松本山雅FCvsツエーゲン金沢:観戦レポート

北信越対決は最注目試合

 おそらく決勝ラウンドで最も注目度が高かった試合となる。人気チーム同士の対戦、北信越同士の対戦、全社を勝ち抜いた同士の対戦と、因縁めいたキャッチフレーズには困らない試合になった。また会場であるアルウィンは松本山雅FCの地元ということもあって会場には4293人が詰め掛ける大盛況。いくら無料とはいえ平日の昼間に4000人を動員できるクラブチームはJリーグを含めて果たしてどれだけあるだろうか。

 ところがこの試合は注目度とは裏腹にスコアレスということもあって非常に単調な試合となった。しかし物は言いようで印象が変わるもので、それぞれのチームを知っている者にとっては非常に奥深い試合でもあった。

ゲームプランを変えた松本山雅、変えなかったツエーゲン

 松本山雅FCにしてもツエーゲン金沢にしても、立ち上がりはとにかく慎重だった。低いDFラインを保ちながらけん制しあうように単発の攻撃を仕掛けて様子を伺った。この状況は少し以外だった。なぜなら松本山雅FCは一次ラウンドの3試合すべてにおいて開始直後から攻撃的な姿勢を見せており、3試合ともさっさと決着を付けてしまっていたからだ。手の内を知っている相手だからこそ慎重になってしまったのか。あるいはホーム故の硬さだったのか。結果論ではあるが、立ち上がりの時間帯で勢いに乗れなかったのは松本山雅FCがこの試合で犯したひとつの失敗となる。

 対するツエーゲン金沢も非常に慎重だったわけだが、こちらはおそらく普段どおりで間違いない。ツエーゲン金沢の一次ラウンドの戦いについては見ていないので何ともいえない。しかし少なくとも全社で見たツエーゲン金沢は前半を守備的にやり過ごして後半の序盤に勝負を仕掛けてくるゲームプランをとっていた。この日のツエーゲン金沢が全社の頃と変わりがないのであればいつも通りのツエーゲン金沢だったのであろう。

 ゲームプランを変えてきた松本山雅FCと普段通りのツエーゲン金沢。両者の対応に見られたコントラストは試合を拮抗へと導いた。

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八方塞の松本山雅

 結局、松本山雅FCが試合の殆どの主導権を握ることになる。いや、ツエーゲン金沢に握らされたといってもいいかもしれない。松本山雅FCが攻めて、ツエーゲン金沢が守るという試合の構図は必然的に成立した。

 全体的に攻撃的な時間を過ごしていた松本山雅FCだったが、どうも攻めきれない。ボールをFWの柿本、小林、木村に預けようとしてもツエーゲン金沢の徹底的なマークにあって上手く収まらず、それどころか両サイドもツエーゲン金沢のサイドバックにしっかりとケアされてうまく使えない。当然、引いた相手にカウンターが通用するはずもなく、松本山雅FCツエーゲン金沢の守備の前に完全に手詰まり状態となっていた。

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後半序盤はツエーゲン・タイム

 ツエーゲン金沢が攻撃的な姿勢を見せたのは後半の立ち上がりだった。開始早々に中央で得たFKを皮切りに前半では考えられないほど攻撃的に仕掛けた。しかし松本山雅FCの守備が崩れないことが分かると3分もたたないうちに前半と同じ守りきりの体制に入ってしまう。あまりにも早すぎる撤退には呆れてしまったが、徹底して守備に尽くすツエーゲン金沢の負けたくない思いがひしひしと伝わってきた。

 もちろん、その裏にある松本山雅FCの頑張りも褒めなくてはならない。松本山雅FCは押されている状況でもGK原裕晃を中心に危なげなくピンチを未然に防いでは、奪ったボールを丁寧に前線へ運んでいった。

一瞬訪れたクライマックス

 試合のクライマックスは一瞬だった。後半も終盤に差し掛かったところで、ツエーゲン金沢は2度目の攻撃的な姿勢を見せることになる。後半36分にツエーゲン金沢がCKからゴール前の混戦を生み出して立て続けにシュートを放った。これは全て松本山雅FCのGK原裕晃に止められてしまったが、ツエーゲン金沢が最もゴールに近づいた瞬間だった。

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 そして松本山雅FCツエーゲン金沢がチャンスを生かせずに悔しがっている瞬間を逃さなかった。ボールを保持したGK原裕晃はそのまま前線へボールを送ると、ツエーゲン金沢の攻撃陣を多く自陣に残したまま攻撃を仕掛けることに成功する。ツエーゲン金沢はあわてて守備を立て直すが、松本山雅FCに右サイドの侵入を許すと、最後は鐵戸裕史にフリーでシュートを打たせてしまった。このシュートはツエーゲン金沢のGK木寺浩一に正面で阻まれてしまったが、この日一番の決定機にスタジアムは大きく完成と悲鳴を上げた。

 試合は膠着したまま90分を終了し、PK戦では5人全員が決めたツエーゲン金沢が勝利して勝ち点2を獲得した。

ツエーゲンの「守り勝ち」という戦い方

 ツエーゲン金沢の作戦勝ちだった。何がきっかけで何を意図して守備に徹したのかは定かではないが、決勝大会を勝ち抜くにおいてあながち間違った戦いではない。というのは決勝ラウンドから昇格できるのが2チームあり、最悪3位でも昇格の可能性が残るからだ。だったら無理にリスクをおかすより着実に勝ち点1ないしは勝ち点2を拾っていった方がいいこともある。この日の試合を見る限りは、おそらくそういう戦いを目指したのだろう。

 ツエーゲン金沢が勝ち点2を、松本山雅FCが勝ち点1を獲得した。優劣はついたがどちらも昇格へ近づく貴重な勝ち点となる。

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