Shizuoka.藤枝MYFCvs中京大学:観戦レポート

東海の夏

連日の猛暑が続く日本の夏。特に東海地方の夏の気候と言うのは不快以上の何物でもない。この日も空を青い部分が必要以上に占有し、気温はこれ以上にないぐらいに上がったままだった。キックオフは12時。正気とは思えない。殺人的な気候の中で東海社会人リーグ第10節「Shizuoka.藤枝MYFCvs中京大学」の一戦が行われた。
藤枝MYFCは東海1部の強豪であった静岡FCを買い取る形で今期から東海1部リーグに参戦。将来のJリーグ参入を目指しているということもあり、理由はともあれその横着なやり方からヒールとしての扱いを受けがちだが、今期のJFL昇格候補にこのチームの名を挙げる人は少なくない。評判通り今期はレベルが高騰している東海リーグにおいても6勝2分1敗で首位を独走している状態だ。対する中京大学は中京大学サッカー部の社会人チームで2軍に相当する。順位は下半分に収まってしまっているが、東海1部で十分に戦えているだけで立派なものだ。

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藤枝MYFCが前半に3得点で決着

前半に主導権を握ったのは藤枝MYFCだった。最終ラインから左右に分配するようにボールを渡し、丁寧につないで相手の守備を切り裂いていった。丁寧なプレーで体が重かった中京大学を完全に振り切り、前半に3点の先行に成功する。
まずは8分、アランが強引な突破からGKと一対一のシーンを作ると、シュートこそ阻まれたものの右サイドCKのチャンスを得る。キッカーの納屋協成は空いていたニアサイドにボールを配給すると、そこに走りこんだのは内田和志だった。内田は中京大の守備にマークされないうちにボールを頭で捉えて簡単に流し込んだ。

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続いて42分。中央の空いたスペースで納屋がフリーでボールを受けると軽く注意を引きつけてから最終ラインの背後にボールを送り込む。タイミング良く抜けだした栗田彩貴はボールを足元に収めてGKの動きをじっくり見ると、丁寧にボールをゴールに送り込んだ。前身である静岡FCのDNAを引き継ぐ2人のコンビネーションで奪った2点目だ。

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3点目は非常にそう快なものだった。アランが右サイドの高い位置でボールをキープして溜めを作ると、後方に走りこんでいた納屋にボールを預ける。納屋はそのまま逆サイドで構えていた栗田をめがけてふわりとしたクロスを配給した。このクロスはDFに跳ね返されてしまったが、その跳ね返りをきちんと拾ったあたりが両チームの差なのだろう。クロスを上げた後中央へポジションを変えていた納屋はそのまま左足でボールを捕らえると、そのボールは次の瞬間にはゴールネットに突き刺さっていた。2点をおぜん立てした納屋がとどめの一発となる3点目を自ら決めた。

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中京大学は暑さゆえか前半にミスが目立って全く攻めきれない。前半に放ったシュートは1本で唯一のシュートは直接FKだった。藤枝MYFCが力の差をまざまざと見せつけて前半を折り返した。

中京大の奮闘が輝いた後半

後半は中京大にようやくエンジンがかかると同時に藤枝MYFCが消極的になる。暑いから無理は出来ないと言われればそれまでだが、前半で3点取れたのだから4点、5点と狙っていってほしかった。藤枝MYFCは無理に攻め込まず、サイドを中心に突いたカウンターに徹した。
後半42分には10番が前線でボールキープをして溜めを作ると、フリーで走りこんできた19番にボールを預ける。完全にフリーになっていた19番はPA内まで侵入して狙い澄ましたシュートを放った。このシュートはDFに阻まれてしまい、こぼれ球を24番が詰めていたものの藤枝DF又川淳也がこれまでかというぐらいに足を延ばして危機を脱した。終盤に粘りを見せた中京大学だったが、1点は遠く、無得点で試合を終えてしまった。

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藤枝MYFC、今期最強チーム完成へ向けて

藤枝MYFCは個の力は抜群だ。その戦力を見る限りは地域決勝の優勝候補筆頭なのだが、残念ながら選手を揃えれば勝てるほど甘くは無い。藤枝MYFCが決勝大会までにすることは、あとはチームとしてどう戦うのかという勝ちパターンを定めることだ。今日の試合を見る限りだと藤枝MYFCが目指している勝ちパターンが見えてこなかった。
まずは攻撃の形が曖昧だった。最終ラインの底を攻撃の起点としていたのは分かったが、そこからどういう得点を目指すのか。どうも行き当たりばったりの攻撃に終始してしまい、藤枝MYFCが目指すゴールまでの道筋が見えてこなかった。それをハッキリと試合で示さないことには真剣勝負の一発勝負では勝つのは難しいと感じる。
次に勝負する時間帯が分からなかった。3日間3試合を戦うにおいて、1試合90分間をフルに走り続けるのは不可能だ。そのためにはもっとメリハリを付けた試合をしなくてはならない。守備をするときはきちんと引いて守り、得点を取りに行く時は前線を厚くする。メリハリをつけた上でどの時間帯に勝負をかけるのかを計画的に実行することで勝つことを約束できる。要するに試合巧者としてのサッカーをするのだ。
加えて後半にカウンターで1点を取れなかったのも課題に挙げさせてもらいたい。地域決勝に向けてカウンターは絶対に会得しておきたい戦術。確かに今日の試合の場合は前半で勝負がついていたので後半は試行錯誤していただけのように見えた。しかし、後半に4点、5点としつこいぐらいにとどめを刺せるのがJFL昇格できるチームの標準だ。今日ほどの試合で3得点に終わったことはやや不満が残る。
上から目線でかなりダメ出しをしてしまったが、悲観的になる必要はまったくない。この日、2人の入団発表が行われたように、Shizuoka.藤枝MYFCはまだチームを作っている段階にある。地域リーグの規格を超えた選手が集まっているだけにチームとしての伸びしろが非常に多い。チームの作り方次第では全国を通して今期最強チームになるだけの可能性は秘めている。
まずは天皇杯でHonda FC、岐阜県代表(FC岐阜セカンド?)に勝つこと。清水エスパルスにも善戦するのではなく勝つためのサッカーをすること。全社でベスト4に入ること。地域決勝前に経験値を積む場がこれだけある。藤枝MYFCがこれからどんなストーリーを作り上げてどんなチームを作り上げるのか。楽しみで仕方がない。

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