ツエーゲン金沢vsソニー仙台FC:観戦レポート

時の人本田圭佑、その育った金沢に

 南アフリカワールドカップで日本がデンマーク代表に勝利し、アウェーで初めて決勝トーナメント進出を果たしたことで世間の話題は独占されている。その勝利の立役者となった本田圭佑を育てた石川県は金沢市にやってきた。ここが彼の育った第2の故郷だとかそんなミーハー的なことをしにきたのではないが、金沢に到着して真っ先に目に付いたのが本田だったのは少々残念だった。

 本日はJFL前期最終節。「ツエーゲン金沢vsソニー仙台」の一戦が津幡運動公園陸上競技上で行われた。一部では誰かさんの仕業で時のチームとなっているツエーゲン金沢はソニー仙台を迎える。ツエーゲン金沢は今期からJFLに参入したチームで将来のJリーグ入りを一つの目標としている。シーズンオフには元日本代表の久保竜彦や愛媛FCの田中俊也などを補強し、少数ながら万全の状態でシーズンに入った。成績はなかなか安定しないものの順調に勝ち点を重ねており、昇格チームとしては上々の順位にいる。

ここからJリーグ-金沢vsソニー

 ソニー仙台は昨季こそ3位と好成績を収めたが、今期はまだ下位に低迷しており元気が無い。後期も終盤に差し掛かった所でようやくエンジンがかかってきたチームだ。

試合のペースを掴んだツエーゲン

 開始間もなく主導権の握りあいが行われる。互いに単発の攻撃を繰り返してペースを掴もうと試みるが、これに勝ったのはホームのツエーゲン金沢だった。

 13分にスルーパス一本で菅野哲也が右サイドを突破すると、簡単にクロスを配給する。このクロスにファーサイドの浅い位置で構えていた古部健太が右足で捉えた。古部はそのまま強烈なシュートを放ってみせたが、このシュートは相手選手に当たって枠を逸れてしまった。チャンスを作り続けたツエーゲン金沢が主導権を握ることに成功する。

ここからJリーグ-金沢vsソニー
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カウンターからソニー仙台が先制

  ところが相手は低迷していても百戦錬磨の強豪チーム。ツエーゲン金沢は一瞬の隙を突かれることになる。

 ソニー仙台はカウンターから町田多聞が左サイドをドリブルで駆け上がると、適度に中の人数が揃った所で素早くクロスをあげる。ソニー仙台の今田傑はそのクロスに合わせて強烈なシュートを放ったが、これはツエーゲン金沢の守護神・大橋基史に跳ね返されてしまった。しかしソニー仙台はその跳ね返りを橋本尚樹がしぶとく叩き込んでついに均衡を破った。

ここからJリーグ-金沢vsソニー
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 アウェーで千金の先制点を奪ったソニー仙台はすぐに守備的な布陣を敷く。間もなくして攻めるツエーゲン金沢と守るソニー仙台という非常に分かりやすい構図が出来上がった。加えて、試合終了までこの構図が崩れることはなかった。

JFL昇格で確かな成長を遂げた金沢

 私が最後に金沢を見たのはJFL昇格を決めた地域決勝とFC刈谷との入れ替え戦だった。その時に書いていた観戦レポートこう書いた覚えがある。『タレントに頼り過ぎて戦術がまるで無いと。』ツエーゲン金沢は地域リーグでは反則級とも言える戦力を揃え、その戦力を活かした戦い方で勝ち上がった。しかしそれが通用したのは地域リーグだったからだ。はたして金沢のサッカーはJFLでも通用するのか、甚だ疑問でしかなった。

 しかしその疑問は全く見当はずれだったようだ。この日に金沢が見せたサッカーは戦力に依存しない非常にシンプルなサッカーだった。前線の久保や古部がポストとなって相手の守備陣を引きつけると、空いたサイドのスペースに侵入する。基本的かつ分かりやすい攻撃パターンだ。金沢にはいいクロサーがいる上に、中央で合わせるべき久保や古部が空中戦に強いのはもはや言うまでもない。非常に理に適った戦術じゃないか。

 ところが他に攻撃のオプションが無い。例えばショートカウンターになった時、誰にボールを預けてどこにスペースを作るのかというのが不明瞭だったように見える。挙げ出したらキリが無いが、いい選手が揃っているだけに非常にもったいなく見えた。

 金沢の攻撃の戦術が単純であったゆえに守るだけのソニー仙台はゴール前を固めておけば簡単に跳ね返す事ができた。欲深いことは分かっているが、さらに上のステージを目指すならば後期に向けて次の攻撃のオプションが欲しいところだ。

守り切ったソニー仙台が勝利

 後半の終盤になってツエーゲン金沢は田中を投入するなど攻撃的な姿勢を一層強めた。対するソニー仙台はボールを奪ったらすぐさま少人数でのカウンターを仕掛けて止めの一発を狙った。終始攻め続けているツエーゲン金沢か、守りに専念するソニー仙台か。

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 勝ったのはソニー仙台だった。試合が終わると、白の選手がサポーターのコールに合わせてラインダンスを踊った。一方で赤黒の戦士達はただひたすらの「ツエーゲン金沢」のコールで見送られた。アウェーでの勝利、ホームでの敗戦。その差はかなり強いコントラストで表現されていた。

逆境を糧に成長し続けるツエーゲンの今後に期待

 雨の津幡。土曜開催。減らされた駐車場。何が決定打だったのかは分からないが、色々悪いものが重なったのだろう、客入りは今期最低だった。その上負けてしまった。どうも私は疫病神だったらしい。しかし金沢はこの程度で下降するチームではない。「強えげん金沢」と言ってどんな逆境も跳ね返し続けたチームだ。次に金沢を訪れるときはもっと強く輝いたツエーゲン金沢を目の当たりに出来ることを楽しみにしている。

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