地域リーグにこそファンドを推めたい

 ミュージックセキュリティーズ社主催の 「ファンと地域と軸にした、スポーツ・ビジネス・セミナー」に参加してきました。東京ヴェルディが今年からファンド(ヴェルディドリームス2010)という形で資金集めを始めたのはご存じだと思います。今回はこのヴェルディドリームスを題材に、スポーツファンドを利用した新しいチーム運営体系についての話がされました。

「ファンド」という新しい応援の形

 昨今、スポーツクラブが相次いで休部しているが、休部や廃部をせざるをえない原因に活動資金不足が挙げられる。資金不足の解決策の一つとしてファンドを組成して個人からの小口の出資を受け付ける方法がある。そこですでにファンクラブやシーズンチケット、持株会といった出資の方法はあるが、新たな方法としてファンドを提案したという。ファンドの特徴は短期間で必ずそれに見合った配当があること。持株会とファンクラブの中間という説明がされた。

 今回注目するポイントは「個人からの出資を募ってチームを運営する」という点。ファンサービスや座席などの商品を目的としたファンクラブやシーズンチケットとは別のものと考えていただきたい。

地域リーグで小口出資を採用している例

 東海社会人リーグ1部の藤枝MYFCがとっている運営体系がそれに近い。MYFCは会員から一人12600円の出資を受けて運営されている。ファンドと違うのは配当が無く、その代わりチームの運営に対する決定権(投票権)が与えられること。MYFCは未だ手探り状態であるが、藤枝MYFCが成功すれば個人の出資者を募ってチーム運営をする一つのモデルとなるはずだ。

 もう少し規模を小さくすると四国サッカーリーグ・カマタマーレ讃岐の「プロジェクトさぬきうどん」も似たものがある。プロジェクトさぬきうどんは一口1000円で個人と法人からの出資を募り、カマタマーレ讃岐の胸部に「さぬきうどん」のロゴを掲出している。このプロジェクトで得た資金はチーム強化費に使用される。ファンドの様な配当はないが、ホームページに名前を掲載したり、法人であれば出資金に応じてさらなる特典を付けている。プロジェクトさぬきうどんは小口スポンサーといった方がなじむかもしれない。それでも個人の出資者を募ってチームの運営に充てているという点では似ている。

ここからJリーグ-カマタマーレ讃岐

 藤枝MYFCカマタマーレ讃岐の例は見返りを配当としていない。これらはほとんど寄付をする形になるのでよほど好きなチームでない限りなかなか出資をする気になれない。「地元のチームには頑張ってほしいけど、寄付をする気にはなれない。」「他に応援しているチームがいるから、2番目に好きなチームに出資する気にはなれない。」というように、ささやかに応援している程度のチームへの出資は多少の抵抗が生じる。しかしファンドという体系をとり、ヴェルディドリームスのように出資額以上の配当を約束することで出資への抵抗感は少なくなるはず。ただし出資への抵抗感を本当になくすにはチームの信頼度を高めることが重要になるのは確かであり、東京ヴェルディが今正に抱えている課題ではある。

地方のチームやアマチュアチームにこそ配当があるファンド

 私は地元の岐阜県にFC岐阜ができた時、もどかしい経験をしたことがある。それはFC岐阜に貢献するにはホームゲームを観戦しに行かなくてはならないからだ。今でこそFC岐阜は公式に募金を募っているが、地域リーグやJFLにいたころにはそれが無かった。たまに地元へ帰ったときなどTMなどを見てはグッズを買っていたのを覚えている。地元のチームを応援したい。けれどもそこにいないからチームに何もできないという思いをしているファンは少なくないはず。

 出資者が増えることでチームはファンのために、ファンはチームのためにという図式を強くすることが期待できる。それだけでなく、配当を生むことでたとえば僕がFC岐阜に対する様に2番目に好きなチームにも気軽に出資で貢献できる。昨今、スポンサー探しに苦労している地方チームの話題が目立つ。たとえばコンサドーレ札幌の持株会の様に、ファンドが地方チームの財源としての地位を獲得できないだろうか。そうすれば「一番好きなチーム」になりにくい、地域リーグをはじめとしたアマチュアチームにももっと活気を与えることができるかもしれない。

ファンと地域を軸とした、スポーツ・ビジネス・セミナー
ヴェルディドリームス
藤枝MYFC
「プロジェクトさぬきうどん」について|カマタマーレ讃岐

検索

Twitter

Facebook