S.C.相模原 vs FCコリア:観戦レポート

S.C.相模原の試合は定期的に見てきたつもりでいたが、気がつけば麻溝でのリーグ戦ホームゲームを観戦するのは初めてだったりする。いつの間にかバックスタンドが立派に整備されており、当たり前のようにケータリングが出店しているなど「Jリーグ準加盟」の名に恥じぬ環境が整っている。今回の対戦相手はFCコリア。FCコリアは朝鮮国籍の選手とスタッフにより構成される国内有数のチーム。我が家の近くの赤羽スポーツの森球技場でよく試合をしている事もあり、今年は今回で3回目の観戦となった。S.C.相模原は前節で首位に浮上しており、FCコリアは3連敗中と、成績上の勢いに大きな差がある。場所は改めて相模原市麻溝公園陸上競技場。電光掲示板もフルに利用した演出と636人が見守る雰囲気の中、雲一つない快晴の元で13時から行われた。
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風との戦い

試合開始前に両チームの陣地が入れ替えられる。日差しを気にしての事かと思ったが、実はそうでもなさそうで、どうやら強風を気にしての事だった。スタンドではあまり気にならなかったが、ピッチの特に上空は強い風が吹いており、風下を選択したFCコリアのクリアボールは空中でUターンしかねないほどだった。
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試合序盤はこの強風に両チームとも悩む事になる。風下のFCコリアは地上戦がモットーのようなチームなのでそれ自体に大きな影響は無かったが、GKからのロングパスがピンチを招きかねない状況。S.C.相模原はFCコリアのパスサッカーに対抗してカウンターから前線へのフィードを送り込むが、落下点がぶれて上手く決まらない。環境にどれだけ早く慣れるかというのがこの試合における一つのテーマだった。

地上戦に切り替えたS.C.相模原が先制

強風という第3の敵と戦う展開の中、主導権を奪ったのはS.C.相模原だった。S.C.相模原はある程度のところでロングフィードを諦めると、地べたでボールを繋ぐようになる。理由は風だけでなく、単純にFCコリアが前がかりになてきて繋ぎ易くなっていたからというのもあったと思う。パスサッカーというほどでもないが、地上戦勝負に持ち込んだS.C.相模原が試合の主導権を握り、立て続けにゴールへと迫るようになった。

前半21分、S.C.相模原はFW18宮川大輔が相手ペナルティエリア内でボールを奪うと、折り返したボールをゴール正面でFW9森谷佳祐が合わせる。ゴール直前での絶好機だったが、FW9森谷佳祐のシュートは体勢が悪くDFに防がれてしまった。S.C.相模原は前線のターゲットとなっていたFW18宮川大輔が激しくボールを追い回しており、このあとの展開で多くの好機をもたらす事になる。
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手応えを掴み始めたS.C.相模原が先制するのは時間の問題だった。前半22分、S.C.相模原は中央から右に開くようにボールをつなぐと、ペナルティエリア内右側でボールを持ったFW7菅野哲也が右足を振り抜く。意表を突いた簡単なシュートはやや前に出ていたGKの脇をすり抜けてゴール左隅に収まった。S.C.相模原の先制点が決まった。
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S.C.相模原の攻勢は先制したあとも続く。前半29分、S.C.相模原は右サイドの崩しから最後はゴール正面でMF19鈴木将也がシュートをはなったがDFに当たって枠外に外れる。貴重な風上の時間帯で次々と攻めたてるS.C.相模原。欲を言えば前半のうちに追加点が欲しいところだった。

FCコリアは持ち前の丁寧なパスサッカーからS.C.相模原のゴールへと迫る場面が多く見られたが、決定機と言える機会は無かった。前回のtonan前橋戦に続き打開が遠い展開ではあった。それでも前半終了直前には相手のハンドからゴール正面のFKを得ると、MF21朴世訓が上に僅かに外れる惜しいシュートを放って前半を終えた。
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風上強し!後半は攻め続けたFCコリア

