3」の新鮮な世界が広がっていた。

対戦するのはY.S.C.C.ツエーゲン金沢Y.S.C.C.は12位、ツエーゲン金沢は3位に位置し、下位チームがホームに上位チームを迎える格好となる。予備知識ゼロで観戦に臨むのが私のスタイルなので、私の中では両チームとも昨年のJFLでの姿で膠着したままだ。

試合開始は17時。試合後のタイミングでゲリラ豪雨の予報があり、ひんやりとした風と物々しい雲が三ツ沢公園を包んでいた。そのせいか、観客動員も冷えた数字となっていた。

20140721-100030-36030639.jpg

先制点は確実に

試合が始まると、途端にツエーゲン金沢の攻勢状態となる。ツエーゲン金沢V・ファーレン長崎から加入したばかりのFW13水永翔馬選手らトップの選手によくボールが収まっており、ペナルティエリア手前でボールが縦に出し入れされる。Y.S.C.C.の守備陣はそれに釣られる形で忙しくバランスを取るのに終始してしまい、受け身にならざるをえなかった。

20140721-100514-36314332.jpg

攻勢のまま試合を運ぶツエーゲン金沢がそのままの流れで先制点を奪った。前半18分、ツエーゲン金沢は右後方で得たFKからゴール前へ放り込むと、混戦になったところをMF5太田康介選手が押し込んだ。ツエーゲン金沢がひたすらねじ込もうとする一方で、Y.S.C.C.が粘り強く跳ね返す。あまりにも長く続いたので、観客席からは悲鳴に似た声が続き、カメラはSDカードの処理が追いつかなくて連写が途絶えた。こぼれ球を押し込んだごっつぁんゴールといえばそうなのだが、ツエーゲン金沢の選手が冷静に対処出来ていた一方で、Y.S.C.C.の選手がボールを見るしかなくなってたという、この前半を象徴する場面でもあった。

20140721-101732-37052039.jpg

Y.S.C.C.の限界

サッカーというのは必ずどこかで攻守が入れ替わるものだ。この試合の前半も例外ではなく、前半25分前後にY.S.C.C.がボールを保持できるようになる時間帯が訪れた。

主導権を握ったY.S.C.C.ではあったが、引いたツエーゲン金沢を崩すのはかなり難解に見えた。Y.S.C.C.が元々ゴールに近い位置でボールを動かすサッカーが取り柄のチームでは無いチームだというのは予備知識としてある。なので攻撃の手詰まり状態から打開を期待するのはお門違いではあるのだが、見てても諦めるしか無い程に崩すためのアイディアが無かった。

Y.S.C.C.は40分前後になると、それに気づいてかなのかは分からないが、ボールをは低く保持して縦に早いサッカーへやり方を切り替える。すると、本来のY.S.C.C.らしいスピード感ある攻撃が繰り広げられるようになり、幾度かツエーゲン金沢に冷や汗をかかせた。

20140721-102248-37368340.jpg

ツエーゲン金沢の新兵器

前半はツエーゲン金沢が1-0でリードしたまま終える。さて後半は、といった時に、リードしているツエーゲン金沢が取った策はとても現実的だった。ツエーゲン金沢は前半終盤と同様かそれ以上に重心を低く構え、Y.S.C.C.の攻撃に備えていた。ツエーゲン金沢としては相手の速攻さえ注意してしまえばあとは難なく凌げる雰囲気だったので、当然の出足だ。案の定、Y.S.C.C.はパスの出し先を失い、ツエーゲン金沢の守備網に次々と引っかかる。ツエーゲン金沢としてはあとは決めるべき機会に得点を重ねておけば盤石の勝利が手に入る計算となった。

