関西サッカーリーグ1部:観戦レポート

そびえたつ加古川運動公園陸上競技場

 兵庫県加古川市。兵庫県を東から神戸、明石、姫路とマーキングしたとき加古川市は明石と姫路の間に位置する。加古川駅から一駅西にあるのが今回の会場、加古川運動公園陸上競技場の”最寄り駅”に当たる宝殿駅。その宝殿駅からレンタサイクル(\300)を借りて北上する。駅前の商店街を抜けるとあとは田んぼと畑と民家の世界。コンビニはないが100円の自動販売機はいたる所にある。絵に描いたような田舎町だ。脳内の地図を頼りに北上すること20分。ナイター用の照明が生えているのが見えて安心して進むと、ようやく丘にそびえる古城のような立派なスタジアムが見えた。そこが加古川運動公園陸上競技場。公共の交通機関で行くことが出来ずアクセスは悪いが、立地を生かした非常に立派な施設だ。

ここからJリーグ-加古川

 この日行われたのは2試合。第一試合は「三洋電機洲本vsAS.ラランジャ京都」。爆発的な攻撃力を武器にして首位を走るのがAS.ラランジャ京都。5連勝で2位に急浮上したのが三洋電機洲本。そう、いわゆる頂上決戦である。第2試合は「バンディオンセ加古川vs滋賀FC」。勝点で1位と2位に並ぶ王者バンディオンセ加古川滋賀FCは成績こそ振るわないが将来のJリーグ入りを目指してまだ歩みだしたばかりの注目チーム。みどころ満載の2つのカードを同時にこの素晴らしいスタジアムで観戦できるというのはとても幸せなことだ。最初に言っておく。来てよかったと。
ここからJリーグ-加古川

三洋電機洲本vsAS.ラランジャ京都:観戦レポート(簡易版)

三洋電機洲本 0-0 AS.ラランジャ京都

三洋電機洲本vsASラランジャ京都:試合前
三洋電機洲本vsASラランジャ京都:前半終了
三洋電機洲本vsASラランジャ京都:試合終了

 まずは第一試合。三洋電機洲本とAS.ラランジャ京都の一戦。前半はしっかりと引いて守備を固めた三洋電機洲本がAS.ラランジャ京都をおびき寄せる。そして手数をかけないで攻撃を組み立ててAS.ラランジャ京都のゴールに迫るという展開だ。なるほど、三洋電機洲本の躍進の理由は守備にある。中央をしっかりとガードしてAS.ラランジャ京都の多彩な攻撃をしぶとく跳ね返していた。守備の三洋電機洲本と攻撃のAS.ラランジャ京都。互いの長所を存分に生かした試合は正に盾と矛の関係。非常に面白かった。
ここからJリーグ-加古川

 しかし、水をさす出来事が。なんと前半終了間際に三洋電機洲本のFWが2枚目の警告を受けて退場してしまう。この試合の主審はカードを簡単に出す傾向があり、比較的多くの警告が提示されていた。カードを振りかざさずにもっと試合をコントロールできなかったのか問いたい。誰が悪いとは言わないが、彼の退場が後半の試合を一気につまらないものにしてしまう。
ここからJリーグ-加古川

 後半は人数が少なくなって攻め手を失った三洋電機洲本がサンドバック状態になる。それでもAS.ラランジャ京都が得点できなかったのは三洋電機洲本の守備を褒めれば解決する。試合終了の笛が鳴ると会場はため息に包まれ、一瞬の沈黙のあとに労いの拍手が送られた。頂上決戦は勝点を分け合って、第2試合の結果により両者とも順位を落とした。
ここからJリーグ-加古川

バンディオンセ加古川vs滋賀FC:観戦レポート(簡易版)

バンディオンセ加古川 3-0 滋賀FC

バンディオンセ加古川vs滋賀FC:試合前
バンディオンセ加古川vs滋賀FC:前半終了
バンディオンセ加古川vs滋賀FC:試合終了

 続いて「バンディオンセ加古川vs滋賀FC」。声だしのサポーターがいなかった第一試合とは打って変わって華やかな雰囲気に。スタジアムは赤と青のそれぞれで飾られ、オリジナルのチャントがスタジアムに響く。やはり応援があるとスタジアムの雰囲気が一気に変わる。
ここからJリーグ-加古川

 試合はバンディオンセ加古川の完勝劇となった。前半終了間際という教科書どおりの時間帯に先制をすると、後半も開始早々に追加点を挙げる。極めつけは15分に放った目の覚めるミドルシュートでのとどめの一発。まるで作戦ボードに書かれていたことを丸ごと遂行したような見事な試合運びで、滋賀FCを完全に沈黙させた。滋賀FCはロングボールをサイドに配給したり、細かくパスを繋いで中央突破を試みたりと手を尽くすが、手玉に取るようなバンディオンセ加古川の守備の前に何も出来なかった。試合の経過と共に意気消沈する様子が分かり、GK遠藤の「声を出せ!しゃべってやろう!」という悲痛な叫びがむなしく響いていた。90分を終えるとスタジアムは歓喜が優った。
ここからJリーグ-加古川

 この結果により、バンディオンセ加古川は首位に再浮上、滋賀FCは決勝大会進出が絶望的になったどころか残留争いに巻き込まれている。

関西勢は昇格できるのか!?

