栃木ウーヴァFC vs ノルブリッツ北海道:観戦レポート

JFL入れ替え戦第2戦。栃木ウーヴァFCノルブリッツ北海道が対戦した。第1戦はノルブリッツ北海道が2-1で逆転勝利を収めている。ノルブリッツ北海道は引き分け以上でJFL昇格が決まり、栃木ウーヴァFCは2点差位上の勝利でJFL昇格が決まり、栃木ウーヴァFCが1点差勝利した場合は延長戦が行われる。会場は栃木市陸上競技場。空は冬独特の高く澄み切った空色をしていた。
写真は準備中です。写真の掲載が完了次第、この文言は取り下げます。
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焦り、攻め続ける栃木ウーヴァFC

引き分け以上でJFL昇格を勝ち取れるノルブリッツ北海道は前半の早い時間帯から全員守備の陣形を敷く。おそらくこれがノルブリッツ北海道の標準スタイルなわけだが、もし初めてこのチームを見たならば、状況的にあえて守備的になっているのだと思うかもしれない。

予想通り、試合は栃木ウーヴァFCが攻め続け、ノルブリッツ北海道がひたすら跳ね返す展開が続いた。栃木ウーヴァFCはペナルティエリア付近までは難なくボールを運ぶのだが、その先にボールを預けられない。ノルブリッツ北海道もこれは織り込み済みのようで、サイドの守備に殆ど人数をかけない。ノルブリッツ北海道の思惑通りに試合が運ばれていた印象だ。

前半12分、栃木ウーヴァFCは右サイドをMF29川里光太郎がゴールライン付近まで持ち込んで折り返すが、ノルブリッツ北海道の守備に引っかかり、クリアされる。
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前半27分、栃木ウーヴァFCは左サイド高い位置から送り込んだクロスをMF20齋藤翔太が頭で合わせたが、右にわずか外れる。
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とにかく点を取らなければならなかった栃木ウーヴァFCは前半も早くから焦りを見せはじめる。前半38分にMF10高安亮介に替えてFW25若林学を投入する。栃木ウーヴァFCは前回の試合で得点を決めたFW25若林学をベンチスタートさせた代わりに同じく長身のDF4栗原英明をスタメンに起用。高さのないノルブリッツ北海道守備陣を相手に高さ勝負を挑んでいたが、なかなか活かせなかった。前半はスコアレスで終え、後半に期待がかかった。
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守りきれなかったノルブリッツ北海道

「残り45分、守り切るぞ!」ノルブリッツ北海道の選手たちはサポーターの鼓舞を背に後半のピッチへと足運んだ。ここで一つノルブリッツ北海道がこのまま守りきれるのかという疑問に直面する。一般的に「90分守り切り」というのは非常に無茶なミッションだ。引き分けOKの状況で引き分け上等の戦術を選んだチームが守りきれた例があまり思い浮かばない。ノルブリッツ北海道自身も、地域決勝の3日目も同じ状況でファジアーノ岡山ネクストに挑み、失点している。
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嫌な予感は的中した。サンドバック状態だったノルブリッツ北海道は後半16分、放り込まれたボールに対してDF10土田真也がペナルティエリアでハンドを犯してしまい、PKを献上する。後半17分、栃木ウーヴァFCはこのPKをMF34濱岡和久が左隅に突き刺して先制点とした。
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攻めて、攻めて、攻めきれなくても攻めて、

PKで先制点を奪った栃木ウーヴァFCではあったが、攻めきれないのは変わらない。幾度かシュートを放つ機会はあったのだが、シュートは全く枠に飛ばない。ある意味今年の栃木ウーヴァFCを象徴するような状況だったわけだ。先制する前の後半4分、栃木ウーヴァFCは左サイドから放り込んだクロスをファーで折り返し、ゴール正面でフリーになっていたMF20齋藤翔太が足元で合わせる場面があったが、シュートは枠を超えた。
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後半40分、栃木ウーヴァFCは右サイドからの放り込みを起点に、最後はこぼれ球をMF32竹内優が強く叩いたが、シュートは枠を僅かに越えた。

