FC町田ゼルビアvsブラウブリッツ秋田:観戦レポート

最寄りのバス停である野津田車庫から野津田運動公園町田市陸上競技上へとぬけるには2つのルートがある。ひとつは鶴川駅行きのバス停の脇を抜けて行くルート。もうひとつは野津田車庫正面の横断歩道を渡ったところの脇道から抜けて行くルート。前回、野津田車庫から歩いた時はバス停の脇を抜けて行くルートを利用したので、今回はもう一方のルートを利用してよう。聞けばこちらの方が同じ山路でも舗装されているとのこと。距離も若干短いらしい。

ところがこの選択を後悔することとなる。確かに道は舗装はされているが、とても急勾配。そのうえ登ってから下るという無駄なエネルギーを使わされるので理系人間には向かない。理系人間はともかくとして、足の悪い方は登ることすらままならないかもしれない。この経路は紹介すべきじゃないな。競技場へのルートは断然バス停脇の方をお勧めする。

山路を抜けると、いよいよ競技場が見えてくる。ちょうど選手のピッチ内練習が始まったところらしい。公園内に響き渡る聞き覚えのあるチャントにが私の歩みを加速させた。誰が聞いてもあそこでサッカーが行われていると分かるに違いない。これまでチャントが漏れ聞こえてくることなどあっただろうか。

競技場に足を踏み入れると、新しくなったゴール裏に群がる青い戦士たちが目に入る。その量は明らかに増していた。そういえば、町田ゼルビアの公式戦を野津田で観戦するのはずいぶんと久しい。さかのぼってみると意外にも昨年の6月13日に行われたホンダロック戦が最後だった。あれから約1年で約倍増といったところか。町田ゼルビアの声だしサポーターと言えば、バックスタンドの一角で10人程度というイメージが大きかった。当然、チャントはなかなか遠くまで届かず、メインスタンドで見ているとクライマックスで野次に劣る。そんな感想を抱いていたことを暴露するのは始めてのはず。しかしもうそんな昔話はいいだろう。野次のBGMになっていたチャントも今や立派にホームの主導権を握っていた。努力は報われる。

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昨年からの変更点を一つづつ挙げていくとキリがないくらいに色々と変わっているので本題に行きましょう。最近は余談が過ぎます。

本日はJFL前期第11節「FC町田ゼルビアvsブラウブリッツ秋田」の一戦。FC町田ゼルビアは2連勝と波に乗りかけた所で前節のツエーゲン金沢戦で引き分け。エースの勝又を退場で欠くおまけ付きで本節は正念場となっている。ブラウブリッツ秋田は開幕戦で勝利したものの、その後は勝ちが無い。いまいち乗り切れない両チームが対峙した。

天候は五月晴れで服装を誤ると暑いくらい。かわりに時折吹く強風が競技場全体を渦巻いていた。強風は風向が定まってなかったゆえに試合には大きく影響がなかったらしいが、スポンサー看板が動いたり、入場口のMDPが舞い上がったりとピッチ外では多いに影響があったと見える。

町田ゼルビアが一気にたたみこむ

試合が始まると町田ゼルビアがラインを高く敷き、積極的に仕掛けた。攻めては持ち前の素早いパス交換から守備網を切り裂こうとし、FWの19北井佑季はボールを持つとドリブル突破を仕掛ける。それをJFL離れしたスピードでやられるのだからブラウプリッツ秋田もたまったものではない。しばらくは町田ゼルビアが試合を完全支配した。

先述の通り、この試合はチーム内得点王の7勝又慶典が不在。エース不在の町田ゼルビアがどんなものかというのが一つの焦点となっていた。結論を急ぐと、町田ゼルビアにとって勝又はひとつのオプションに過ぎなかった。代わりに入った19北井佑季は勝又とタイプこそ違えど、町田ゼルビアのサッカーが変わるようなことはない。裏に抜けるスピードは勝又に及ばないが、豊富な運動量と高いキープ力でブラウブリッツ秋田の守備を煩わせた。

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先制点はその北井から生まれる。開始6分、ゴール正面でボールを保持した北井はそのまま前進を試みる。するとブラウプリッツ秋田の守備は思わず北井を倒してしまい、ファウルを与えた。

ゴール正面といういい位置でFKを得た町田ゼルビア。キッカーの17鈴木崇文が右足を振り抜くとボールはブレ球となる。ブレ球となったボールは誰にも触れられることなくゴール右上に突き刺さった。開始早々、あまりにも綺麗に決まった一発に興奮するバックスタンド。「リプレイは?ないのかよ!」はやく液晶ディスプレイを付けてあげてください。

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お手上げブラウブリッツ秋田・・ワンチャンスをモノにする

町田ゼルビアのワンサイドゲームで始まった前半戦だったが、開始10分を過ぎると町田ゼルビアの怒涛の攻撃も落ち着く。町田ゼルビアはサイドを低くし、カウンターを狙うスタイルに移行した。

ここでようやくブラウプリッツ秋田に攻撃権が与えられる。ブラウブリッツ秋田はサイドを起点に組み立てようとした。しかし町田ゼルビアの速い寄せに遭ってしまい、ボールを上手く収めることができない。攻めどチャンスらしいチャンスを作れない時間が続いた。

