AC長野パルセイロvs九州INAX:観戦レポート

分かりきっていた結果

 準々決勝は4試合とも市原スポレクパークで行われた。Aコートで行われた第1試合が「AC長野パルセイロvs九州INAX」の一戦だ。そしてもうひとつのCコートにて同時キックオフで行われたのが「カマタマーレ讃岐vsツエーゲン金沢」の両Jリーグ志向チームの一戦。大方の観客はCコートに終結し、AコートはAC長野パルセイロ九州INAXの両サポーターの声が心置きなく響き渡った。この状況が示すものは2点。まずはCコートの試合が注目チーム同士の対戦であったこと。もう一つはAC長野パルセイロ九州INAXが敵うはずがなく、AC長野パルセイロの勝利は確実と思われていたことだ。当然、戦前から結果が見えている試合よりどちらに転ぶか分からない試合のほうが見ごたえがあって楽しめる。

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歴然としすぎていたチーム力の差

 試合は戦前の予想通り、AC長野パルセイロが一方的に攻めたてる。攻め立てると言ってもシュートを乱発するがむしゃらな攻撃ではなく、中盤でしっかりとボールを繋いで焦らずに得点の機会をうかがった形だ。サイドから中央に、中央からサイドにと確実にボールを運んで丁寧なサッカーで攻撃を組み立てた。九州INAXAC長野パルセイロのボールキープを一生懸命追いかけるのが精一杯だった。

 ところが九州INAXとしては押し込まれるのは想定内の展開であった様子だ。九州INAXは前半から3トップ以外の7人は守備の陣形を崩さず、攻撃に人数をかけていなかった。ゴール前で得たFKのチャンスにもキッカーと攻撃陣数人を上げただけで残りの面子はしっかり引いたままという奇妙な光景を見せてくれた。つまり九州INAXは最初からPK戦狙いだったか、少なくとも無理に攻めあがることはなかった。

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転がり込んだ先制点

 AC長野パルセイロ九州INAXのボール保持者に対してしっかりと寄せて攻撃の芽をことごとくつぶした。焦ることなく攻め続けたAC長野パルセイロがチャンスを掴んだのは前半24分。左サイドから中にドリブルで切り込んでいった長野のMF高田一憲に対して九州INAXの堀口真也がペナルティエリア内で後ろから倒してしまう。次の瞬間にはPKの判定が迷いなく告げられた。AC長野パルセイロはこのチャンスを要田勇一がしっかりと決めて先制した。

 攻め続けていたAC長野パルセイロが先制点を奪うのは時間の問題だった。しかし思わぬ形で楽に先制できたのは連戦を戦い抜かなくてはいけないAC長野パルセイロにとって非常に幸運な出来事だったと言える。

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何もできずに終戦を迎えた九州INAX

 ゲームプランが崩れた九州INAXはすぐさま動き出す。DF渕野剛に代えてMF榮岩和也を投入。ようやく重心を前方に移して攻撃をする気を見せた。九州INAXは両サイドに構えたウィングに配給して攻撃の起点としようとした。しかし無情なことに、どんな攻撃を仕掛けてみても、余裕をもって守備をするAC長野パルセイロに最後までチャンスらしいチャンスを作らせてもらえなかった。

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前回覇者が余裕のウノ・ゼロ

 先制したAC長野パルセイロは圧倒している戦況の中で試合を決するべく2点目、3点目を取りに行くと思われたが、それをしなかった。2点目を取りにいくどころか、それまでどおりのゆったりしたサッカーを続けたのだ。AC長野パルセイロは大胆にも1点を守りきるという選択をした。

 どんなに格下の相手でも1点のリードで守りに入るのは危険だ。しかしその危険な選択を難なく判断し、こなしてしまったAC長野パルセイロの強さには脱帽した。しかし普通に考えれば、九州サッカーリーグをぶっちぎりで優勝した九州の王者沖縄かりゆしFCですら圧倒してしまうAC長野パルセイロに、その九州サッカーリーグで6位の九州INAXが相手になるわけがない。AC長野パルセイロは変わることのない昨年王者の風格を漂わせたまま余計な体力を使うことなく九州INAXを軽くかわした。

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AC長野パルセイロ 1-0
(1-0)
九州INAX
前半24分11要田 勇一(PK)

備考

 最後に怖い話をひとつ。AC長野パルセイロは初戦のクラブ・ドラゴンズ戦と2回戦の沖縄かりゆしFC戦からスタメンを8人代えて臨んだ試合だった。

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