試合は攻め続けた栃木ウーヴァFCが1-0制した。

延長戦もゴール遠く

2試合合計1勝1敗、スコアも2-2となったため、引き続き延長戦が行われた。延長戦も栃木ウーヴァFCが攻め続ける展開が続いたが、ここでようやくノルブリッツ北海道が攻めの姿勢を見せる。延長前半13分、ノルブリッツ北海道はカウンターから左サイドをFW18山田庸介が突破するが、ペナルティエリアに侵入したところでGKにボールを奪われた。

延長後半1分、ノルブリッツ北海道は左サイドからゴール前へ放り込んだボールをFW13相木良介が頭で軌道を変えようとしたが、失敗してGKにとられる。触れば入った難しい場面だった。

ノルブリッツ北海道はこれまでの試合、少ないチャンスをFW18山田庸介ら攻撃陣の高いキープ力と決定力でモノにしてきた。前回はそれで逆転勝ちを収めたが、2度目の対戦となる今回は事情が違った。ノルブリッツ北海道は大きな決定機を迎えることなく終了の時を迎える。

ノルブリッツ北海道が反撃に出た一方で、栃木ウーヴァFCが攻め続ける展開は変わらない。延長後半3分、 栃木ウーヴァFCは右コーナーキックからDF4栗原英明が頭で落とし、DF33岡田祐政がゴール目前で押し込もうとしたが、シュートはDFにゴールライン上で止められる。

延長後半8分、栃木ウーヴァFCは右コーナーキックからDF4栗原英明が頭で合わせたが、完璧なタイミングで放ったシュートは右に外れる。

栃木ウーヴァFCのシュートが決まらない。どれか一つ入っていれば・・という出来だったわけだが、その「どれか一つ」を決めれるチームだったらこの舞台に立つことはなかっただろう。

「残酷」な結末・・JFLまであと一歩だったノルブリッツ北海道

試合後、観戦に訪れていた各知人と話をしていて出てきた共通の単語がある。その単語とは「残酷」の二字熟語だ。全国で戦うか、地域で戦うかを決めるためにPKというくじ引きのような物で決めなければならなかった現実がそこにはあった。

延長戦はスコアレスで終え、PK戦は栃木ウーヴァFCが勝利した。栃木ウーヴァFCのJFL残留と、ノルブリッツ北海道の北海道リーグ残留が決まった。

その戦いぶりとスコアを目の当たりにした印象として、栃木ウーヴァFCノルブリッツ北海道も共にJFLを舞台に戦う素質は十分にある。「勝負の残酷さ」というのがこの一件に込められているとすれば、この文句は安易に使用してはならないのだろう。

ノルブリッツ北海道はあと一歩のところでJFLへの階段から足を滑らせた。しかしながら、北海道勢として「JFLに一歩届かなかった」というのは近年の結果からすると大健闘の部類に入る。JFL昇格が現実的な目標となった今、ノルブリッツ北海道ほか北海道勢のJFLへ対する盛り上がりは期待したいところだ。

おかげ様で残りました

試合後、青い一団は歓喜に満ちた。まるで優勝かなにかを決めたかのように。この日の試合には1445人もの観客が詰めかけた。普段は500人前後なので普段の3倍だ。その中には私のような物好きな傍観者も含むのだが、会場の雰囲気からして多くが栃木ウーヴァFCの応援に訪れた方と予想する。

歓喜のなかで踊る選手スタッフは揃って「おかげさまで残りました」Tシャツを着用していた。一見してシュールな絵面ではあるが、試合後のセレモニー内で贈られた言葉からもその気持ちが十分に伝わってきた。昇格したての頃はこじんまりとした「地域リーグ」らしい雰囲気だったのに、気がつけばバックスタンドはスポンサー広告で埋まり、サポーターも(お祭り状態だったにせよ)十分な体を成している。多くの人が選手の一つ一つのプレーから感情を共有した。その成長の延長線上としてJFL残留という勲章を自力で勝ち取る機会があったことは栃木ウーヴァFCにとって幸福だったのかもしれない。(もちろん、勝ったから言えることだが。)

「今日の試合が今年で一番まとまっていた」と栃木ウーヴァFCの選手はセレモニーで暴露した。決定力はともかくとして、表現するサッカーだけを見たらこんな位置にいるチームじゃない。この崖を乗り越えたこのチームが来季でどこまで飛躍するのか楽しみにしたい。

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