そんなことを速報くんを通してTwitterに書いていたら、不意に攻守の主導権が切り替わり、ツエーゲン金沢に追加点が生まれた。後半5分、ツエーゲン金沢は縦パスでFW13水永翔馬選手がペナルティエリア右側に抜けて、シュートをそのまま逆側のサイドネットにぶち抜いた。
20140721-102941-37781693.jpg
FW13水永翔馬選手が移籍後初出場初ゴールを当然の様に決めてみせた。同選手のことはホンダロックSCが大好きなおじさんとおば・・お姉さま(美人)を通じてよく知っていたというのもあるが、その予備情報抜きにしても存在感は抜群だった。立ち上がりから最前線で存在感を発揮していて、Y.S.C.C.としては警戒してしきれない選手だった。ツエーゲン金沢の新しい武器がここで正式に備わったというべきか、ジュウレンジャーにドラゴンレンジャーが、「モーニング娘。」に後藤真希が、totoにtotoBIGが加わったような、そんな瞬間に立ち会えた気がした。

20140721-104439-38679678.jpg

余裕を持って試合を進められるようになったツエーゲン金沢は後半25分、左サイドから送り込んだ低いクロスが、ニアに詰めてたFW13水永翔馬から流れる。最後はMF17富田康仁が正面で押し込んで追加点とした。

20140721-104843-38923105.jpg

Y.S.C.C.の醍醐味、J3の味

試合はツエーゲン金沢が3-0でY.S.C.C.に勝利した。試合内容も実力差もスコア相応のものが確かにあった。ツエーゲン金沢としては新しい武器が加わったことで優勝争いまっしぐら(?)といったところだろう。J3なんてJFLの殆んどコピペだと思っていたけど、少し興味が湧いてきたぞ。

20140721-105321-39201460.jpg

20140721-105433-39273052.jpg

Y.S.C.C.は申し訳ないけど順位相応の難しい状態のようだ。しかしながらこのチームをピッチ内の勝敗だけで語ってしまうのはバナナの皮をかじって味の批評をするようなものである。Y.S.C.C.の良さはそのアットホームな雰囲気にあるからだ。ツエーゲン金沢の応援席からイケイケの格好いい大人の応援が聞こえる一方で、Y.S.C.C.の応援席からは小学校の運動会かと思うくらい沢山の子供たちがずっと声を出して応援していた。

私もアグレミーナ浜松の応援活動を通じて小学生くらいの子供たちを先導して応援に加えることを何度かやっているが、あの年代は正しく子供かと思うくらいに正直で飽きるのがとても早い。90分間を通してずっと応援し続けるというのは余程チームに求心力がある証拠だ。それが応援席だけでなく、スタンドの至るところで発生している。下部組織の子供たちがこれほど熱心に応援するJリーグチームが他にあるだろうか。

20140721-110611-39971400.jpg

また、以前にTFU観戦記で取り上げられていたが、試合後のスタジアム出口では以前と変わらずに選手がユニフォーム姿でファンやサポーターと和やかに話をする姿があった。この光景はJFLでは割りと一般的だったので、J3の他のチームも同じなのかもしれないが、Y.S.C.C.ならではのサービスとして継続されている。J1やJ2のチームの選手が完敗した直後にファンの前へ姿を現そうものなら、フーリガンに何をされるかわからない。その心配が無いほどにY.S.C.C.はファンと選手の距離が近く、試合中のアットホームな雰囲気につながっているのだろう。

20140721-111241-40361985.jpg

JFLの距離感と雰囲気を残しつつ、Jリーグの様な行き届いた運営が成されている明治安田J3リーグ。まだ1試合しか見れてない中で結論付けるのは早いが、そこには去年までの日本サッカーにはなかった新しい文化圏が誕生していた。「J3なんて」と考えてまだ足を運んでいない人がもしこの記事を読んでくださったなら、是非足を運んでいただきたい。JリーグとJFLのいいとこ取りをしたその環境、もしかしたら好きになれるかもしれません。

速報くんレポート | Y.S.C.C.vsツエーゲン金沢

人生初J3観戦で感じたこと~Y.S.C.C.vsFC町田ゼルビア~ « ココジェイ!

関連ニュース
関連試合
関連レポート

検索

Twitter

Facebook