SAGAWA SHIGA FC vs Y.S.C.C.:観戦レポート

JFL第3節。この試合を2連勝で迎えた王者SAGAWA SHIGA FCと2連敗で迎えた新加入Y.S.C.C.。その肩書きと戦績からは王者と新参の間には圧倒的な差が予想できる。ところがその予想は明らかに的外れだ。SAGAWA SHIGA FCは2連勝したが、HOYO大分藤枝MYFCを相手にいずれも先制を奪われての逆転勝ち。Y.S.C.C.V・ファーレン長崎AC長野パルセイロから1点ずつを奪っての惜敗。危うい試合運びを続けるSAGAWA SHIGA FCに対し、昨年の地域リーグ王者Y.S.C.C.の健闘ぶりは2連敗という結果とは対象的にファンの間で高評価を得ていた。Y.S.C.C.が昨年王者のホームに乗り込んで迎える3度目の挑戦は3度目の正直となるのか。守山陸上競技場は曇り時々雨という予報通りの天気となり、湖畔特有の底冷えと冷風が3月の終盤であることを忘れさせた。
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開始早々の2発

SAGAWA SHIGA FCはキックオフの流れから、そのままボールを素早く丁寧にさばいて主導権を握る。SAGAWA SHIGA FCは丁寧にパスを回しながら、受けてに回るY.S.C.C.を押し込んだ。王者佐川の力強さここにあり。そう思った矢先に事件は起きた。Y.S.C.C.がこの日最初の攻撃を仕掛ける。

前半2分、Y.S.C.C.はカウンターから中央でテンポよくボールを回すと、最後はFW10辻正男が最終ラインを抜け出す。この日最初の絶好機を迎えたFW10辻正男はこの機会を確実にものにした。
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前半4分には自陣からのフィードを受けたFW31伊藤和基がDFと競りながら放ったシュートがゴールに収まった。あっという間の展開でY.S.C.C.が2-0でリードを奪った。厚みのある攻撃を仕掛けてきたSAGAWA SHIGA FCをY.S.C.C.がカウンター2発で沈めてしまった。
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これで戦い方ははっきりした。Y.S.C.C.はそれまでに増して守備を優先するようになり、SAGAWA SHIGA FCは1点を目指してひたすらボールを回すようになる。SAGAWA SHIGA FCのパス回しと前線でのキープ力にY.S.C.C.はなかなか対応しきれない。Y.S.C.C.は例えSAGAWA SHIGA FCからボールを奪ったとしても、前へ運ぶことはできなかった。

SAGAWAが長身FW竹谷英之を投入・・しかし

前半29分、2点を追うSAGAWA SHIGA FCが動きを見せる。守備的MFの位置に入っていたDF2清水孝太に替えて長身のFW15竹谷英之を投入したのだ。前節の藤枝MYFC戦でも見た選手交代の形。前節はこの采配から前半で2点を追加して追いついた。
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しかし藤枝MYFCには通じた同じ手がY.S.C.C.に通用しなかった。Y.S.C.C.はSAGAWA SHIGA FCの攻撃を変わらず跳ね返し続けると、それに終わらず追加点をも奪ってしまう。前半32分、Y.S.C.C.はロングフィードをペナルティエリア内で受けたFW10辻正男が上手くコントロールをしてシュートを放つ。一度はGKに止められてしまったが、こぼれ球をもう一度詰めて確実にネットを揺らした。新加入のY.S.C.C.が昨年王者のSAGAWA SHIGA FCを相手に3点のリードを奪ってみせた。
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後半にようやくペースを掴んだY.S.C.C.

前半は散々ボールを支配しながら、1度の決定機しか作れなかったSAGAWA SHIGA FCが、後半はどう出てくるのか。そんな焦点を当てて観戦を始めた後半戦だったが、試合の主導権を握ったのはY.S.C.C.の方だった。Y.S.C.C.は前半こそSAGAWA SHIGA FCのボールさばきに翻弄されたが、後半はその間合いとタイミングに適応する。徐々に高い位置でボールを奪えるようになると、そこから焦らず急がず攻撃を組み立てた。

後半21分、Y.S.C.C.はペナルティエリア手前中央でボールを収めると、相手と奪い合いになりながら最後は裏に抜け出したMF7平間直道にスルーパスを通すことに成功する。SAGAWA SHIGA FCは高く保とうとしていた最終ラインがあだとなり、最終ラインとGKの間に十分なスペースを作ってしまっていた。この絶好の機会でMF7平間直道は確実にゴールへ流し込んだ。Y.S.C.C.が4点目となる追加点を奪った。
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SAGAWAの追い込み及ばず

後半に入って受け身になってしまったSAGAWA SHIGA FC。SAGAWA SHIGA FCは前線のタレントの高いキープ力からクリエイティブな崩しを見せる場面はある程度作った。しかしY.S.C.C.の集中した守備を前に崩しきれず、決定的な場面を作るには至れない。後半29分にSAGAWA SHIGA FCはペナルティエリア内でボールを受けたMF10山根伸泉がGKともつれながら押し込み1点を返したが、これが限界だった。
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Y.S.C.C.は後半32分に攻撃の核となっていたFW10辻正男を下げてMF19渡部学を投入する。より守備を意識するようになったY.S.C.C.がこの3点差を見事に守りきった。JFL新加入のY.S.C.C.が昨年王者SAGAWA SHIGA FCを相手に4-1で勝利し、歴史的なJFL初勝利は金星で添えられた。

3度目の挑戦で掴んだJFL初勝利

3試合目にしてようやくのJFL初勝利。第2節のAC長野パルセイロ戦とも合わせてJFLで勝つことが決して簡単な仕業ではないという教訓をY.S.C.C.の戦いぶりから得た。優勝候補を相手にしたという高いプレッシャーと、JFLで勝利したいというハングリーから最大の力を発揮したのだろう。

正直にいうと、90分間もの間ずっと集中力を切らさずに戦わなければ勝てない相手はJFLでもそう多くない。試合を重ねるうちに徐々に底も知れてくるようになり、抜き方も覚えてきてしまうかもしれない。ただ、老婆心ながらY.S.C.C.にはそのような悪い意味でのJFLへの適応は決してしてほしくない。
この3試合、少なくとも私が観戦したこの2試合の様な集中力を高く保った試合は見ていて非常に楽しいものだったからだ。

牧歌的な雰囲気もJFL特有の魅力ではあるが、それは日本サッカーの底上げをする上で本来ならば卒業するべき部分でもある。新しく加入したチームがハイレベルな戦い方を開幕から見せてくれたことは本当に喜ばしいことだと思っている。Y.S.C.C.は3試合を終えて1勝2敗と現時点では負けが越しているが、昨年のAC長野パルセイロ程の快進撃を心から期待している。
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