FC町田ゼルビアvsソニー仙台FC:観戦レポート

野津田が好きだから

 日本のスタジアムの光景といえばある程度決まっていっる。サッカーの応援といえばゴール裏で打楽器に合わせて手拍子をして歌を歌うのが常識となっている。その歌もある程度バリエーションが限られておりどこに行ってもたいていは同じ歌を聞かせてもらえるものだ。先日のスコットランド戦ではあちらのメディアに「歌って踊るのが上手」と褒められたばかりである(笑)。

 全国各地の様々な環境でサッカーを観戦していると町田市陸が少々特殊であることに気がつく。いや構造自体は至ってシンプルだ。町田市陸はメインスタンドが椅子席でその他が芝生席となっている。では町田市陸の特殊性を引き出しているのはなんだろうか。その原因がサポーターが陣取っているエリアからメインスタンドまでの遠さにあることに気がついた。遠い上に十数人と少数で構成されるゼルビアサポーターの声は10人も満たないアウェーのサポーターと変わらないぐらいに小音量で聞こえてくる。この件の賛否はさておき、メインスタンドにいるとチャントが聞こえにくい分だけメインスタンドの観客の歓声や拍手、愚痴やため息を繊細に感じることができるのだ。しかもその一言一言に汚い言葉がなく、的確な解説をはじめ野次や嘆きひとつひとつが首肯に値するものだから面白い。FC町田ゼルビアをメインスタンドから見守っているファンには玄人のサッカーファンが比較的多い気がする。だから本当に良いプレーに対しては大きな拍手が沸くし、気を抜いたプレーや質の悪いプレーに対してはため息が束になる。そんなサッカーファンの息遣いを繊細に感じ取れるのが心地いいのかもしれない。町田市陸のメインスタンドが好きだ。

 さて、今日の試合では怒号やため息が多い試合となったわけだが。

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開始早々の先制ゴール

 試合はキックオフしてまもなく表情を見せる前に局面を迎える。FC町田ゼルビアは前半1分に齋藤貴之がGK金子進のファンブルしたボールを奪ってクロスをあげる。するとこのクロスから最後は御給匠がきちんと押し込んで早速先制点を奪った。負けられない相手に待望の先制点を奪ったことで会場が微笑んだ。

 早速先行したところでFC町田ゼルビアは早速守りにウェイトをおいた。前線の2人を残して守備の陣形を整えたように見えたからそうメモしたのだが、これが読み誤りだったことに後々気がつく。対するソニー仙台FCはおよそ初めてであろう慣れない敵地と先制された状況にかなり動揺した様子だった。直接対決の硬さもあったのかもしれない。FC町田ゼルビアが先制後に積極的に責めてこなくなったことも助かって、守備を整えてチームを落ち着かせるのに少々時間がかかった。

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一人相撲のソニー仙台

 アクションを起こさないFC町田ゼルビアに対してソニー仙台FCは時間増しに運動量を上げていった。ソニー仙台FCは中盤が連動してボールを裁き、サイドバックは積極的にオーバーラップを仕掛けて、前線の選手が積極的にボールを引き出す。得意のサイド攻撃からCKを含めて果敢にクロスを上げ、はじかれてはセカンドボールを拾って二次攻撃を仕掛けていった。動かない青のサンドバックをこれでもかとタコ殴りにする白のソニー仙台FCが同点に追いついたのは前半ロスタイムの出来事だった。

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 あまりにも理解しがたい光景だった。FC町田ゼルビアは勝たなければ順位を上げられない状況なのにチームとして攻める姿勢を見せない。攻めないだけではない。ボールを奪っても誰もボールをもらいに行かずにバックパスを繰り返すのだ。たまに前線に放り込んだと思ってもビルドアップをかけない。FC町田ゼルビアの狙いが全く分からないまま時間が経過していった。試合は結果的にソニー仙台FCのほぼワンサイドゲームとなる。後半ロスタイムになってもゆっくりとプレーをするFC町田ゼルビア。自陣後方で得たFKの時には前線の選手が後方の選手に上がれというジェスチャーを見せる。ようやくノソノソと重心を上げたFC町田ゼルビアであったがこれがラストプレーとなった。

FC町田ゼルビア 1-1
(1-1)
ソニー仙台FC
前半1分 御給匠 前半44分 町田多聞

闘わないゼルビア

 夏場に見た暑さに負けず粘り強く戦うFC町田ゼルビアの姿はなかった。現場の声が分からないので真相は闇の中になってしまっているのが悔やまれる。理由は様々あるかもしれない。しかしこれがアマチュアチームであれば仕事もあるし仕方がないの一言で済ませられるが、プロ化志願の準加盟チームであれば話は別だ。選手は殆どがアマチュア契約かもしれないが、そうだとしたらプレーもアマチュアでいいのだろうか。チームがプロ化を目指している以上は少なくともピッチの上ではプロフェッショナルを貫いてほしい。今日のFC町田ゼルビアは何のためにピッチに立っているのかがまるで伝わってこなかった。スポンサーがついて、ある程度のファンがいるというだけがプロスポーツチームではないはずだ。(ゼルビアに限った話ではないが。)

 試合前からゴール裏には「最後の『一秒』まで全力で闘え!!」という弾幕が掲げられていた。はじめは何であんな弾幕が掲げられているか分からなかった。戦いのないスポーツは見ていて非常に退屈だ。

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