三洋電機洲本vsカマタマーレ讃岐:観戦レポート

地域リーグ決勝大会決勝ラウンド3日目第2試合「三洋電機洲本vsカマタマーレ讃岐」。第1試合の結果、AC長野パルセイロの2位、YSCCの4位が決まったためこの試合は優勝を争う試合となった。三洋電機洲本は90分以内の勝利で優勝、それ意外で3位となり入替戦を戦うこととなる。逆にカマタマーレ讃岐は90分以内で敗れなければ優勝となった。奇遇にも引き分けとなった第1試合と同じ境遇。9地域の頂点を決める6日間もこの試合で終わる。

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三洋電機洲本が攻めた前半戦

前半はJFL昇格へ勝利が必要な三洋電機洲本が積極的に攻める。最終日とあって、三洋電機洲本にもついに声だし応援が加わった。メインスタンドでは「eneloop」と書かれた青いスティックバルーンと赤いタオルマフラーが配られる。三洋電機洲本に関係がある人も無い人も一体になって選手の背中を押した。
18分、三洋電機洲本は右サイドから14梅川毅士が抜け出すと、勢いをそのままにシュートを放つ。DFともつれながら放ったシュートはGK家木にしっかり止められてしまった。

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43分には正面遠目の位置から8廣瀬一樹がミドルシュートを放つ。一直線にゴールを目指したボールはGKを惑わす弾丸となったが、惜しくもクロスバーを叩くのみだった。

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無理をしないカマタマーレ讃岐

一方のカマタマーレ讃岐は全くと言っていいほど攻めに転じなかった。全社の5日間決戦を無敵で勝ち上がったカマタマーレ讃岐でさえこの日は体力に気を遣っていたようだ。攻めても岡本、吉澤、飯塚といった攻撃的な選手が絡むのみ。まるで攻撃に厚みが無かった。吉澤に至ってはマリーシアを繰り返すなど、時間稼ぎと相手の集中を乱すのに精を出していた始末だ。
前半はカマタマーレ讃岐の思惑通り、スコアレスで終了する。引き分け以上でよいカマタマーレ讃岐とて、まさか最初から引き分け狙いなわけがない。どこかで点を取りにくるときが勝負の分かれ目となった。

後半からカマタマ始動

後半に入ると、いよいよカマタマーレ讃岐が攻めに転じる。両サイドを制圧して三洋電機洲本を押し込むと、チャンスを作り続けた。こうなると逆に三洋電機洲本の強さが生きる。三洋電機洲本の眈々としたカウンターは迫力こそないものの、決定力が高い。全国の強豪を押しのけてきたのを目の当たりにしているだけに、尚更緊張感を感じる展開となっていた。スコアを動かすのはどちらか。
先制したのはカマタマーレ讃岐だった。後半13分、カマタマーレ讃岐は左サイドでFKを得る。8下松裕が上げたクロスは22神崎亮佑の頭を経由してゴールへと収まった。カマタマーレ讃岐は決勝大会で得た4得点全てがセットプレーでの得点となった。セットプレーで得点できるチームは強いと言うが、それを身をもって実践した形となった。

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走り抜いた三洋電機洲本

失点を喫して自動昇格が絶望的となった三洋電機洲本。逆転へ何かしらアクションを起こしたいところだった。しかしながら、三洋電機洲本の体力はもはや限界に達していた。走るのが精一杯でパスは精度を欠き、まるで攻撃を組み立てられない。私自身が藤枝からの6試合全てを見ているという背景が影響しているのかもしれないが、精魂尽きても走り続けた三洋電機洲本には強く心を打たれた。
特筆すべき絶好機は両チーム共に訪れなかった。前半に体力を使い切った三洋電機洲本と、90分走り抜いたカマタマーレ讃岐。負けなければよいという精神的なアドバンテージがあったとはいえ、カマタマーレ讃岐が駆け引きで勝った形となった。

