マルヤス工業vs矢崎バレンテ:観戦レポート

名古屋駅からあおなみ線で20分にある港サッカー場。古くから社会人サッカーを追いかけているファンにとって名古屋で社会人の試合といえばここだそうだ。立派なメインスタンドと適度な傾斜をもった芝生席がピッチの四方を囲む。名古屋グランパスがもしこちらをホームスタジアムにしていたらJリーグ屈指の専スタ(要改修工事)と言われたかもしれない。こんな綺麗なスタンドで観戦できるとは東海リーグも捨てたもんじゃない。

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・・と思ったのは昔話。実際は予算の関係でスタンド使用のアポイントをとっておらず、使用できるのはピッチと諸施設のみとのこと。確かに別途料金を払ってまで十数人の野次馬に広大な観客席を開放する必要もない。ベンチの裏に場所をとって観戦することになった。野次や苦言でも言ってみろ。全部監督に筒抜けだ。下手な事は口にできない。逆もまた然り。しかしこんな試合環境も地域リーグではよくあること。サッカーそのものを純粋に楽しみたいファンには是非ともオススメしたい。

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いきなり締めてしまったが、東海リーグの話をしよう。芝かぶり席ならぬ野次かぶせ席で観戦となったのは「マルヤス工業vs矢崎バレンテ」東海リーグの開幕戦はいきなり上位候補同士の対戦を用意した。

攻めるマルヤス工業

試合はマルヤス工業が攻勢ですすめる。マルヤス工業は高い位置でボールを奪うとサイドに展開。クロスからゴールに迫り続けた。矢崎バレンテはラインを高めにしながらも重心は低く保つ。マルヤス工業の攻撃をあしらながら両サイドにボールを走らせてカウンターを狙い続けた。

試合は両チームの守備が手堅く、中盤で膠着。しばらくもどかしい時間を過ごした。

ロングループシュート炸裂

このまま膠着を続けるかと思われたが、試合は急展開を迎えることに。仕掛け人は矢崎バレンテの18番。40分、彼は敵陣のごく浅い位置でボールを保持すると、前線にボールを放り込んだ。放り込まれたボールはポジションが前目になっていたGKの頭上を通過。そのままゴールに侵入する。してやったりの喜びを表現すると、ベンチにいって靴を磨くパフォーマンスを強いた。

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まったくサッカーとは何が起こるかわからない。押し気味に進めていたマルヤス工業は一本のロングシュートに屈する結果に。前半は試合の構図と反するように矢崎バレンテがリードして折り返した。

止まらないマルヤス工業

後半もマルヤス工業のペースで試合が進む。いや、試合が終わった今思えばペースを握っていたのは矢崎バレンテの方だったのかもしれない。反省会はさておき、マルヤス工業が攻撃的に進める展開に違いはない。それどころかまさか無得点で終えるとは思えなかった。

しかしスコアは逆 をいく。24分、矢崎バレンテは右CKを獲得すると、これを簡単に放り込む。長身の6番がGKと競りながら頭で合わせたボールはふわりとした軌道を描いてゴールに向かう。フォローに回っていた4人の守備陣が何とかかき出したように見えたが判定は矢崎バレンテの追加点となった。矢崎バレンテは押される試合展開のなかできっちりと得点を追加した。

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マルヤス工業が2点差を追いつく

2点のビハインドを負ったマルヤス工業。諦めてもおかしくない時間帯だったが、マルヤス工業はしぶとく攻撃を続けた。右サイドを20片山雄太が突破すれば、左サイドを17築舘秀飛が切り裂いた。

そして、ようやくワイドになったマルヤス工業の攻撃がようやく実る。マルヤス工業は32分に17築舘秀飛の得点で1点を返すと、後半37分、マルヤス工業は右サイドから中央へボールを送る。中央でボールを受けたのは6西森磨彦。6西森磨彦はボールを足元に収めると、保持したままするすると中央を突破。GKとの一対一を冷静に制した。

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まるで堤防が決壊したかの様に流し込んだ2得点。攻撃が実ったマルヤス工業の勢いに2点差逆転の期待がかかった。

結末

矢崎バレンテは安々と逆転されるほど甘いチームではなかった。後半44分、矢崎バレンテは右CKを獲得すると、再び長身の6番の頭をめがけて放り込む。今度はGKが優ったが、こぼれたボールを18番が拾った。マークにあい体制が十分でなかった彼は中央にいた2番にボールを預けると、2番は迷いなく左足を振り抜いた。

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ここで入れられれば2得点差を追いついた努力が報われない。マルヤス工業の守備も体を張ってシュートを止めたが、こぼれ球を9番に拾われてしまう。がら空きのゴールに9番がボールを蹴り込むのは簡単なことだった。

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東海の強豪は死なず

矢崎バレンテと言えば地域リーグファンなら馴染みのあるチーム。かつて静岡FCが東海の頂点に君臨していたそのときも、東海の2番手として常に全国大会で優秀な成績を収め続けてきた。2009年には東海王者として地域決勝にも出場。ついに矢崎バレンテの時代がきたかと思ったファンは多かろう。

ところが2010年には藤枝MYFCFC刈谷ら勢いがあるチームの台頭と共に順位を下げてしまい、2部降格寸前の状態だった。もっとも、順位を下げたのにはチーム自体が転換期にあったとのことだが。東海の強豪は死んでしまったのか。そんなネガティブな気持ちで観戦に及んでしまったことを申し訳なく思うと同時に、矢崎バレンテの力強さが見えたのはとても嬉しかった。

試合は矢崎バレンテマルヤス工業に3-2で勝利。東海の古豪が新興勢力をねじ伏せた。

愛知県から新勢力、マルヤス工業

昨年から急激に力を伸ばしたマルヤス工業。昨年も藤枝MYFCFC刈谷らビッグネームに隠れてしまっていたが、強豪ひしめく東海社会人リーグでの3位という順位は3番手というそれ以上の意味を持つ。今季は全社の愛知県予選で優勝。日本で3番目の都市圏を牽引する愛知県において社会人チームの頂点に立った。藤枝MYFCを脅かす存在になるだろうと予想したファンは少なくないはずだ。

実際、マルヤス工業のサッカーは完成度が高かった。右サイドの高い位置を起点とし、後方から押し上げる攻撃的なスタイルは矢崎バレンテを押し込んだ理由として十分に成立する。ただし、試合運びの面で難があるのは結果が示したとおり。チームとしての経験の違いが現れてしまった。

プレーエリアが狭いのも気になった点だ。焦れば焦るほど狭いところに通す傾向があった。左右を広く使うとはよく言った話だが、パターン化された攻撃は矢崎バレンテも守りやすそうに見えた。

秘めたる力は無限大。素人目線で見ても修正できそうなポイントはいくつかあったので、シーズンを戦いながらも成長を見せてくれるに違いない。激戦区東海で痛恨の1敗を喫したマルヤス工業だが、されど1敗。愛知県に現れた地域リーグの新たな強豪の行方をじっくり見届けたい。

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