G大阪ACL制覇と秋春制問題の関係

日本勢ACL2連覇の影の役者に犬飼基昭

 ガンバ大阪がACLを初制覇した。決勝トーナメントが始まった当初はバレー退団騒動でチーム状態は決してよいとは言えず、優勝候補にガンバ大阪を挙げた人は多くないだろう。しかしリーグでも徐々に調子を取り戻すと蓋を開ければ圧倒的な強さで優勝。特に圧巻だったのは正に決勝の2戦。トータルスコア5-0というアデレードを恐怖に陥れるほどの破壊力でカップを手中に収めた。これでACLは日本勢が連覇。Jリーグのチームにとってアジアの頂点は決して達成できない目標ではなくなった。来季はJリーグからの参加チームが2チームから4チームに増える。より多くのチームがチャンスを得られることになり、アジアの舞台がより身近となる。Jリーグは頂点の引き上げと底辺からの底上げが着々と進んでいる。あとは未だ流動的なナショナルチームの形が完成すれば日本はサッカー後進国から脱却できるかもしれない。

 ガンバ大阪のみならず、鹿島アントラーズ浦和レッズがベスト4に進んだ背景には昨年より始まった「ACLサポートプロジェクト」たる組織のちからがある。これはACLの決勝ステージに進出した日本のチームに対して日本サッカー協会とJリーグがタイアップしてバックアップする組織である。アジア制覇の手助けをすることで日本サッカーのピラミッドの頂点を引き上げると言う意味で非常に重要なシステムだ。ところで、こんな画期的なシステムの初代リーダーは当時Jリーグ専務理事だった犬飼基昭日本サッカー協会会長である。

川崎、日本勢初のグループリーグ突破の要因

頂点の引き上げか、底辺の底上げか

 こんにち「秋春制への移行問題」や、大分トリニータとジェフ千葉を巻き込んだ「天皇杯ベストメンバー問題」などで世間を騒がせているが、犬飼会長は日本の頂点の引き上げと言う意味では有能な方なのかもしれない。秋春制も最たるは欧州市場を意識した導入であるし、天皇杯ベストメンバーを「威厳のある」と言ってしまうのも世界に通ずる「ACLの出場権がかかっている」という含みがあると思える。実際には秋春制はご存知のように無理があるし、天皇杯で見かけ上のメンバーを落としたからと言ってルールにない処分をしようとするのは不当だ。しかし、突拍子がなくとも頂点の引き上げのために積極的に動いているのは評価できる。

 コンサドーレ札幌の矢萩社長が秋春制阻止に向けて具体的な数字を交えて対抗する姿勢を見せている。降雪地域のクラブが反対する理由の最たるは「収入の減少」にある。つまり、違和感があり言い方は悪いが雪国の「貧乏クラブ」としての立場だ。『頂点を引き上げたい犬飼会長』と『底辺の敷居を上げたくない降雪地域』、目的が相反するので意見が真っ向から対立するのは仕方がない。しかしどちらも日本サッカーの躍進には必要な要素である。

 改めて、私は秋春制への移行の件には賛成派であることを表明する。日本のレベルを上げるには欧州のちからが不可欠だからだ。しかし、それは将来の話であり今は時期尚早すぎる。未だ駆け込み寺のようにJ2のクラブを増やしている現状で、Jリーグの底辺部分がしっかり定着していないのに頂点を無理に引っ張れば必ず北から剥がれ落ちる。2010年などどう考えてもJ2に22チームすら揃わない。秋春制の移行は日本の底辺、それこそ都道府県リーグレベルでの基盤が頑丈になるまで待つべきだ。秋春制に移行しなくとも日本の頂点の伸びしろはまだまだある。たった2回の制覇で満足せず、まずは現行の日程のままアジアのプレミアリーグとしてJリーグを育てることが先決なのではないか。少なくとも上位陣が混沌としている時点でまだまだリーグとしても不安定である。

 頂点の引き上げに向けた対策のひとつ「ACLサポートプロジェクト」が日本勢の2連覇に繋がった。同じ目的で進行中の「秋春制移行」は大反対を受けている。前者は陰に隠れて後者は叩き台となっているというのは心理学的に面白い。犬飼会長はおそらく自らの任期中に秋春制への移行を成し遂げたいのだろう。しかし会長には矢萩社長ら降雪地域の人ともしっかり議論をした上で諦めてほしいものだ。画期的な対策があると言うなら別として。


あとがき

 今回、ガンバ大阪のACL制覇をきっかけにACLサポートプロジェックトという組織を恥ずかしながら初めて知ることになりました。普段は底辺ばかりに目が向いてしまい、ACLなど見向きもしませんでした。しかし、上をしっかりと見据えることも大切な視点であることに気づきました。そして、叩くしかなかった犬飼会長の考えを憶測ながら理解しました。「ここからJリーグ」というブログでは内容を逸脱しますが、今後は「ここまでJリーグ」の応援も思い出す程度に積極的にしていこうと思います。

 最後に、ガンバ大阪の選手と関係者ならびにサポーターの皆さんおめでとうございます。トヨタカップでの活躍も応援しています。

検索

Twitter

Facebook