ゆめ半島千葉国体2010成年男子決勝「秋田県vs宮城県」:観戦レポート

4日間の激闘もついに幕を下ろすことになる。47都道府県の頂点を極めるのは秋田県か宮城県か。国体成年男子最後の舞台は晴天の心地よい気候の中でキックオフを迎えた。

$ここからJリーグ-秋田宮城

開催地千葉県が盛り上げた3位決定戦を終えて観客の数が一気に減ったというのもあったかもしれない。非常に静かな決勝戦だった。それは退屈や長閑さを表す静けさではない。しんと張りつめた緊張感を表す静けさだ。試合は開始とともに宮城県がサイドから中央へ楔を入れながら押し気味に進める。しかし秋田県の守備が堅く、宮城県はなかなか攻めきれない。宮城県が攻めて秋田県がカウンター。一見すれば宮城県が優勢に見えた。それでも秋田県のカウンターは精度が高いためどちらに転ぶのか全く分からない展開となっていた。

秋田県・・悔やまれるPK失敗

一進一退。いや、宮城県の三進一退ぐらいか。そんな言葉はこの世に多分ここでしか使われないがそんなことはどうでもよい。淡々と時間を消費していると試合は前半24分に最初のクライマックスを迎える。秋田県がカウンターで右から攻め上がると、中央に走り込んでいた小笠原正樹がPA内で倒されてしまった。判定はPK。劣勢に見えた秋田県が決定的なシーンを迎えた。
キッカーは9菅原太郎。菅原は右隅をよく狙ってボールをけり込んだ。よく狙ったのがよくなかったのかもしれない。シュートの軌道はGK山内達夫に完璧に読まれてしまい、絶好機を逃した。後からどう振り返ってもこれがターニングポイントとしか考えられない。

$ここからJリーグ-秋田宮城

前半終了間際に宮城県が先制

PKの場面でゴールが決まったならまだしもスコアレスなのだから状況は変わらない。しかし風向きは確実に宮城県へと向いた。前半32分、宮城県は左から中央へと配球する。PA手前でボールを受けた9澤口泉は簡単に左足を振りぬく。放たれたシュートは一直線にゴール右隅を目指してゴールネットを揺らした。宮城県が前半終了間際に奪った先制点を守りきって前半を終える。

$ここからJリーグ-秋田宮城

後半開始直後の追加点

後半は開始から間もなく試合が動く。後半2分、宮城県は遠目の位置でFKのチャンスを得ると、キッカーの7大瀧義史が単純にゴール前へ放り込む。放たれたボールは最終ラインとGKの間という絶妙な空間を目指した。宮城県はこのチャンスをものにする。宮城県は5山田佑介が落下点に走り込むと頭で合わせた。後方からの難しいチャンスだった。それでも山田が捉えたボールはゴール右隅を目指してゴールネットを揺らした。宮城県が後半立ち上がりという非常にいい時間帯で追加点を奪った。

ここからJリーグ-秋田宮城
ここからJリーグ-秋田宮城

2点のリードを得た宮城県はあとは余裕をもって守るだけだ。宮城県は守備に人数を割いて秋田県の攻撃を跳ね返す。準決勝で1点を守りきった宮城県が2点を守りきるのは非常に現実的だった。

秋田県のゴールは遠く・・宮城県が守り切って優勝

秋田県はゴール前を堅める宮城県の守備を崩せないまま時間を過ごす。それでも後半のシュート数が8本と公式記録に記載されているのは遠目からでも積極的にシュートを放ったからだ。後半16分にはカウンターから左サイドを突破して最後は10前山恭平が中央でミドルシュートを放つ。しかしこのシュートは左にそれてしまった。

$ここからJリーグ-秋田宮城

秋田県の後半のシュートは8本打てば1本くらいは入っていてもよかったかもしれない。たまたま、秋田県のシュートが入らなかっただけ。両者には単純に戦術の違いがあっただけで歴然とした差はなかった。前半の秋田県のPKが入っていたらまたどうなったか分からない。そんなわずかの差で勝負が転がってしまうサッカーの奥深さを味わった決勝戦となった。
宮城県は単独としては初の国体成年男子制覇。またひとつ宮城県に、市原臨海競技場に、国体に、日本のサッカーに歴史が刻まれた。

$ここからJリーグ-秋田宮城


大会総括東北地域が日本のサッカーをけん引する日

降りしきる雨のなか開幕したゆめ半島千葉国体2010サッカー競技成年男子。4連戦のうち3試合を雨の中で行うという酷な気候の中を戦うことになった。特に成年男子は市原スポレクパークで組まれるときは大半を人工芝のDグラウンドに割り当てられてしまっておりそれはまあひどい状態だった。4連戦以上にタフな戦いを求められた大会であったと言える。
そのタフな戦いを勝ち抜いたのが宮城県。私は宮城県の4試合をすべて見ることが出来たのだが、宮城県は攻守共に完璧なのはもちろん、勝負強さで他を圧倒していた。ああ、これが全国リーグを戦うチームの姿なのか。北海道には追いつかれてからロスタイムに決勝点を上げる劇的な勝利をあげた。長崎県には先制されながらもしぶとく追いつき、PK合戦ではシーソーゲームをものにした。千葉県には完全アウェーをパーフェクトゲームで乗り切った。秋田県には紙一重の勝負どころで勝ち続けて勝利した。こうして並べてみると、トーナメントで優勝するのがいかに難しいことかよく分かる。
決勝戦は秋田県と宮城県のJFL東北ダービーとなった。私はこの決勝のカードが実現したのは偶然とは思えない。Jリーグの東北2チームがJ1で顔を合わせているように、東北地域のサッカーの質は確実に高いところにある。それはJ1モンテディオ山形、J1ベガルタ仙台、JFLブラウブリッツ秋田、JFLソニー仙台FCや東北リーグをけん引する福島ユナイテッドFCグルージャ盛岡に限った話ではない。先日、全社の東北予選を観戦してきたのだが、出場しているそれぞれのチームに個性があって強みがあった。東北地域のサッカーは今まさに進行形で向上の過程にある。このまま進化と切磋琢磨を続ければ東北が日本のサッカーを支える日が来るかもしれない。そう思ったゆめ半島千葉国体だった。

$ここからJリーグ-秋田県
関連ニュース
関連試合
関連レポート

検索

Twitter

Facebook