Y.S.C.C. vs AC長野パルセイロ:観戦レポート

かつて横浜マリノスと横浜フリューゲルがJリーグを戦う上での本拠地とし、紆余曲折を経て今は横浜FCがホームゲームを開催している。表面だけを見ても色んな歴史を積み上げていることが分かるニッパツ三ツ沢球技場にまたひとつ新たな歴史が刻まれた。横浜スポーツ&カルチャークラブ、通称Y.S.C.C.のJFLホーム開幕戦が開催されたのだ。JFLで本拠地として使用されるのは横浜FC以来の12年ぶりとなる。

Y.S.C.C.がJFLホームデビュー戦で迎えるのは昨年2位のAC長野パルセイロ。その強さは開幕戦で藤枝MYFCを4-0で下しているのみならず、バス2台で駆けつけたという大サポーター。賑やかな応援で飲まれるのではないだろうかという余計な心配をしたのだが、それは杞憂だった。いわゆるコアサポの数では差があったが、スクール生をはじめとするY.S.C.C.ファミリーからも大きなY.S.C.C.コールが贈られる。小雨をもかき消す、Y.S.C.C.特有の温かなホームの雰囲気の中でキックオフが迎えられた。
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主導権を握ったY.S.C.C.

開幕戦で大勝したように、この試合も優勝候補のAC長野パルセイロが圧倒的な力を見せつけるのだろうと予想したが、実際は違った。試合の主導権を握ったのはY.S.C.C.だった。Y.S.C.C.は高く保ったバックラインでボールを落ち着かせると、長いパスをトップへ次々と送り込む。

対するAC長野パルセイロY.S.C.C.の高い守備意識の前に苦戦する。AC長野パルセイロは前線へボールを運んでもそこからなかなか崩しきれない。AC長野パルセイロもゲームスピードが早い方だが、Y.S.C.C.も新参とは思えないくらいテキパキと攻守を入れ替えて対応していた。苦戦を強いられたAC長野パルセイロだったが、そんな状況の中で先制点をつかむ。前半4分、AC長野パルセイロはMF5大橋良隆のスルーパスからFW10宇野沢祐次が抜け出してゴール左隅に流し込む。劣勢の中、最初の決定機で決めてしまうAC長野パルセイロの強さよ。
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噛みあってきたY.S.C.C.が前半で追いつく

先制されたY.S.C.C.はますます勢いを増す。縦へのパスも最初はなかなか上手くいかなかったが、徐々に形が作れるようになる。後方から送られたボールをFW10辻正男やMF8吉田明生がきちんとキープして起点とし、AC長野パルセイロのゴールに迫った。前半19分、Y.S.C.C.は左サイドから送ったクロスがGKの判断ミスを誘い、フリーのFW10辻正男が苦しい体制で合わせたが、枠を外れる。 前半23分にはFW10辻正男が縦パスで抜け出してGKと一対一の場面を作ったが、シュートは防がれる。Y.S.C.C.から少しずつ得点の匂いが強くなっていった。

多くの決定機を作っていたY.S.C.C.が報われたのは前半25分。Y.S.C.C.はペナルティエリア内右でボールを受けたFW10辻正男が今度はニアにきちんと叩き込んだ。Y.S.C.C.が1-1の同点に追いつく。
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終了間際の追加点で接戦を制す

前半の45分間は非常に充実したものだったが、後半の45分もより充実した内容だった。最終ラインを高く保ち、縦へ速くボールを繋いで相手ゴールに迫る両チーム。決定的なシュートはなかなか放てなかったが、JFL2年目のチームと1年目のチームで繰り広げられる試合とは思えないくらいの緊張感が三ツ沢を包んでいた。後半11分にはAC長野パルセイロのバックパスミスをGKがゴールマウスゴールライン際で食い止めるという場面もあり、騒然となったついでにピッチ内外共に加熱した。

こう着した試合は最後の最後で動く。後半44分、AC長野パルセイロは左サイド低い位置から放り込まれたボールをMF20野澤健一が合わせてゴールネットを揺らした。この得点が決勝点となり、試合は決着。AC長野パルセイロが開幕2連勝で首位をキープした。
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総力をぶつけたY.S.C.C.、振り切ったAC長野パルセイロ

試合終了の笛がなり、肩を落として倒れこむY.S.C.C.の選手たち。善戦しながらの敗戦に失望した表れとも見えたが、身体的にも随分と堪えていた様にも見えた。ロスタイムに入るとY.S.C.C.は足を攣る選手が現れる。負けているのに、走りたいのに走れない悔しさが表情からにじみ出てきた。JFLとは思えぬゲームスピードで展開された90分。地域リーグから上がりたての彼らが無理をしていたのは明らかだった。一方でY.S.C.C.の総力を振り切ったAC長野パルセイロの強さが際立つ。劣勢の中でも少ない決定機を確実に生かし、テンポ良く攻守を切り替えて主導権を奪ってしまう。AC長野パルセイロが2試合を終えて首位に立っている理由は、戦った相手が新参だったからというそれだけで完結しない。
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