S.C.相模原vsFC大船:観戦レポート

全社は既に始まっている

 2010シーズンは既に始まっている。それも10月に控えている大きな大会の予選がすでに始まっている。全国社会人サッカー選手権大会の予選だ。今回観戦した「S.C.相模原vsFC大船」は神奈川県サッカー選手権大会「決勝大会」の第2回戦。決勝大会以前の一次トーナメントが1月10日から始まっていたことを考えると、ピラミッド構造の全社や天皇杯の頂点がいかに高いところにあるかというのを実感することが出来る。

 神奈川県サッカー選手権決勝大会について簡単に説明する。この大会の意義は2つ。ひとつは天皇杯の神奈川県予選に社会人チームとして出場する4チームを決めること。もうひとつが全国社会人サッカー選手権大会(=全社)の関東予選に神奈川県リーグ代表1チームを決めること。神奈川県1部リーグのS.C.相模原が現状でJFL昇格を達成するにはとにかくこのトーナメントを制覇して関東予選に駒を進めなくてはならない。

 初戦の相手はFC大船。霧雨と寒気が包み込む綾瀬市民スポーツパークでS.C.相模原の勝負の2010シーズンが開幕した。

ここからJリーグ-S.C.相模原

3点奪取も消化不良だった前半

 キックオフと共に主導権を握ったのはS.C.相模原。先日のドリームフェスタで見せたのと同様に両サイドの深い位置を起点として攻撃を組み立てた。そしてS.C.相模原は開始2分であっさり先制してみせる。左サイドの展開からから斎藤将基がゴール正面のPA前でボールを受けると、相手の守備陣を十分に引き付けてから中央後方に折り返す。そこで待ち構えていた富井英司が狙い済ましたかのようにグラウンダー性のミドルシュートをゴール左隅に流し込んだ。S.C.相模原は試合開始直後という絶好の時間帯に先制点を奪って早くも試合の流れを掴んだ。

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 試合はそのままS.C.相模原が主導権を握って放さない。次々とチャンスを作ってはFC大船のゴールを襲っていった。FC大船も体を張った守備でS.C.相模原のターゲットマンを徹底的につぶしてはカウンターを仕掛けて反撃の機会を待った。

 もどかしい状況が続いたS.C.相模原が追加点を奪ったのは20分だった。富井英司の浅い位置からのクロスはゴールキーパーとDFラインの間をしっかりと捉えた。この絶妙なクロスを斎藤将基が頭で合わせて、最後は奥山雅之が押し込んで追加点とした。

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 勝負を決める3点目を取ったのは37分。波状攻撃から船越優蔵がPA内で狙い済ましたシュートを放つ。GKをすり抜けたこのシュートはDFのブロックに逢ったが、すかさず斎藤将基が詰めた。ところがSC相模原はこれで気が抜けたのか、直後のキックオフからFC大船に得点を許して前半の40分を終えた。

 3?1の十分なリードで折り返したS.C.相模原。緒戦独特の緊張感に悪天候が重なった故なのだろうか。連携不足と固さが目立ってS.C.相模原にとって何ともすっきりとしない前半となってしまった。

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後半立ち上がりに3得点

 ハーフタイムで仕切りなおしたS.C.相模原はまるで別チームのようになって後半のピッチに現れた。後半の立ち上がりも攻撃的な姿勢を見せて結果的に3得点を追加する。右サイドから斎藤将基が右サイドの深い位置まで持ち込むと、勢いをそのままに折り返す。ファーでフリーだった吉岡航平がこれを丁寧に流し込んだ。続く後半5分にも斎藤将基が後方からの速いパスを勢いそのままにドリブルでDFを振り切ってシュートを叩き込む。後半7分には大山祐彰が左サイドからフリーでクロスを上げると、このクロスがDFのクリアミスを誘ってオウンゴールで得点した。狙い通りに得点を重ねていったSC相模原は完全に試合を支配する。FC大船に全くといっていいほどボールを与えずに攻めつづけた。

ここからJリーグ-S.C.相模原
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サポーターの後押しを受けた船越優蔵が移籍後公式戦初ゴール

 今年の新加入選手のなかで最も注目されている選手の一人に船越優蔵がいる。船越優蔵はガンバ大阪アルビレックス新潟東京ヴェルディなどに在籍した選手。後半開始直後からサポーターから最も多くコールされたのは船越優蔵だった。Jリーグで多くの経験を積んできた選手の活躍をサポーターが期待しないわけがない。ところが船越優蔵は前半から環境の違いからか戸惑いを隠しきれずチームにフィットできていなかった。前線で上手くボールを受けることが出来ず、囮になるのが精一杯だった。おそらく十分な練習時間が取れてないのだろう。そんな彼を励ますかのようにサポーターは雨にも寒さにも負けずに船越優蔵コールを送り続けた。

 船越優蔵がその期待に応えたのは後半17分だった。右サイドで暴れていた斎藤将基が左サイドに場所を移すと、その空いたスペースをSBの水野和樹が突く。水野和樹はその右サイドに進入してからクロスを挙げると、船越優蔵がその長身を生かして頭で流し込んだ。船越優蔵はサポーターの期待通りに移籍後初の公式戦で初ゴールを決めることができた。エースストライカーとしてS.C.相模原の核になるのは時間の問題だろう。試合は7得点を奪ったS.C.相模原が勝利し、3回戦に駒を進めた。

ここからJリーグ-S.C.相模原
S.C.相模原 7-1
(3-1)
FC大船

前半2分7富井英司
前半16分4奥山雅之
前半37分19斎藤将基
後半2分15吉岡航平
後半5分19斎藤将基
後半7分OG
後半17分8船越優蔵

前半38分24

県リーグからJFLを目指す難しさ

 県リーグに所属する以上、各下との対戦を消化し続けなければならないS.C.相模原。JFL昇格予備軍としのぎを削っている地域リーグのライバルに比べて真剣勝負の場が少ないと言うのはかなり不利と言える。このような相手に対して適度にやり過ごすのは一つの手かもしれない。それでも「立ち上がりの得点」という一つのテーマをもって試合に臨んでいたことにS.C.相模原の全国大会を見据えた本気を見た。しかし7得点とはいえ殆ど押していた状況でチャンスをものに出来なかった回数は多い。どんな引いた相手にでも簡単に得点を重ねる決定力が身につけば必ず全国の舞台でも武器と自信になる。S.C.相模原はこうして難しい環境ながらも一つ一つ手ごたえを掴みながら勝ち進んでいくのだろう。第3回戦は2月28日にホームの麻溝公園競技場で行われる。

 ところで、敗れたFC大船はどれだけ失点を重ねても最後まであきらめずにボールを追い、得点を目指す素晴らしいチームだった。どのカテゴリでも、おそらくサッカーでなくてもなのだが、一生懸命にプレーする姿を見せられたら心を奪われてしまう。全国のまだ知らぬ土地にFC大船のようなチームがたくさんあることを確信し、期待している。

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