ジェフユナイテッド市原・千葉 vs 福島ユナイテッドFC:観戦レポート

天皇杯第4回戦。福島ユナイテッドFCがJ2のジェフユナイテッド市原・千葉に挑んだ。福島ユナイテッドFCは先日の地域サッカーリーグ決勝大会でJFL昇格を決めており、メディア露出も増え、バブルとも言える機運に満ちている。J2のヴァンフォーレ甲府やJ1のアルビレックス新潟にも勝ったその実力はいかなるものか。会場はフクダ電子アリーナ。霧雨が会場を包み込み、しっとりひんやり。
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福島ユナイテッドのスタートダッシュ

一発勝負の緊張感とは異なり、格差対決のお祭り状態とも異なる。これがただ一つの試合であることが試合前の雰囲気から感じられた。いざ試合に入って見てもとりわけ極度の緊張感は感じられない。両者ともしっかりと地に足をつけて出方をうかがった。お伺いをたてるなかで序盤から積極的に出ていたのは福島ユナイテッドFCの方だった。福島ユナイテッドFCは積極的に体を寄せてボールを奪いにいくと、そこからセットプレーやショートカウンターの機会を作った。

前半2分、福島ユナイテッドFCはフリーキックの流れから最後はゴール直前でFW9小林康剛がシュートを放ったが、GKにとられる。
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前半9分、福島ユナイテッドFCは高い位置でボールを拾ってカウンターをしかけると、最後は左サイドを駆け上がったFW11久野純弥がシュートを放ったが、GKこちらもに防がれた。
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勿体無い2失点

流れは完全に福島ユナイテッドFCに傾いていた。確かにその裏にはジェフユナイテッド市原・千葉の守備的な戦い方や、より慎重になり仕掛けてこなかった事情もある。そのジェフユナイテッド市原・千葉の出方を差し引いても、地域リーグクラスの割に十分通用していた印象だ。それだけに、次の場面は非常に残酷なものだった。

前半13分、福島ユナイテッドFCジェフユナイテッド市原・千葉に左コーナーキックを献上すると、放り込まれたボールは競り合ったFW9小林康剛の背中に当たってゴールへと転がり込んでしまった。
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手応えをつかんでいた矢先の自殺点はそうとう堪えたはずだ。それを表現するかのように試合再開後の福島ユナイテッドFCの選手はより激しくボールを奪いにいく。そのおかげでラフプレーが見られたのはともかく、ディフェンスに乱れが出来たのはまずかった。

前半24分、福島ユナイテッドFCは自陣ペナルティエリア手前でジェフユナイテッド市原・千葉のMF39谷澤達也にフリーでボールを持たせてしまう。それだけならまだしも、福島ユナイテッドFCの守備陣は一瞬その様子を注視してしまった。ピンと開いたシュートコースをMF39谷澤達也は逃さない。正確なシュートが福島ユナイテッドFCのゴールを襲い、福島ユナイテッドFCは2点目を献上してしまった。
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攻めるしかない福島ユナイテッド

仕方がなくも勿体無い失点を重ねてしまった。福島ユナイテッドFCは前半31分に負傷したMF6鴨志田誉に替えてスーパーサブのFW7時崎塁を投入し、落ち着きを取り戻すと、残りの時間で攻めたてる。幸いにしてジェフユナイテッド市原・千葉は積極的に攻めてこない。それだけならず、パスミスも随所で見られて隙だらけだ。

前半44分、福島ユナイテッドFCは左サイドから上げたクロスを折り返し、落としたボールをFW7時崎塁が反転してシュートしたが、右に大きく外れる。
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後半に入っても福島ユナイテッドFCが攻め続ける展開に変わりはない。後半6分、福島ユナイテッドFCはペナルティエリア右手前で得たFKから途中出場のMF10金功青が直接狙ったが、わずかに上へ外れる。
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後半12分、福島ユナイテッドFCは左サイドで得たFKからゴール前へ放り込むと、FW7時崎塁が頭でピタリと合わせたが、シュートはGKにとられた。
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福島ユナイテッドFCはその後もジェフユナイテッド市原・千葉の守備の乱れにつけ込んで幾度かいい場面を作っていたが、決定的なシュートはなかなか打たせてもらえない。そうこうしているうちにいよいよ流れはジェフユナイテッド市原・千葉に傾いてしまった。

ジェフの怒涛の反撃

福島ユナイテッドFCの攻撃を耐え忍んでいたジェフユナイテッド市原・千葉は、福島ユナイテッドFCが引き出しを全開にしたところでようやく主導権を握る。ジェフユナイテッド市原・千葉はこの試合これまでにないくらい敵陣で丁寧にボールを回すと、福島ユナイテッドFCのゴールへと迫り続けた。後半30分、ジェフユナイテッド市原・千葉は左CKからDF5山口智が頭一つ抜け出して合わせたが、GKのファインセーブにあう。この場面は止められてしまったが、いよいよ「反撃」に出てきた。
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後半31分、ジェフユナイテッド市原・千葉は左サイドから組み立て、スルーパスで最終ラインを突破したFW18藤田祥史が右隅に決めて3点目とする。
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後半36分、ジェフユナイテッド市原・千葉は左サイドからMF15兵働昭弘がマイナスの折り返しを入れると、ゴール正面に詰めていたFW30戸島章が合わせて4点目とする。
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大敗の中に見られた大きな差

ジェフユナイテッド市原・千葉はMF15兵働昭弘の得点でさらに1点を追加し、後半終盤だけで3点を叩き込んだ。スコアは5-0でジェフユナイテッド市原・千葉が勝利。J2チームがその貫禄を地域リーグチームに見せつけた。

かいつまんで見てみると点差ほどの差は無かった。福島ユナイテッドFCはよく攻め、決定的なシュートの場面を多く作っていた。ジェフユナイテッド市原・千葉の守備も姿勢も100点満点とは言い難いくらいに粗かった。差があったとすれば、ひとつにその多くのチャンスを決められるかどうかという所だったのだろう。福島ユナイテッドFCが10本打って1本も居れらなかったとすると、ジェフユナイテッド市原・千葉は3本のシュートで1本を決めるくらいに正確だった。もし、福島ユナイテッドFCが最初の幾つかの決定機で枠内シュートを放てていたら、違った未来が切り開けていたかもしれない。

また、福島ユナイテッドFCは試合運びの点でも差を突きつけられた。先制点の取られ方は非常に不運だったわけだが、この失点で動じてしまったのが更なる失点を導き、相手に余裕を与えてしまった。(外から見てたら不運だが、恐らく選手間での駆け引きでジェフユナイテッド市原・千葉の選手が上手だったというピッチレベルでの事情はあったのだろう。)常勝チームが崩れた時、崩壊の音はなかなか鳴り止まない。そこで歯止めを効かせられるかどうかが「5点」という大きな差に繋がったのかもしれない。それにしても地域リーグのチームとプロのチームをこうシッカリと比較してみる機会は個人的にあまり無かったので興味深かった。
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次のステージへ

試合後、福島ユナイテッドFCの選手らはアマチュアの通例通りに相手選手への挨拶を行い、自サポーターへの挨拶を済ませたらジェフユナイテッド市原・千葉のサポーターへ挨拶を行った。何点取られようと、体力が尽きそうになろうと、最後の最後まで走り続けゴールを目指し、関わった人たちのリスペクトを怠らない。福島ユナイテッドFCはアマチュアの中のプロフェッショナルを貫き通した。「JFLへ行こう」と歌ってその場を締めた彼らではあるが、地域リーグで培った精神はいつまでもそのままであってほしい。
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