奈良クラブvsAS.ラランジャ京都:観戦レポート

西京極補助競技場の第2試合は「奈良クラブvsAS.ラランジャ京都」の一戦。奈良クラブのホーム最終戦は京都市の西京極で行われた。奈良クラブがホームの扱いなのになぜ西京極で試合をするのか。これは会場設定をしている関西リーグが奈良クラブに嫌がらせをしているのではない。奈良県で使える競技場が限られているなど、物理的な問題から起きてしまっている問題だ。これでも今年は関西リーグのサポーター有志による要望により、かなり改善されたというのだから驚きである。
奈良クラブはリーグ4位。AS.ラランジャ京都は5位。両者共に優勝の可能性も降格の可能性も消滅していた。しかしながら両者の勝ち点差は僅かに1という状態にあった。順位の変動はあるため最後に意地を見せたい。隣の西京極陸上競技場で行われていたJ1リーグ第25節「京都サンガF.C.vsサンフレッチェ広島」の後半キックオフと同時にこちらの試合もキックオフされた。

前半は奈良クラブが優勢

試合は奈良クラブが優位に試合を進める。奈良クラブはサイドを起点に分厚い守備を仕掛けてAS.ラランジャ京都を自陣に押し込んだ。対するAS.ラランジャ京都はカウンターから少ないチャンスを狙う。先に決定機を作ったのはAS.ラランジャ京都だった。AS.ラランジャ京都はカウンターから16外賀雄介が左サイドを駆け上がる。PA内に侵入して丁寧なシュートを放った。しかしこれは右へ逸れていった。

ここからJリーグ-奈良京都

奈良クラブは16分に決定機を作る。左サイドの低い位置からゴール前へボールを送ると、5畑中俊逸が反応。畑中はファーサイドでこれを捉えるが、シュート体勢で阻まれた。牽制は終了だ。いよいよ試合が動き出す。

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真那スペシャル炸裂

30分。AS.ラランジャ京都がセットプレーのチャンスを活かす。はたしてセットプレーとはFKかCKか、あるいはPKか。とんでもない、スローインだ。AS.ラランジャ京都の武器の一つにロングスローがある。投げるのは中尾真那。キックと変わり映えないスピードと飛距離と正確性を備えた中尾真那のスローインは一部のファンで「真那スペシャル」と呼ばれているそうだ。

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右サイドから放たれた真那スペシャルはファーサイドの10伊藤竜二に届く。伊藤はすかさずそれを中央へ折り返すと最後は23丸田隆良がダイビングヘッドで押し込んだ。AS.ラランジャ京都はゴール前で左右に振って決めるという基本通りの崩し方で先制した。

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奈良クラブが前半で逆転!・・も

押し気味に進めていた奈良クラブはまさかの失点。負ければ順位が下がるだけに踏ん張りをきかせたい。先制から5分後の35分、早々と奈良クラブが追いつく。奈良クラブはカウンターから19檜山勇人が抜け出す。檜山はGKと一対一のシーンで冷静にボールをゴールへと流し込んだ。

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押されながらも先制に成功していたAS.ラランジャ京都はここでやや乱れる。それまで精力的に仕掛けていたプレスが甘くなると、逆転を許してしまった。39分。奈良クラブは檜山が左サイドから敵陣に侵入すると、中央へ切り込んでミドルシュートを放つ。不意の一発は綺麗にゴールネット左スミを揺らした。

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勝負強さを発揮した奈良クラブが逆転で前半を終えた。・・と締めくくれないあたりが奈良クラブが4位でシーズンを終えてしまった弱さなのだろう。44分にAS.ラランジャ京都はPKのチャンスを得ると、30ブライアン・ワルトリップがきっちりと同点弾を叩き込んだ。

紫混じりの後半戦

後半開始はすなわち試合終了。何のことかといえば隣の陸上競技場のことだ。繰り返しになるが西京極陸上競技場では1時間早くJ1の試合が行われていた。閑散としていた補助競技場は帰路につく紫の観客の足を引きとめてほのかな熱気を帯びた。
注目度が僅かに高まった後半戦に躍進したのは奈良クラブ奈良クラブは前半と同様に攻撃を組み立て続けて追加点を狙っていった。
ところがチャンスの数では圧倒的にAS.ラランジャ京都の方が多かった。AS.ラランジャ京都はさすが老舗クラブというべきか、ロングスローを含めた正確なセットプレーから決定機を量産する。後半20分を経過したところで流れは徐々にAS.ラランジャ京都へと傾いていった。

流れを覆す追加点!

後半24分。サッカーにおいて試合の流れというものがいかに無意味な説明かというのを知ることになる。いや、だからこそサッカーは面白い。そう感じさせてくれた瞬間だった。奈良クラブは左CKのチャンスを得ると、キッカーの5畑中俊逸が中央へボールを放り込む。奈良クラブはニアサイドで77眞野勝矢と2梶村卓が囮になってボールをスルーする。完全にだまされたAS.ラランジャ京都の守備は32三本菅崇が中央で詰めるのを見送るしかなかった。奈良クラブがスコアを3-2としてつき放しに成功する。

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奈良クラブは37分にさらに追加点を奪う。17金城勇規は右サイドをドリブルで駆け上がると、中央へスルーパスを送る。ボールはちょうどGKと最終ラインの間を捉えた。そこに走り込んでいたのはこの日2得点の檜山。檜山はこれを簡単に足に当ててゴールへと流し込んだ。檜山勇人ハットトリック達成の瞬間である。

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試合は終盤にクライマックスを見せた奈良クラブが4-2で勝利。関西リーグ1部初年を8チーム4位と上々の成績で終わらせた。

奈良クラブが試合後に見せた選手とサポーターとの一体感

試合後、奈良クラブの選手たちは奈良から駆け付けたサポーターへ挨拶に向かう。何の変哲もない光景だが、次に見せた光景は非常に新鮮なものだった。選手一人ひとりが列を成してサポーター全員と握手を交わしていたのだ。一列になって挨拶をした後に、選手が個人的に挨拶に行く光景はアマチュア界ならよくあることだ。しかし全員が一人ずつと握手を交わしたのは見たことがない。選手とサポーターの一体感を象徴するような出来事だった。

ここからJリーグ-奈良京都

奈良クラブはJリーグを目指しているが、まだ全国の舞台を勝ち抜くには遠いところにある。聞けばゴールが無い練習場を使用するなど、サッカーをするには十分な環境が整っていないらしい。試合に向けて十分な準備が出来ないのは仕方がない。
奈良クラブは市民クラブとして成績以上に大切なものを手にしている。加えて、奈良クラブはユニフォームの胸に「せんとくん」を付けているように自治体からも支援を受けており、さらには奈良県の国体強化チームとして県協会からの後押しも受けている。「Jリーグを目指す」という看板を付けると、予算をふんだんに使って強化を図るというイメージがあるが、奈良クラブはそうではない。ゆっくりではあるが、奈良県を代表するチームとして歩み続けている。多くの歴史的建造物を残している奈良県。奈良クラブがこの奈良県の新しい象徴となり、財産となる日がいつか来ると信じてる。

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