Y.S.C.C. vs ツエーゲン金沢:観戦レポート

日本フットボールリーグ第15節。JFL昇格初年度ながら3位と健闘するY.S.C.C.がホームにツエーゲン金沢を迎えた。ホームと言っても今回は三ツ沢ではなくBMWスタジアム平塚。ホーム横浜を離れた県内での開催となった。上位で健闘するY.S.C.C.とは逆にJFL3年目を迎えるツエーゲン金沢は主力選手が多く離脱したこともあり、現在は下位グループに沈んでいる。Y.S.C.C.にとってツエーゲン金沢は2010年の地域決勝でJFL昇格を阻まれた因縁の相手ともなる。霧雨が舞う天気となり、非常に滑りやすいコンディションとなっていた。
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Y.S.C.C.はエース欠くもいつものサッカー

先に主導権を握ったのはY.S.C.C.だった。Y.S.C.C.はチーム得点王の辻正男が怪我で欠場しており、これによる影響が懸念されていたが、表現するサッカーに変化はない。Y.S.C.C.は低い位置で丁寧にボールを回すと、機を見て一気に前線へボールを運ぶ。Y.S.C.C.が得意とするいつものテイストでボールを動かした。最初はなかなか前線にボールが収まらないのだが、徐々にセカンドボールを拾えるようになるとシュート回数が増えていった。

前半12分、Y.S.C.C.はロングボールからのセカンドボールをFW9青田翔が拾ってシュートを放つが、枠を大きく外した。前半17分には右サイドからのクロスのこぼれ球をPA内でMF8吉田明生が拾ってシュートを放つが、右に外れる。Y.S.C.C.はその他にも積極的に最前線へボールを送り込んで突破を図るなどの姿勢を見せる。この姿勢はCKにこそよく繋がったが、得点機には直結しなかった。
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攻守分離のツエーゲン金沢

ツエーゲン金沢はゴール前中央をしっかり固めてY.S.C.C.の攻撃をやり過ごすと、徐々に攻撃の回数を増やしていく。ツエーゲン金沢はFW2平林を軸に前線に3人から4人を配置し、彼らをターゲットにボールを運ぶ。しかしターゲットにボールを預けても後方からの次の動きが乏しくて厚みのある攻撃が生まれない。前半22分、ツエーゲン金沢はPA手前からMF24大槻優平がシュートを放ったがDFに当たって枠外へ。その後に得たCKからシュートを放ったが枠を捉えられなかった。
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動きが乏しいツエーゲン金沢のサッカーに疑問を抱いて過ごした前半戦だったが、その疑問は前半終了間際に解消される。人数が足りていなかった攻撃にDFの選手が参加してきたのだ。これにてツエーゲン金沢は攻撃に厚みを作ることができ、この試合で最初のクライマックスを迎える。前半43分、ツエーゲン金沢はMF18根本裕一を起点にPA内でボールを動かし、最後は右サイドからDF4滝川敬祐が強烈なシュートを放つ。前半45分には右サイドからのクロスにDF3諸江健太が頭で合わせてゴールネットを揺らしたがオフサイドの判定となった。
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雨天が味方しY.S.C.C.が先制

牽制しあって終えた前半戦はスコアレスで終える。互いに手の内を見せあったことでこう着するのではと思っていたが、思ったより早く試合は動いた。後半4分、Y.S.C.C.は縦パス1本で左サイドをFW9青田翔が抜け出し、GKと一対一の場面を迎える。シュートはGKの正面を突いたが、GK21大橋基史はこのボールを取り逃してしまい、不運にもボールはゴールの中へ転がっていった。この日は霧雨が降り続いており、ボールが非常に滑りやすくなっていた。
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Y.S.C.C.は先制点の場面にもあったように、前半こそかみ合っていなかった最終ライン裏へのスルーパスが後半は面白いように決まっていた。先制する前の後半1分にはファウルを取られたが、スルーパスからMF8吉田明生が抜け出す場面があった。

尻上がりのツエーゲン金沢

Y.S.C.C.が先制することになったが、五分の割合で攻守を入れ替える展開に変わりはない。変化があったとしたらツエーゲン金沢がやや前がかりになっていたことだ。先制されたことへの焦りは全く感じなかったが、前半終盤に見せた後方からの攻撃参加が時間の経過と共に増えていき、Y.S.C.C.の守備陣を翻弄していた。そして、数的優位を作り出し攻撃が噛み合いはじめたツエーゲン金沢が同点に追いつく。

後半25分、ツエーゲン金沢はカウンターから左サイドを突破すると、数的優位となっていたゴール正面にボールを送り込む。ゴールを目の前にしてボールを受けたMF23本田真吾はボールを丁寧に裁くと、最後は後方から走り込んでいたMF6阿部嵩が勢いをそのままに叩き込んだ。
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Y.S.C.C.ひとり少なく・・ツエーゲン金沢が逆転

ホームの大声援に押されるY.S.C.C.は勢いに乗るツエーゲン金沢から追加点を奪いたいところだったが、後半32分にMF13小澤光が2枚目の警告を受けて退場処分となってしまう。この結果、Y.S.C.C.は前線の人数を減らさざるをえなくなり、攻撃が決まりにくくなった。
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そして相手選手の退場で追い風を受けるツエーゲン金沢がついに逆転に成功する。後半40分、ツエーゲン金沢はDF15斉藤雄大が右サイドで粘り強くボールをキープすると、早い弾道のクロスをゴール正面へ送り込む。最後はMF7山道雅大が相手守備選手ともつれながらも足元で合わせてゴールに突き刺した。
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死んだフリ作戦?でツエーゲン金沢が逆転勝利

試合はツエーゲン金沢が1-2で逆転勝利を収めた。それにしてもここまで展開が読めなかった試合はそうそうない。前半のツエーゲン金沢は攻守が分離しており、チームとして全く攻撃が機能していなかった。一見して鼻から戦術が破綻したサッカーを見せつけられてしまったわけだが、後方からの攻撃参加が増えるとそれに呼応してツエーゲン金沢の攻撃に厚みと迫力が生まれた。振り返ればアウェイと悪天候を睨んだ後半勝負だったのかもしれない。理由はどうであれ、結果的に死んだフリ作戦として勝利に結びついたのは確かだ。順位表を見る限りはあまりいいサッカーを期待していなかったのだが、それは全くの誤解だった。戦術もしっかりと見えていたし、決めるべきところで得点できている。勝負どころの見定めが甘い印象は多少なりあったが、この点については確信がない。今年のJFLはやたらレベルが高く感じるので相対したら相応の順位なのかもしれないが、ひとつきっかけさえ掴めば上のグループに割って入れることだろう。
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