栃木SCvsガイナーレ鳥取:観戦レポート

サッカー王国・栃木

 サッカー観戦を趣味にしている人間にとって、Jリーグ以外の試合を観戦するのに一番苦労するのはスタジアムまでのアクセスである。特に駅から離れている場所にある競技場はだいたいは路線バスが通っているのだが、本数が極端に少なかったりすると大変である。また、バスの停留所はローカルな地名ばかりで旅行者に優しくないのが普通だ。そんな理由で私はいつもバスを使わず1時間は平気で歩くのだが、今回も例外なく、まずスタジアムにどう行くかという心配をした。

 しかしそんな心配はするだけ無駄だった。栃木SCのホームページにはしっかりとスタジアムへのアクセスの方法が載っており、しかもシャトルバスが運行しているというのだ。しかしここは驚くところではない。驚くべきは運賃が無料というところだ。シャトルバスが無料というのはJリーグのチームの中でも見たことがない。どういうロジックでこうなっているのかは分からないが、驚きである。

 驚くのはまだ早かった。スタジアムに着いてその空気を吸ったとき、その舞台がJFLだということを疑った。老若男女問わず多くの人がクラブカラーである黄色のグッズを身につけてスタジアムに詰め掛けていたのだ。サポーターの応援が始まると一体になって手拍子をし、出てきた選手には名前を呼んで鼓舞をし、試合前はやや挑発的なスタジアムDJと共に盛り上げ、キックオフの前はタオルマフラーを掲げて『栃木県民の歌』を合唱する。試合中はサポーターによるオリジナリティの高い応援に手拍子で合わせ、観客席から指示や野次が飛び、ゴールには自らが決めたかのように立ち上がって喜ぶ。Jリーグでもスタジアムを盛り上げるのに苦労するクラブは少なくないが、この栃木の地ではそんな苦労は必要ないらしい。栃木SCのホームスタジアムは観客の手で自然に生成されるようだ。
栃木vs鳥取

勝てない栃木SCはもう勝てない?!

 今回の試合を見る限り栃木SCはもう勝利を挙げられないだろう。どこが相手だろうと何とか引き分けるので精一杯と予想する。その理由は攻撃が組み立てられないことにある。まるで統一されていない、思いつきのサッカーしか出来ていなく、相手の動きに合わせるのが精一杯。特に今回のように相手が引いて守ってきたときはセットプレーや枠に飛ぶかどうかも分からないミドルシュートに頼るしかなく、打つ手がないように見えた。上位を狙うクラブとして点が取れないのは致命的だ。もう手遅れかもしれないが、例えば浦和レッズの高さを生かしたパワープレーやAC長野パルセイロのポストプレーように確実に点が取れる武器を編み出さなければいけない。それがコーナーキックでも直接フリーキックでも構わない。あるいは佐藤悠介というJFL屈指であろうゲームメイカーにまかせ切るというのも手段である。監督の腕の見せ所だ。

 それでも何とか引き分けられる、それがたとえJ2のロアッソ熊本であってもだ。今の栃木SCの強みはそこにあるように感じた。とはいえ、前期にためた勝ち点の貯金はまだあるので、このまま全部引き分けたとしても4位以内は現実的である。何とか1勝でも出来れば随分と楽になるだろう。上位らしからぬ負けないサッカーに徹し、サッカーの神様にその運命を託すのもありかもしれない。

 栃木の方々へ、栃木の戦士を最後の最後まで諦めずに支え、変わらず鼓舞していってください。Jリーグでお待ちしています。

栃木SCが勝ち点を4しか積み上げられなかったときのシミュレーション

50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
3 栃木 0-0-4 0-1-3 0-2-2 0-3-1 0-4-0
4 鳥取 0-0-4 0-1-3 0-2-2 1-0-3
0-3-1
1-1-2
0-4-0
1-2-1 2-0-2
1-3-0
2-1-1 2-2-0 3-0-1
5 富山 0-0-5 0-1-4 0-2-3 1-0-4
0-3-2
1-1-3
0-4-1
1-2-2
0-5-0
2-0-3
1-3-1
2-1-2
1-4-0
2-2-1 3-0-2
2-3-0
6 横川 0-1-4 0-2-3 1-0-4
0-3-2
1-1-3
0-4-1
1-2-2
0-5-0
2-0-3
1-3-1
2-1-2
1-4-0
2-2-1 3-0-2
2-3-0
3-1-1 3-2-0
7 流経 0-2-3 1-0-4
0-3-2
1-1-3
0-4-1
1-2-2
0-5-0
2-0-3
1-3-1
2-1-2
1-4-0
2-2-1 3-0-2
2-3-0
3-1-1 3-2-0 4-0-1
8 刈谷 1-0-4
0-3-2
1-1-3
0-4-1
1-2-2
0-5-0
2-0-3
1-3-1
2-1-2
1-4-0
2-2-1 3-0-2
2-3-0
3-1-1 3-2-0 4-0-1 4-1-0

表内は「1勝2分3敗」なら「1-2-3」と表記している

まだまだいけるぞ!ガイナーレ鳥取

 ガイナーレ鳥取は勢いだけのチームではなかった。結果的に失敗したものの、ゲームプランをしっかりともっていたことは評価できる。そしてバリエーションは無いにしろ統一された攻撃パターンをしっかりともち、ボールを奪われたら速やかに守備のブロックを形成していた。非常に完成度の高いチームである。しかし突出した個のパワーはなく、恐ろしいほどの強さはない。今回のようにサイドを封じられると栃木SCのように個の力で勝る相手にはなかなか力が出せず苦戦するようだ。幸い、今後は最終節の流通経済大学以外で上位陣との対戦は無い。今回は引き分けでよしとし、気持ちを新たにガイナーレ鳥取のサッカーを続ければ十分に4位は狙えるはずである。そして同じ中国地域のファジアーノ岡山に続くのだ。
栃木vs鳥取

4分の3の行方は?

 Honda FCが抜け、のこる席は3つ。それを現状で狙えるチームが4つ。酷な話だがどこかには泣いてもらわないといけない。それがいくつでどこになるかは分からない。一番順調そうなファジアーノ岡山とて、上位との直接対決を残すので鉄板とも言いがたい。今週末、J1が登場する天皇杯の裏でJFLは開催される。その結果を見てもう一度占うことにしよう。

JFL順位と今後の対戦(10/31現在)
チーム名
13節 14節 15節 16節 17節
Honda FC 63 刈谷 琉球 北九 滋賀 高崎
ファジアーノ岡山 55 北九 滋賀 横河 栃木 富山
栃木SC 55 水島 高崎 岡山 刈谷
ガイナーレ鳥取 51 JEF 印刷 TDK 流経
カターレ富山 51 琉球 高崎 滋賀 草津 岡山
横川武蔵野FC 49 水島 刈谷 岡山 北九 琉球
流通経済大学 48 印刷 TDK 刈谷 琉球 鳥取
FC刈谷 47 Hond 横河 流経 仙台 栃木
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