関西府県リーグ決勝大会決勝「JSTvs奈良クラブ」:観戦レポート

関西からJリーグ

 ガンバ大阪セレッソ大阪京都サンガF.C.ヴィッセル神戸。関西に君臨する4つの勢力。君臨するという言葉にはいささか皮肉が含まれている気がしないでもないのは気にしないでいただきたい。ヴィッセル神戸がJリーグに参入した1997年以来、関西のJリーグチームといえばこの4チームに限る。この10年間、J2発足を含めて多くの地域からJリーグクラブが誕生したが、関西地域にこれ以上チームが増えることはなかった。JFLに昇格したMIOびわこ草津はその勢いを消し、地域決勝常連だったバンディオンセはついにJリーグ入りを公言するほどの体力がなくなってしまった。サッカー不毛の地、関西。

 しかし先代が次々と壁にぶち当たるなか、それを目の当たりにしながらもJリーグ入りを目指すクラブはある。関西1部に昇格した滋賀FC、関西2部のFCグラスポkashiwara(大阪府柏原市)、和歌山県2部のアルテリーヴォ和歌山、そして奈良県1部の奈良クラブ。これらを関西の第3勢力と勝手に呼ばせていただくが、その関西第3勢力の一角、奈良クラブがついにその名を関西リーグに連ねる時が訪れた。

ここからJリーグ-奈良クラブ

シナリオは存在しない

 雨が降り始めたのは試合開始1時間前。嫌がらせのようなタイミングで降ってきた雨は後半には傘を差す必要がないほどに止んでいた。無駄に、無残に荒れる黄色いピッチに描かれるその舞台には派手さなんてものはない。スーパープレーがあるわけでもなく、かといって思いがけないミスがあるわけでもない。伝説として語り継ぐようなゴールが決まったわけでもない。せいぜいサイド攻撃の有効性を語るのが精一杯の試合だったが、そんなことは見る前から分かっていた。しかしピッチから伝わってくるその緊張感は見るものの手に汗を握らせる。既成のサクセスストーリーは存在しない。どちらに転ぶか分からないその舞台は間違いなく決勝戦と呼ぶに相応しかった。

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 試合終了の笛と同時に、青と赤の紙テープがスタジアムの一角を彩る。サクセスストーリーの1ページが描かれた瞬間だ。いそいそと挨拶を済ませると笑顔の連中は青地に白で「昇格」と書かれたTシャツを身に纏う。まったく、どこのド○・キホーテでかってきたのだろうか。そのへんはやはり関西人だ。街でこんなTシャツを着た軍団に出くわそうものなら買い忘れでも見つけたかのようにコンビニに逃げること間違いない。それともそれは私が関東人かぶれしてしまっただけだろうか。2009年1月18日15時40分、奈良クラブは府県リーグ決勝大会の決勝で見事に同胞奈良県のJSTを2-0で下して関西リーグ2部へ昇格を決めた。

奈良県代表として

 奈良県の奈良クラブがいよいよスタートラインに立った。次に目指すのは関西1部昇格なのはもちろんだが、将来は地域リーグ決勝大会という全国大会の関所を戦い抜かなければいけない。当面の目標の標準はここになるだろう。この融通の利かない関所は地域リーグの強豪を次々とはじき返している。全社で全く歯が立たなかった松本山雅FCですら越えられない壁をどう越えろと。その舞台を駆け上がる輝かしい例がいくつか存在する中、失敗例も同じように存在している。急ぐ必要はない。ゆっくりでいい。きちんとした経営基盤を作りながら着実にその足元を固めて余裕を持って来ていただきたい。Jの舞台はいつでも待っている。

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