AC長野パルセイロ vs Honda FC:観戦レポート

日本フットボールリーグ第24節。首位のAC長野パルセイロはホームにHonda FCを迎えた。AC長野パルセイロは先日ついにJリーグ準加盟を果たす。チームはそれに乗じて3000人プロジェクトなどとプロモーションを打つが、会場の雰囲気として大きく変わった様子もないのは良いのか悪いのか。対するHonda FCは徐々に調子を上げており、前節は2位のV・ファーレン長崎に勝利している。会場は南長野運動公園球技場。天気はどんよりとした曇り。
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落ち着いているHonda FC、勢いづくAC長野パルセイロ

試合は両者にとって非常に難しい立ち上がりを迎える。主導権を握りたい両チームは中盤で激しくボールを奪い合い、前線を目指す。主審の「落ち着いてプレーしましょう」というジェスチャーが頻繁にみられた。そんな中で比較的優勢に進めていたのはHonda FC。とはいえHonda FCが優れていたというより、冷静さでHonda FCが上回っていたという印象だ。AC長野パルセイロは攻め急いで選択肢を失い、潰されるという場面が続いた。

冷静にボールを裁くHonda FCがこのまま主導権を握るのかと見ていたが、突然の通り雨に見舞われてそれどころではなくなる。天気予報くらい確認しよう。観客がバタバタとしているうちに試合は動いてしまう。

前半14分、AC長野パルセイロは敵陣中央左よりでMF19向慎一がボールを得ると、そのまま適度に前進してゴール右隅に叩き込む。ああ、これがAC長野パルセイロの怖さだ。一瞬の隙を見せると容赦ない速攻が繰り出される。AC長野パルセイロは先制したことで肩の力が抜けたのか、今後はリズムを掴んだ。
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前半37分にもAC長野パルセイロは追加点を奪う。AC長野パルセイロは左サイドで丁寧にボールを回すと、MF20野澤健一が強引にゴールラインへとボールを持ち込み、お手本通りのマイナス方向のクロスをゴール前へと送り込む。Honda FCの守備陣はこのプレーを見送るしかできず、AC長野パルセイロは後方から高速で走り込んでいたFW10宇野沢祐次がしっかりと押し込んだ。拮抗した序盤戦が嘘のようにAC長野パルセイロの速攻がハマり続ける。
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Honda FCは前半23分に左サイドから早いクロスをゴール前に送り込み、FW9伊賀貴一が精一杯飛び上がって頭で捉えようとしたが、僅かに届かない。Honda FCは相手のミスも含み前線によくボールを収めることはできていたが、攻撃を仕掛ける前にAC長野パルセイロの守備陣が戻ってしまう。非常に厳しい戦いを強いられることになった。前半はAC長野パルセイロが2点をリードして終了した。
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型にハマって止まらない

後半もHonda FCが元気よく攻める。前半はAC長野パルセイロの間合いに苦労していた節があったが、さすがにそれは慣れていた。AC長野パルセイロに負けじとHonda FCも素早くボールを動かしてAC長野パルセイロのゴールへと迫った。後半2分、Honda FCはFW9伊賀貴一が左サイドから一人でボールを持ち込み、ペナルティエリア内でシュートをはなったが、シュートはGKの正面を捉える。ああ、U23日本代表のGK権田もあのポジショニングが出来ていれば・・。
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Honda FCを主人公で物語を展開するのならここから怒涛の反撃が始まるのだが、そううまくいかないのが勝負の世界だ。後半も前半と同じ展開を繰り返した。AC長野パルセイロの怒涛の速攻ラッシュが幕開けする。

後半6分、AC長野パルセイロは縦パス一本で抜け出したMF24藤井貴がGKとの一対一を制して3点目をあげる。
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後半24分、AC長野パルセイロは右サイド高い位置で得たFKからゴール前へ放り込んだボールが混戦を誘い、最後は浮き玉をDF22小川裕史が頭で押し込んで4点目をあげる。
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Honda FCの真摯な姿勢がアダに

4点のリードを奪われたHonda FCではあるが、諦めるなど野暮なことをするはずもなく、左サイドを使って丁寧に攻め続ける。後半29分にはカウンターからMF17中村祐哉がシュートまで持ち込んだが、DFに防がれる。Honda FCはMF17中村祐哉など2列目の選手がよくボールを保持出来ており、なかなか先に進まずとも積極的に仕掛け続けた。
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1点でも返したいHonda FCではあったが、無情にもその裏をつかれる形で失点する。後半42分、AC長野パルセイロはカウンターからMF19向慎一がGKをも抜いて無人のゴールへボールを送り込む。AC長野パルセイロがついに5得点目を奪ってしまった。
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これぞ首位のフルパワー

AC長野パルセイロが5-0でHonda FCに勝利した。上位直接対決と打った見出しはどう締めてくれよう。思わぬ結果というのが正しいのだが、点差ほどの差は確かにあった。プレーの組み立ての質自体は両チーム非常に高度で代わりがない。差が開いたとしたら一対一で体を当てたときの強さと上手さ。そして攻撃のスイッチが入った時の速さ。おそらく今回は運よく絶好調の部類のAC長野パルセイロを見れたのだろう。JFLで不調な状態を目の当たりにしたことがないので比較できないのが何ともというところではあるが。
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念願のJリーグ準加盟を果たしたAC長野パルセイロ。特に変わりがないというのは冒頭で述べた通り。それが良いのか悪いのかといえば、現時点のAC長野パルセイロにとっては良いことなのだろう。急にスタジアムが完成するはずもなく、急にお客さんが増えるはずもない。そういった不自然な変化を無視した時、実はAC長野パルセイロはとても満たされた状況にある。スピード感のあるサッカーは見ていて楽しいし、このサッカーがハマったときに得る勝利はさぞかし爽快だろう。会場全体で応援する雰囲気はとても気持ちが良いし、上田の美味だれ焼き鳥も美味い。

しかしながら3000人を満たさない観客動員はそれでも多い方とはいえJリーグ加盟において決定的なネックとなりうる。今後どのように南長野運動公園球技場を満員に近づけていくのか。優勝争いの行方と並んでとても興味深い。
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