それでもブラウプリッツ秋田はしぶとく攻め続けたことで好機を得る。39分、ブラウブリッツ秋田は町田ゼルビアが最終ライン付近で回していたボールを奪うと、ショートカウンターを仕掛けた。

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奪ったボールはあっという間に8比嘉厚平へと送られる。すると、比嘉は落ち着いてこのボールをゴールにぶち込んだ。ブラウプリッツ秋田はチームとして最初に放ったシュートで得点。高い決定力を見せてくれた。

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冷静さを取り戻したブラウブリッツ秋田が後半を支配

同点で迎えた後半戦。また町田ゼルビアが猛攻をしかけてくるのだろうと思っていたが、後半の主導権を握ったのはブラウブリッツ秋田だった。ブラウブリッツ秋田は前半こそ町田ゼルビアの速いテンポにつられて攻め急いでいたが、後半は自分たちが回しやすいテンポでボールを回した。そうそう、これがJFLのテンポ。冷静さを取り戻したブラウブリッツ秋田が試合を支配した。

ブラウブリッツ秋田はマイペースでボールを回してポゼッションを高めると、サイドに配球し攻撃を組み立てる。決定的なチャンスこそ得られなかったが、前半の戦いぶりからはまるで想像できないほどにブラウブリッツ秋田は悠々とプレーしていた。

決定機で決めきれない

前半の立ち上がりこそJFL離れのスピード感あふれるパスサッカーを見せてくれた町田ゼルビア。後半戦を最後まで見終えたところでも、あれ以来破壊力のある突破を見ることは無かった。

それでも町田ゼルビアは選手を入れ替えながら徐々に主導権を取り戻す。後半15分には9山腰泰博が出場すると、山腰は直後に絶好機を迎える。

後半15分、町田ゼルビアはゴール正面で11酒井良がボールを保持すると、最終ラインの裏にボールを送る。至近距離ゆえ丁寧に送られたボールは抜け出した9山腰泰博の足元に収まった。打てば入るどころか触ればゴールという絶好機。バックスタンドのゼルビアファンはすでにガッツポーズを構えていた。

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しかし力み過ぎたか、山腰の放ったボールはゴール左へそれる。彼らが構えたガッツポーズは力を失って重力に屈した。

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そのカウンターだった。20分、ブラウブリッツ秋田は10松田正俊がゴール正面の30m付近でボールを保持すると、右足を振り抜く。綺麗な弧を描いたボールはGK吉田宗弘の頭上を通り過ぎてゴールへと向かった。しかしボールはわずかにバーを超える。

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アディッショナルタイムの逆転弾

1点が遠い町田ゼルビア。時計は45を振り切り、いよいよ2戦連続の引き分けが目の前に迫ってきた。ところが最後にビッグチャンスを作ったのはアウェイのブラウブリッツ秋田だった。ブラウブリッツ秋田は後半のアディッショナルタイム、左サイド後方でFKを得ると、これをゴール前へ放り込んだ。ゴール前へ向かったボールは途中出場16三好洋央の頭を捉えてゴールネットを揺らした。

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待ちに待った追加点はブラウブリッツ秋田が決めた。耐えに耐え抜いてアディッショナルタイムに逆転弾を決めるなんて何と劇的なことか。ああ、アンチフットボールの美しさよ。アウェイスタンドの一角に陣取った青い軍団のわずかな歓喜が町田市陸を支配した。ところがこだましたのは一瞬の出来事。副審が黄色いフラッグを突き出しているのに気がつくまでの一瞬の間にはたくさんの感情が凝縮されていた。

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最終的に攻め続けた町田ゼルビアだったが、ブラウブリッツ秋田の冷静かつ的確な守備の前に追加点を奪うことができなかった。スコアは1-1でドロー。勝者なき戦いだったが、バックスタンドから試合直後のサポーターの表情を見る限りは満足の結果を得たのはブラウブリッツ秋田の方だった。

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町田ゼルビアが破壊神となるとき

劇的な変化を遂げた野津田公園だったが、町田ゼルビアの試合内容も劇的に変わった。攻撃面でそれは顕著に現れており、左右を広く使った攻撃、素早いパス回しがそれに当たる。もちろん、今まで築いてきたサイド攻撃のベースはゆるぎがない。ただし、昨年と比べて木島良輔がいなくなり変化をつけられなくなった分、攻撃パターンが単調になりがちとなっている気がした。サイドから中央に展開する攻撃パターンを繰り返す町田ゼルビアの攻撃に対しては、ブラウブリッツ秋田がそうしたように、中央を固めてしまえば楽に守れる。立ち上がりこそ圧倒したが、前線でボールホルダーになっていた北井を封じられたらそれだけで攻撃の選択肢が激減した。基本的なことではあるが、ミドルシュートを積極的に打って縦に揺さぶりをかけたり、パス交換の速さに変化をつけたりと、意識一つでできることはある。

町田ゼルビアによる最高出力時の攻撃はJFLのレベルを凌駕した破壊力がある。この攻撃を活かせる試合運びができる様になれば首位独走は間違いなさそうだ。

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