 実は昨年から関西サッカーリーグ1部のチームとはなかなか縁がなく、今回見たチームは全て初見だったりする。要するに関西サッカーリーグを観戦するのは初めてで、予想以上のレベルの高さに驚いたというのがまず最初の感想になる。地域リーグ決勝大会に関西からは事実上の2枠が与えられているが、非常に妥当な基準だ。さて、その2枠の候補に当たるチームをこの目で見てきたわけだが、これら4チームの昇格の可能性を考えたい。反論やクレームは喜んで受け付けます。

三洋電機洲本+得点パターン

 三洋電機洲本は守備のチームだ。後方中央を固めてボールを奪うと前線の遠いところに速く運び、中盤の選手が一斉にビルドアップをかける。AS.ラランジャ京都を封じた今日の守備を見る限り、その守備は全国でも十分に通用するだろう。しかしこれだけでは一次リーグを突破できない。スコアレスで終わったのが物語っているように、まだ攻撃パターンが乏しいのが難点だ。得点をしなければ相手から勝点を奪えるわけがなく、現段階では関西は勝ちぬけても決勝リーグは難しい。しかしここからさらに1?0で確実に勝てるチームへと変貌したら非常に厄介なチームになるだろう。

AS.ラランジャ京都の昇格は難しい?

 守備を固められると何も出来ないことが分かった。正直なところ、申し訳ないが今日の試合だけでは判断できない。決勝リーグで相手が終始引き分け狙いということは考えにくく、3試合が3試合とも今日のような展開はありえないからだ。それでも勝負どころをおさえて勝負をかけることが出来たらJFLの昇格は夢ではない。

バンディオンセ加古川は昇格第一候補

 誰だ、今年のバンディオンセ加古川は弱体化しているといったのは。バンディオンセ加古川はおそらく今年も昇格候補筆頭になる。守備に乱れが無く、攻撃の戦術が一貫してて、勝負の時間できちんと点が取れる。決勝リーグ突破への3拍子が揃った完璧なチームではないか。殆どの選手が入れ替わったとは思えない。なぜ「低迷」しているのかが分からない。気持ちさえしっかりもてば今年の関西サッカーリーグを勝ちぬくのは間違いなく、決勝ラウンドまで期待できる。

バンディオンセ加古川はまだ死んでない

 加えて嬉しかったのはそこにホームの雰囲気があったことだ。経営が苦しくなったチームを見捨てることなく声援を送り続けるサポーターと、試合の流れに合わせて一緒に一喜一憂できる観客が沢山いた。遠く離れたJリーグの道だが、体力をつけたところでもう一度チャレンジしてほしい。加古川には捨てるところが無い。

我慢の時期、滋賀FC

 このチームはまだ幼い。攻守共に中途半端であり、まだまだチームを成熟させる必要がある。しかし選手個々の技術はバンディオンセ加古川と比べても遜色ない。おそらく個人の力の集合で2部は勝ちあがれたのだろう。壁に突き当たったいま、改めて戦術の成熟を図ってほしい。経験豊かな選手か監督がほしいところだ。

関西とサッカー

 関西は阪神タイガースや甲子園などの野球のイメージが強く、ガンバ大阪のおかげでようやく「関西」と「サッカー」という単語が結びついてきた地域。関東に続く規模の都市圏でありながら関西のサッカーは発展途上と誤認しがちだ。しかし実際目の当たりにしたのは、質も環境も極めて全国レベルに近いものだった。関西の方々には当たり前の事かもしれないが、関東よりの人間である私にとってそれは新鮮に写った。そして、関西はまだ伸び白がたくさんある。全国リーグ空白地帯である奈良県や和歌山県はもちろん、今日訪れた加古川だって十分なホームタウンになれる。

 栃木SCのJリーグ参入をもって関東の県レベルの空白地帯は消滅した。次は関西の番。日本の2大都市圏を中心にサッカーを盛り上げれば、もっと日本のサッカー熱を上げることが出来るし、関西は日本のサッカーを支える鍵になると感じている。少々飛躍しすぎたかもしれない。今回、ここ加古川市で見たものは私にとってそれだけ興味深いものだった。ありがとう。

関連ニュース
関連試合
関連レポート

検索

Twitter

Facebook