なるべくしてなった王者カマタマーレ讃岐

カマタマーレ讃岐は全国社会人サッカー選手権大会に続いての2冠となった。これで2年連続で全社王者と地決王者が同一チームになったことになる。準優勝のAC長野パルセイロも全社で準優勝となっており、今後も全社の結果がひとつのパラメータとなりそうだ。
カマタマーレ讃岐は2年ぶりの決勝大会で悲願を達成した。かつて四国王者として出場した時は大敗を喫することも珍しくなく、カマタマーレ讃岐への評価は一向に上がることがなかった。ところが全社で優勝し、一躍脚光を浴びると、マークがきつくなったであろう地域リーグ決勝大会でも勝ち星を重ねた。
カマタマーレ讃岐の特徴は守備に徹した時の強さ。3バックから5バックまで自在に変化するバックラインはなかなか興味深かった。この地域リーグのカテゴリにはサイドから崩すチームが多いだけに、5バックで両サイドを固めてしまえば大抵の攻撃は防げる。攻めては3枚のみを最後尾に配置して前線の枚数を厚くする。攻撃陣は飯塚をはじめとしたボールを足元に収めることができる選手が揃っているため、相手のバックラインの裏を幾度となく突いてきた。
そして何よりも印象的だったのはオンとオフの切り替えが上手かったこと。相手に主導権があった場合は無理をして攻めず、疲れたところでスピードを上げて勝負を仕掛ける。それは正に勝ち方を知っているチームの戦い方だった。Jリーグのチームがなく、サッカーをあまり知らない文化圏のチームは、このオンとオフの戦い方を使い分けられないことが多い。香川県のチームがこれほどに成熟した戦い方をしてきたのは衝撃だった。正に昇格すべくして昇格したとしか言いようがない。カマタマーレ讃岐おめでとう!

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昇格2チームの共通点、鍵は普段のリーグ戦

まだ入替戦を残しているが、昇格を決めた2チームの共通点をここで挙げたい。両チームに共通するのは普段のリーグ戦から地域リーグ決勝大会を意識した戦いをしてきたことだ。
優勝したカマタマーレ讃岐で印象的なのが9月に四国リーグを観戦に行った時の光景だ。中位のチームを相手に前半を3ー0のリードで折り返すも、ハーフタイムのミーティングでは徹底的にダメを出した。それ自体は珍しくなくないことかもしれない。しかし北野監督の「この程度の暑さでへばっていたら3連戦は戦えない」という言葉が今でも耳に残っている。カマタマーレ讃岐は常に地域決勝を意識した戦い方をしてきた。そして、カマタマーレ讃岐はリーグ戦を勝ち取った後に、全社できちんと優勝を果たしている。
AC長野パルセイロについては数字に残っている。リーグ戦14試合で68得点というのがそれだ。数字だけでなく、8月に観戦に行った時は何得点しようが常にスコアレスの戦いをしていた。同等のチカラがあるJAPANサッカーカレッジとの差を見ればなお分かりやすい。その成果として、AC長野パルセイロは一次ラウンドでさいたまSCに4得点、決勝ラウンドでも三洋電機洲本に4得点を奪っている。決勝ラウンドの最終戦でAC長野パルセイロが自力で2位を決められたのもその4得点が大きく影響しているので軽視できない。
私も全ての地域の全てのチームを等しく見たわけではないので一概には言えないが、とりわけこの大会を意識して戦ってきたチームが頂点を極めることとなった。JFL昇格を有力視されながらも一次ラウンドで散ったチームに決定的に足らなかったのはこれだ。
勘違いしていただきたくないのは、リーグ戦を軽視しろというわけではない。きちんと目の前の対戦相手に目を向け、相手がどこだろうと等しく丁寧に戦うことが求められると言いたい。敗退したチームは相手を軽視して戦ってはいなかっただろうか。結果としてリーグ戦さえ優勝すればよいと考えていなかっただろうか。選手のキャリアだけを比較して勝った気になっていなかっただろうか。まだまだ地に足が付いていないチームが多いことを警告して本大会の締めとしたい。

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