沖縄かりゆしFCvs浜松大学FC:観戦レポート

第1試合は消化試合

 首位の松本山雅FCの勝ち点が6。そして1試合を残した沖縄かりゆしFCの勝ち点は1で浜松大学FCの勝ち点は0。第一試合で顔を合わせた両者は既に敗退が決まっており、この試合は消化試合となっていた。加えて沖縄かりゆしFCにも浜松大学FCにもいわゆる声だしサポがいない。青空に囲まれた会場は暖かな日差しと生い茂る木々に包まれて長閑な雰囲気が漂う。オレンジと白に色分けされた22人がピッチに出揃うと、スタンドにまばらにちりばめられた観客は暖かい拍手を送った。

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スローゲーム

 試合は非常にゆっくりとしたペースで幕を空けた。3連戦最終日の疲れもあったのだろう、主導権を握った浜松大学FCは慌てることなく丁寧にパスをまわした。そして浜松大学FCはサイドを起点に沖縄かりゆしFCの守備をこじ開けようと試みる。対する沖縄かりゆしFCは無理に攻撃を仕掛けず、静かに浜松大学FCのそれを受け流す。浜松大学FCは沖縄かりゆしFCの冷静な守備に苦しみ、遠めからシュートを放つことしか出来なかった。

 浜松大学FCが沖縄かりゆしFCの守備に苦しんでいると、試合の流れはいよいよ沖縄かりゆしFCに移る。沖縄かりゆしFCは得意としている高精度のロングフィードから速い攻撃を仕掛けて浜松大学FCに応戦。前半28分に相手のミスを誘ってオウンゴールで先制した。

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かりゆしが軽く3得点

 沖縄かりゆしFCは九州王者として勝ち無しで帰るわけにはいかない。後半に入ると前半にセーブしていた分、両サイドを厚くして攻撃的な姿勢を見せた。そしていよいよ得点ラッシュが始まる。後半2分に浅野大地がドリブルで浜松大学FCの守備陣を引き付けると、左サイドの開いたスペースにスルーパスを送る。このパスに対してフリーで走りこんでいた櫻田真平が冷静にゴールに流し込んで2点目をあげる。続く8分には櫻田真平の右サイドからのクロスに島袋貴男が足元で合わせて、11分には左サイドを突破した杉本勇樹のクロスから浅野大地が頭で合わせて追加点をあげる。沖縄かりゆしFCは浜松大学FCの奮闘をあざ笑うかのように簡単に3得点をあげて勝負を決めた。

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浜松大学FCが大会初得点

 このまま終われないのは浜松大学FCも同じ。このまま終われば0得点14失点という不名誉な記録しか残らない。せめてチームとして大会初ゴールはあげたかった。浜松大学FCは変わらず襲ってくる沖縄かりゆしFCに対して何とか暗いつく。浜松大学FCの粘りが実ったのは後半27分だった。ゴール正面でFKのチャンスを得ると芝崎純平がこれを直接ゴールに放り込んで待望の1得点を記録した。3戦目でようやく掴んだクライマックス。浜松大学FCは芝崎のゴールで一時はリズムを掴んだが、ゴール前の判断と決定力に難があってチャンスをものに出来なかった。

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 沖縄かりゆしFCは更に1点を追加する。後半39分に中央でボールを拾った塗師亮のパスから樋口富夫が抜け出して5点目を決めた。沖縄かりゆしFCが3戦目にして本大会初勝利を掴んだ。

沖縄かりゆしFC 5-1
(1-0)
浜松大学FC
前半28分OG
後半2分11櫻田真平
後半8分24島袋貴男
後半11分20浅野大地
後半39分23樋口富夫
後半27分29芝崎純平

通用しなかった東海地域のパスサッカー

 私が4つの会場のうち鳥取会場を選んだ理由のひとつに浜松大学FCの存在がある。初日の観戦レポートにその旨を書いたのだがその内容は、「東海地域の丁寧なパスサッカーが真剣勝負の舞台でどれだけ通用するかを確かめたかった」というものだ。そして全国大会慣れをしている矢崎バレンテよりも真剣勝負の場に慣れていない浜松大学FCこそがものさしとして相応しかった。では浜松大学FCは全国の舞台でどこまで通用したのだろうか。

 浜松大学FCの成績は悲惨なものだった。勝ち点0はもちろん総得点1という数字も失点数15という数字も全リーグで最悪の記録となる。ちなみに勝ち点0はもう1チームあり、同じ東海リーグで同じ静岡県の矢崎バレンテだった。矢崎バレンテは組み合わせに恵まれなかった不運があったにせよ、残念なことに今回の大会で東海地域のサッカーは全国の舞台で全く通用しないことが証明されてしまったのだ。

 今期は四国を除いた8つの地域リーグをそれぞれ見てきたが、最も印象に残ったのは東海地域の試合だった。東海地域の特に静岡県のチームに見られる丁寧で素早いパスサッカーは次にどう展開するのか、どこにボールが運ばれるのかを予想しながら見る楽しさを提供してくれた。それはかつて多くのサッカーファンを唸らせたジュビロ磐田の黄金期を髣髴させる。東海社会人リーグのサッカーは見ていて飽きが来なくて非常に面白かった。

 補足しておくと浜松大学FCと対戦した3チームは確かに特に手数をかけずにゴールに迫ることで秀でており、ポゼッションを重視する浜松大学FCとは対極の存在だった。勝利が求められたリアリストたちはその要求に応えるためにサッカーをシンプルでスリムにせざるを得なくなる。その最たる現象を今回の3日間6試合で目撃した。確かに速くて強いサッカーも魅力的だ。そして勝たずしてファンを満足させる事など無理である。勝つためのサッカーを否定するつもりは全くない。

 結果を追求した結果、パスサッカーは切り捨てられた。ところが東海社会人リーグでは未だにパスサッカーが主流として生きている。そして浜松大学FCは東海の緩くも丁寧なパスサッカーを引っさげて全国の舞台に挑み、惨敗した。本来なら浜松大学FCはここで戦い方を改めなくてはいけない。しかし、あくまでも個人的な要望だが、浜松大学FCら静岡県のチームには今のサッカーを続けてほしい。私は勝利主義者が横行して単純なサッカーを求め続けた結果、パスサッカーが地域リーグから消え去ってしまうのを恐れている。切り捨てられたパスサッカーをひとつのエンターテイメントとして気軽に見られるよう、東海社会人リーグに保存しておいていただきたい。パスサッカーはそのスタイルが全国の舞台で活躍したとき、一転して最強となる。私はその時を夢見ている。

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