ありがとう、大分

 日本でスポーツを語るにおいて、サッカーと野球はよく比較される。日本で長く愛されてきたが世界的にはマイナーな野球と、日本ではプロリーグが誕生して10年だが世界的には最も盛り上がりをみせるフットボール。日本の2大プロスポーツとも言えるこの両者が比較されることは不思議なことではない。しかし全く異なる両者を比較するというのは冷静に考えればおかしな話だ。

 先日、大分トリニータがナビスコカップで優勝を果たした。大分トリニータは2002年のワールドカップ開催地の誘致の際に作られたクラブであり、まだJ2が存在しない頃に県リーグから一気にJFLへ駆けのぼり、初期のJ2に編入されてからは苦しみながらも一度も落ちることなく、今年はカップ戦だけでなくJ1リーグでも優勝を十分に狙える位置に来ている。プロ野球とJリーグの決定的な違いの一つを大分トリニータは証明した。「草野球のチームは日本シリーズに出ることは出来ないが、サッカーはそれが出来た。」大分トリニータの溝畑社長の言葉である。カップ戦とはいえ、戴冠というのは今までは夢物語の一つでしかなかったが、実例が出来たことで地方の各チームにとって優勝という夢は目標へとシフトしたと言える。

 近年ではヴァンフォーレ甲府が破綻寸前の状態からJ1昇格を果たして「甲府に続け!」の風潮でJリーグを目指すチームの目標となってきたが、次のキーワードは「大分に続け!」だ。J2発足と同時に編入された大分トリニータと現行の制度からJリーグ入りするチームでは違いはあるが、夢いっぱいのクラブを応援する身として大分トリニータには「おめでとう」と共に「ありがとう」を添えたい。

 Jリーグとプロ野球の決定的な違いの一つは、Jリーグがクラブチーム単位での門を常に開けていることだ。クラブチームにとってプロ化をしてJリーグを目指すことが全てではないが、いつでもどこからでも目指すことが出来る明確な目標と道があるのはJリーグの良さの一つだと思う。だから今でも、今からでもJリーグを目指そうとするクラブチームは増えてきている。Jリーグには夢がある。こうして新たな歴史を作っていくことが次の歴史への序章となる。歴史は歴史を重ねることで重みを増していく。次はどのクラブチームによってどのような歴史が作られるのか楽しみだ。

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