S.C.相模原 vs エリースFC東京:観戦レポート

関東リーグ前期最終節。S.C.相模原とエリースFC東京という今年に関東2部から昇格した昇格組対決は、1部の舞台でも首位攻防戦という形で対峙することになった。共にクラブチームという体制ではあるが、S.C.相模原はJリーグ準加盟チームという完全なるプロ軍団で、エリースFC東京は純粋なアマチュアチームであることをアイデンティティとするチーム。「プロのS.C.相模原には負けたらダメ」だとはエリースFC東京の選手からよく聞けた話で、首位攻防戦という以上の意味も持っていたかもしれない。会場はS.C.相模原のホームスタジアムである麻溝公園競技場。天気は曇りで空から強い日差しが漏れてくる夏場らしい天気となり、雨が予報されていた。
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ほどよい緊張感

「首位攻防」という緊張感に潰されてしまうのではないかと懸念していたが、それはあまりにも失礼だった。試合は立ち上がりからピンと張り詰めた緊張感のなかで、互いに慎重にかつ挑戦的にボールを動かす。

先に仕掛けたのはS.C.相模原前半2分、S.C.相模原は右サイドゴールラインぎわからのクロスにニアでFW7菅野哲也が合わせる。上手くコースを得られていたらという場面だったが、決めきれなかった。前半22分には敵陣低い位置でボールを奪うと、FW9森谷佳祐が一人でペナルティエリア内まで侵入し、シュートまで持ち込む。このシュートは左にわずか外れる。S.C.相模原はボールを奪ったあと、中央からサイドに開くようにボールを動かす。サイドハーフとサイドバックが連携して高い位置からクロスを配球し続けた。もちろん、普段から得意のプレーとなっている高性能の放り込みサッカーも忘れていない。
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積極的に仕掛けてくるS.C.相模原に対するエリースFC東京は守備に人数を割きながら丁寧にボールを回し、2トップのFW26吉田敦とFW34山下真太郎にボールを収めようとする。狙い通りに進めることはできなかったが、その姿勢から多くのセットプレーを得ることに成功し、それらセットプレーの機会からゴールに迫る場面が多かった。前半12分、エリースFC東京は右サイドで得たFKからペナルティエリア内でDF12安藤謙がヘディングシュートを放つ。エリースFC東京のファーストシュートとなったが、枠を捉えられなかった。前半31分にはペナルティエリア左斜め前の位置で直接FKを獲得し、MF10谷川烈がよく狙ったシュートを放ったが、左に外れた。
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程よい緊張感の中で運ばれた前半戦はスコアレスで終える。とりわけ前線に人数を割くことなく過ごした点と、ピッチから引き上げる選手の表情から、前半戦は「無難に終えた」と評価ができた。優勝へ向けて勝たなければならないS.C.相模原がどこで勝負をかけてくるのか。S.C.相模原は前節の流通経済大学FC戦と同じ課題に直面した。

雨降り活かした先制点

後半に入ると雲行きが怪しくなる。それは文字通りに天気が崩れそうという意味でもそうだし、ピッチ内の雰囲気もおかしかった。蒸し暑く気温が高かった前半戦の疲れが出ていたのか、あるいは慎重に入りすぎてしまったのか。前線にボールが収まらずもやもやとした時間が過ぎていった。

後半10分を過ぎるとついにぽつぽつと雨が降ってくる。特に何ら変哲もない気候ではあるのだが、予報通りに訪れた雨がS.C.相模原の先制点につながってしまう。後半13分、S.C.相模原はペナルティライン付近でボールを持ったFW9森谷佳祐が簡単にシュートを放つ。単純な一発はGKの正面を捉える容易なシュートとなったのだが、雨に濡れたてのボールはGKのファンブルを誘い、こぼれたボールはそのままゴールの中へと吸い込まれていった。取りこぼしたGKのミスと言ってしまえばそれまでだが、雨が降りはじめた抜群のタイミングでシュートまで持ち込んだFW9森谷佳祐のファインプレーでもあった。
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雨は本降りに

先制点後、雨は本降りになる。メインスタンド屋根の下を確保していたにもかかわらず容赦なく大きな雨粒が吹き込んできていた。スタンドは騒然となり、試合どころではなくなる。どうやら麻溝公園競技場の屋根は大雨をよけるには役に立たないらしい。余儀なくされた席移動から着席して間もなく、エリースFC東京が同点に追いつく。

後半22分、エリースFC東京は左コーナーキックからクロスを上げると、ゴール前で混戦を得る。最後はFW24原雅巳が押し込んだ。勝てば優勝へ大きく近づくエリースFC東京。ひとつの失点如きで屈するはずがない。
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FW松本祐樹を投入し、計算通りの追加点

追いつかれてしまったS.C.相模原は後半29分に選手交代を行う。MF8曽我部慶太に替えてMF22古賀誠史、FW7菅野哲也に替えてFW11松本祐樹を投入した。試験的に実質のワントップを務めていたFW7菅野哲也を下げて、ある程度計算ができるFW11松本祐樹を投入したことで、追加点を狙いにいった。

そして計算できる選手を入れた選手を入れたS.C.相模原が計算通りに突き放す。後半30分、S.C.相模原は左サイドゴールライン付近から挙げられたクロスをゴール前でFW11松本祐樹が押し込んだ。
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時間稼ぎ失敗し、追いつかれて終了

再び突き放したS.C.相模原はいよいよ逃げ切り体制にはいる。マルチボールになったところであえて遠いボールを残したり、遅延行為ギリギリのプレーをしてきたりなどと、いわゆるところの「カシマる」プレーはプロらしく流石に上手い。誤解されないよう補足しておくが、主審が笛を吹いて注意しない限りはサッカーのルール範囲内ではあるし、時間の使い方もサッカーの技術のうちなので全く問題がない。ただ、時間を使って逃げ切るという行為は攻められるというリスクを伴う行為であり、守備に絶対の自信があるチームにしかできないこと。気が緩みがちで失点癖のあるS.C.相模原が果たして守り切るなどできるのだろうか。スタンドからは「そういうことしてっとまた取られるぞ!」と喝が飛ぶ。

後半アディショナルタイム1分、エリースFC東京はペナルティエリア手前のゴール正面からMF10谷川烈が強引にシュートを放つと、ボールはDFに当たってコースが変わり、GKの逆を突いてゴール右隅に収まった。
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明暗を分けた引き分け

試合はエリースFC東京が2度のビハインドを追いついて2-2で引き分けた。肩を落とすS.C.相模原の選手と歓喜に湧くエリースFC東京の選手。その表情が同点である試合結果の意味を明らかにしていた。
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S.C.相模原は今年のチームになってから初めて追いつかれてのドローを喫した。これまでJFLに昇格してきたチームが各地域リーグでどのような試合をしてきたかを見てきたが、S.C.相模原に決定的に足らないものがここで浮き彫りになった。それはY.S.C.C.にあって、藤枝MYFCにあって、HOYO AC ELAN大分にあってS.C.相模原に無かったもの。それを克服するのに関東リーグ残り9試合は十分な猶予となる。
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