トヨタ蹴球団vsノルブリッツ北海道:観戦レポート

全国社会人サッカー選手権大会第2日目。乃木浜運動公園の第1試合はAコートでtonan前橋vsヴォラドール松江、Bコートでトヨタ蹴球団vsノルブリッツ北海道が行われた。
乃木浜運動公園は開た土地にポツリとある公園で、豊かな自然に囲まれている。加えてBコートはスタンドが無く、芝生の土手から見下ろす形で観戦する。豊かな自然に囲まれた場所で行われることが少なくない東海地域の代表と北海道地域の代表というイメージも悪かった。暖かな日差しと爽やかなそよ風が会場を包み、盛り上がるAコートと比較することでBコートの牧歌的雰囲気が強く出た。
長閑な環境の中で行われた試合。どちらが勝っても「頑張った」で済ませる事しか考えていなかった私自身を今は反省している。舞台は全社。どんなに環境が緩くとも、そこは戦場でしかなかった。

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攻撃対攻撃

前半は両者が攻守を入れ替えながら決定機を作り合う。ノルブリッツ北海道は縦に速くボールを動かし、サイドを広く使って高いところで攻撃の起点を作る。トヨタ蹴球団は縦横をコンパクトに保ちながらサイドから中央へ展開する攻撃を見せた。攻撃的なサッカーを見せ合ったトヨタ蹴球団ノルブリッツ北海道。一対一の場面でも激しくぶつかり合い、勝利への執着心をピッチ全体で表現した。

ノルブリッツ北海道が順当に先制

得点が無いまま前半を終えるのかと思われたロスタイムに試合は大きく動く。ノルブリッツ北海道は右サイド後方でFKを得ると、10土田真也がゴール前に低いボールを放り込む。このボールに反応したのは13相木良介。相木は難しい体勢ながら足でボールを捉えると、それをゴールに押し込んだ。2年ぶりの地域決勝出場を目指すノルブリッツ北海道が順当に先制する。

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これが勝利への執念!トヨタ蹴球団すかさず同点

ところで、トヨタ蹴球団は第1回戦で坂戸シティFCに4-2で勝っている。2点差をひっくり返しての劇的な勝利だった。恐るべき勝利への執念というべきか。トヨタ蹴球団はこの勝負強さを第2回戦でも発揮する。
前半ロスタイム、トヨタ蹴球団はペナルティエリア内左でボールを保持した8鈴木淳也が狙いすましたシュートを放つ。ボールは綺麗にゴール右上に吸い込まれたかのように見えたが、ポストに当たってしまった。そこに詰めていたのが19蓮尾和也。シュートに対してきちんと詰められている辺りに勝利へのこだわりが表れていたのかもしれない。蓮尾は跳ね返ってきたボールをキチンとゴールに押し込んだ。

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劇的な展開でそのまま前半終了をするのだが、この程度で劇的と表現していたらこの後の展開はどう表現したら良いのだろう。

トヨタ蹴球団がPKで逆転!

後半も両者共に攻撃的なサッカーを繰り広げた。攻撃の形は変わらず、前半の続きを見ているようだった。得点が入らないのが不思議なくらいだ。
試合が動いたのは後半11分。トヨタ蹴球団はPKのチャンスを得ることになる。キッカーは8鈴木淳也。鈴木はこれを冷静に決めて逆転弾とした。

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消耗戦へ

攻撃的なサッカーは長く続かなかった。両者徐々に体力を消耗して行き、スペクタクルな展開は何処かへいってしまう。あたりの激しさだけが目立ち、両チームに配られた警告合計7枚は少なく済んだ方かもしれない。
1点を追うノルブリッツ北海道が後半に得た絶好機は25分。ペナルティエリア内右から3桂田直和が強烈なシュートを放つと、GK北川が弾いた所を16伊古田建夫が再び蹴りこむ。1本くらいは入っていてもおかしくなかった。しかしそれをさせなかったのはトヨタ蹴球団のGK北川佑樹。GK北川は連続のピンチを冷静なセーブで防ぎ切った。

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ところで、このプレーでGK北川がうずくまってしまう。試合は一時中断。このプレーがこの試合をクライマックスに導くと、誰が予想したのだろう。
後半35分、1点を追うノルブリッツ北海道はMF土田真也を下げてFW浅井達郎が投入された。3トップに布陣を変更して逆転を狙う。

ロスタイム

「ロスタイム5分あるぞ!いけるいける!」そう叫んだのは控えのGK阿部巧。声だし応援が無いと選手の声がよく聞こえる。応援がないのもさみしいが、これもまた社会人カテゴリの楽しみ方の一つと言える。次の瞬間、第4の審判はロスタイム5分を掲示した。
後半ロスタイム2分、ノルブリッツ北海道は右サイドの高い位置から上げられたクロスに対して、中央にいた20浅井達郎が頭で合わせる。ボールはファーサイドでフリーになっていた18山田庸介につながった。山田は丁寧にボールをゴールに放り込んでノルブリッツ北海道がロスタイムで同点に追いついた。

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それだけでは終わらなかった。同点の興奮が冷めやまないうちにドラマは次の展開へ移行する。ノルブリッツ北海道は6松田隆志がドリブルで強引に突破してシュートを放つと、ゴールネットを揺らした。僅か2分の間で2得点。ノルブリッツ北海道がロスタイムにあっという間に逆転してみせた。

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しかしこれもこれから起きるドラマの伏線に過ぎない。トヨタ蹴球団は冷静に攻撃を厚くすると、逃げ切り体勢のノルブリッツ北海道を押し込んだ。
後半ロスタイム5分、左サイドから放り込まれたボールはペナルティエリア内右に居た12秋山誠に収まる。秋山はGK山本が飛び出していたのを見逃さなかった。秋山が山なりに蹴り出したボールは、弧を描いてゴールに吸い込まれていった。この時点で3-3。トヨタ蹴球団が土壇場で同点に追いついた。

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長かったロスタイムもそろそろ終わり。トヨタ蹴球団はゴール前でFKのチャンスを得る。約束の5分は既に過ぎており、間違い無くこれがラストプレーになる。
延長戦を覚悟した次の瞬間、キッカーの8鈴木淳也が蹴り出したボールは右ゴールポストを叩くと、内側に跳ね返ってゴールネットを揺らした。主審は得点を認めるホイッスルを鳴らすと、続いて試合終了を告げた。

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逆転、逆転、また逆転。前後半終了間際に激しく点を取り合ったシーソーゲームはトヨタ蹴球団が4-3で制した。これ以上激しく劇的な点の取り合いになる試合を観戦する機会はそうそうないだろう。勝利への執念をぶつけあった両チームに最大限の拍手を送りたい。

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