後半に入ると風上に立ったFCコリアがようやく好機を作れるようになる。FCコリアは中盤の選手がポジションを入れ替えながらプレーするのが特徴だが、FCコリアが得点機を作れたのはMF21朴世訓が左サイドに入った時の事。後半5分、FCコリアはMF21朴世訓が一人で最終ラインを突破してGKと一対一の場面を迎える。一人でスイスイとDFを掻き分けて進んで行く様子はとても美しかった。あとひとり、GKを交わせばというところではあったが、シュートは大きく枠を外れてしまった。後半7分にはFCコリアはMF21朴世訓が左サイドを突破してクロスを上げるもクリアされる。MF21朴世訓はドリブルで果敢に挑戦していて、S.C.相模原にとってとても危ない選手だった。
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FCコリアは後半10分に右CKからのこぼれ球をMF19李智星がボレーシュートを放つが僅か左に外れる。後半20分には左サイドから流れるようにボールを回し、最後はMF19李智星がペナルティエリア内でシュートを放ったが、枠を大きく外れた。
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S.C.相模原が幻のゴールの隙を突く

攻め続けたFCコリアの攻撃が実るかと思われたのは後半27分。FCコリアは左CKからゴール前で混戦を作り、とうとうゴールネットを揺らした。しかしその過程でハンドがあり、ゴールは認められなかった。
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風上に立ったFCコリアの必死な攻撃を風下のS.C.相模原はひたすら受け流す。1点の差であればまだまだどうなるか分からない。なまじFCコリアの攻撃がよくシュートまで持ち込まれていただけに、S.C.相模原にとっては苦しい時間帯が続いていた。1点を追加すれば状況は変わるはず。そんな状況でFCコリアに幻のゴールが生まれ、それは隙となってS.C.相模原のチャンスに転じた。

後半28分、S.C.相模原はゴール正面で30mはあろうかという位置でボールを保持したMF19鈴木将也が足を振り抜く。「空いていたので狙って打った」というシュートは強烈とは言えないくらいに緩い弾道ではあったが、非常に良いコースを突いていたらしくゴールネットを揺らすに至った。
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シュート精度に助けられるも実りある無失点勝利

2点のリードを奪ったS.C.相模原は引き続きFCコリアの攻勢をしのぎ切り逃げ切った。守備が良かったというよりFCコリアのシュート制度が悪かったと言った方がいい内容ではあったが、攻められて無失点で終えたという内容は、失点しがちだったS.C.相模原にとって実りがある試合だったのだろう。開幕戦と比べても試合を上手くコントロールできるようになってきているし、何よりもとてもクリーンな試合をするチームとなっていた。試合後に望月さんとお話する機会があったのだが、「うちは秋にかけて調子を落としてしまうから、これからです」と仰っていた。2年連続で苦い思いをしてきたS.C.相模原が今年はまだまだ伸び代を残している。長崎でどのようなチームを披露するのか楽しみにしたい。
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FCコリアは昨シーズンを主力として過ごしたMF19李智星が復帰するなど明るい話題もあったが、勝利には還元できなかった。しかしながら中盤でのパス回しは本当に目を見張るものがある。あとはシュートを枠に飛ばす事。たったそれだけで勝利はグッと引き寄せられるし、この試合もどうなっていたか分からなかった。

Jリーグらしさと地域リーグらしさの融合

試合後、遅れて会場をあとにしようとすると、出口には試合に出場した選手がユニフォーム姿のままで見送りを行っていた。サインに応じたり笑顔で握手をしたり、他愛もない話をしたりと気軽に選手と交流が出来るようになっており、それはとても暖かい雰囲気だった。Jリーグの様な派手な演出もあれば、地域リーグらしい距離の近い交流もできる。地域リーグでJリーグ準加盟というと高貴なイメージが沸きがちだが、地域リーグでしか出来ない交流の仕方もきちんと取り入れていた。少し足を運べば町田、横浜、川崎があるJリーグチーム激戦区で観客は600人以上の観客を集めている。S.C.相模原が今年1年でどれだけ大きく成長するのかをしっかりと見届けたい。
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