ニューウェーブ北九州vsFC琉球:観戦レポート

Jリーグ参入へ着々と準備中

 スタジアムに入ったときにある違和感を覚えた。何気ない極めて日常的なそのスタジアムの光景ではあるが、何かが違う。観客の多さか。いや、ニューウェーブ北九州のホーム観客動員が今期のJFL最多なのは知っているので驚くほどではない。その違和感の正体はサポーターの配置だった。アウェーのFC琉球サポーターがゴール裏に陣取っているのに対してニューウェーブ北九州のサポーターはメインスタンドの端に陣取っていたのだ。普通は試合を見やすいメインスタンドを座ってゆっくり見たいライト層に譲るものだがなぜ彼らが混んでいるメインスタンドに陣取っているのだろうか。

 答えはその彼らが本来いるべき場所を見渡したところで見つかった。ホームゴール裏はよく見ると本来の芝生ではなく、土が盛られていていかにも工事中という状態だった。そのまま視線を右へやると真っ白なバックスタンドには座席が取り付けられておらず、立ち入り禁止状態になっている。なるほど、スタジアム改修中ということか。ニューウェーブ北九州は将来のJリーグ入りを目指しているチームなのは言うまでもない。そのJリーグ参入の条件のひとつにスタジアムについて書かれている項目があり、ホームスタジアムが椅子席を1万席以上等の細かい条件を満たさなくてはいけない。Jリーグに参入するチームはたいていこのスタジアムの件で緊急工事を余儀なくさせられるのだ。そしてニューウェーブ北九州の本拠地である本城運動公園陸上競技場もそのための改修工事がすでに始まっていたのだ。

ここからJリーグ-ニューウェーブ北九州vsFC琉球
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勝負強さを見せた北九州が前半でリード

 先手を取ろうと前傾姿勢のシステムで試合に入った両者だった。ニューウェーブ北九州は高い位置でボールを奪って横に広く展開してFC琉球の守備の隙を突く。FC琉球は丁寧にボールをつないで中央突破を試みた。間逆にあるそれぞれの戦術が組み合った面白い状況だ。そして先手を取ったのはニューウェーブ北九州だった。前半7分にCKのチャンスを得るとキッカーの佐野裕哉がファーサイドへクロスを送る。これを伊藤琢矢が中央に頭で送り込むとこれを富士祐樹がポストとなってDFを背負いながらフリーの大島康明へ折り返す。これを足元で受けた大島康明が落ち着いてゴールに叩き込んだ。ニューウェーブ北九州が良い時間帯にお手本のようなコーナーキックで先制点を奪った。

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 申し遅れたがこの試合は4位のニューウェーブ北九州と16位のFC琉球というリーグの両端にいる同士のいわばコントラストマッチとなっていた。ホームで上位のニューウェーブ北九州が先手を取るのはいわば順当な出来事だ。だがしかしFC琉球も全く勝てずに下位に低迷しているわけでもない。シーズンを通して時々爆弾が爆発したように金星を重ねて言っており、つい前節も2位の横河武蔵野FCにホームで勝利したばかりである。その理由はFC琉球が採用している中央突破にあると分析する。パスとドリブルを駆使して守備網の真ん中を破るこの戦術はプレーの正確さ阿吽の呼吸を必要とするため難易度が高いゆえに機能しにくい。しかしこの戦術はうまくかみ合うとどんな強固な守備でも止めることができなくなる。下位を相手に「侮れない」とはよく言われるがFC琉球こそ本当に侮ってはいけない相手だった。

 そのFC琉球が追いつく。25分に永井秀樹が右サイドからPA内へドリブルで進入するとDF2人を引き連れたままゴールラインまでえぐる。十分すぎるほどDFを引き付けた永井秀樹は中央で構えていた山下芳輝に折り返す。山下芳輝はGK水原大樹の目の前でこれを受けるとそのままゴールへ流し込んだ。FC琉球は日本代表経験のある2人のコンビネーションで試合を振り出しに戻した。

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 先制して追いつかれたときほど辛いことはない。追いつかれた勢いで逆転を許すというのはサッカーではよくあることだ。しかし不思議なことに追いつかれたニューウェーブ北九州から不穏な空気が流れることはなかった。なんとたくましい事か。1分後にはカウンターから大島康明の2得点目ですがるFC琉球を突き放した。

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これが強者の余裕!北九州にもてあそばれた45分間

 追いつかれて突き放す。すでに前半だけで満腹の状態ではあるが後半はニューウェーブ北九州のさらなるボーナスステージとなった。まずは後半1分に右サイドの展開から富士祐樹のゴールで追加点を上げてFC琉球の反撃の士気を完全に削いだ。

 追加点を奪われたFC琉球は疲れも手伝ってかプレーに荒さが目立ち始める。パスが思うように繋がりにくくなりニューウェーブ北九州の高い位置での守備に判断が常に後手にまわってしまった。なかなか反撃の糸口がつかめないFC琉球に対して追加点で更に波に乗ったニューウェーブ北九州が決着をつけた。

 後半10分には右サイドでFKを得ると佐野裕哉が二アサイドへ低いクロスを上げる。上げられたクロスは大島康明をポストとして最後には中央で構えていた富士祐樹に渡り、富士祐樹はDFを背負ったままゴール右隅へと流し込んだ。セーフティリードを得たニューウェーブ北九州は残り時間をドリブルやトリッキーなパスを疲労するショータイムに費やす余裕を見せて逃げ切った。

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 振り返れば開始7分、同点直後、後半開始直後、後半序盤とニューウェーブ北九州は得点すべき時間帯にきっちりと得点を重ねることに成功した。相手が下位のFC琉球だからというのは理由のひとつであるのは確かだ。それでもニューウェーブ北九州が見せた得点決定力は強者の証であり、ニューウェーブ北九州が今期の残り2試合を無難に乗り切ったときの根拠となる。懸案事項は全く無さそうだ。

ニューウェーブ北九州 4-1
(2-1)
FC琉球

前半7分大島康明

前半26分大島康明

後半1分富士祐樹

後半10分富士祐樹

前半25分 山下芳輝

念願のJリーグ参入へあとワンステップ!

 試合終了後の挨拶をセンターサークルで済ませたニューウェーブ北九州の選手たちは勝利の報告をしにサポーターの元へ向かう。サポーターの掛け声にあわせて万歳をした選手たちの一つ一つの笑顔からは清清しさが満ちていた。およそ昇格レースという死闘の中に身をおいているチームとは思えない。選手やスタッフ、地元ファンの生き生きとした表情の一つ一つが今のニューウェーブ北九州の好調ぶりを映し出していた。

 3位のガイナーレ鳥取が敗れたため、ニューウェーブ北九州は3位に浮上した。そしてこの日の観客動員は3349人。これをもって今期のホーム入場者数は54124人となりJリーグ入会条件の一つであるホーム平均観客動員3000人を達成した。あとは4位以内という成績面のみとなる。準備は万端だ。ニューウェーブ北九州がJの舞台に両足をついてスポットライトを浴びる日は近い。

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