高校サッカー開会式/開幕戦「鹿島学園vs一条」

国立のキャンパスを彩った48色

 国立競技場。サッカーの聖地と言われるのこのスタジアムはJリーグではどのチームにもホームスタジアムとして使用されるのが許されておらず、日本最大の中立地としてその名目は保っている。東京ヴェルディサポの私に言わせて見れば国立は我々の準ホームスタジアムのような感覚なので中立地としてしっくりくることはないのだが、何を隠そう悲しいことにこの大きなスタジアムはどれだけ緑に染め上げようともホームになるのは程遠い。話がそれたが、この中立地国立競技場はあるときは青く染まり、またあるときは赤く染まり、トリコロールにも、黄色にも染まることもある。対戦カードによってその表情を変える様子はまるでキャンパスのようと表現すれば格好がつくだろうか。

 本日、国立競技場にて第87回全国高校サッカー選手権大会の開会式と開幕戦「鹿島学園高校vs一条高校」が行われた。出場校が一堂に会する開会式ともあって会場は鹿島イエローと一条グリーンの2色に収まらず、絵の具をちりばめた様に色鮮やかに飾られた。特に開会式で多種多彩なユニフォームがグリーンのピッチに並べられたときはそれは壮観であった。年をまたいでノックアウト方式で行われる高校サッカーの勝者は一校のみ。最後にこの国立の地で歓喜を彩るのはどの色になるのであろうか。

 開幕戦でしかも会場は国立競技場。ファンのだれもが注目するこの会場での対戦を許された不幸な高校は茨城県代表の鹿島学園高校と奈良県代表の一条高校だ。他の対戦カードが明日行われるのに対して負けてしまえば負けぬけ第一号として大々的に扱われかねないという何とも残念な結果を伴ってしまう。選手にしてみれば夢のピッチ、華やかな舞台で戦えるというメリットはあるのであろうが、その舞台が負ければ終了のノックアウトステージである以上、この日程はいかがなものか。いや、9割9分は私の考えすぎなのは承知している。
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結果オーライ

鹿島学園高校 1(4PK1)1 一条高校

 試合は「鹿島学園が逆転勝利!」という見出しで賞賛すれば格好はつくのだが、実際は実力で遥かに勝る鹿島学園が崖っぷちすれすれでもぎ取った苦い勝利であった。一条高校が80分の中で輝きを放ったのはそれこそゴールシーンの1回とGK酒井の神セーブ2回ぐらいだろうか。ゴールシーンに繋がったセンターバックから左ウィングへの深く鋭く正確なフィードはとても美しかった。これを折り返し、混戦からねじ込んで大会1号となる先制点を奪った。前半をリードで折り返すと、後半はゴール前を固めて守りに入る。はじめはなんとか粘っていたが、CKの一発を沈められるとエンジンが切れたかのように足が止まり、ミスパスを連発する。GK酒井が一人で気を吐くがそれまでだった。監督は「普通の公立高が限界までやった結果」とは言ってしまったが、昨年は都立の三鷹高校が同じ開幕戦で勝利してベスト8まで駒を進めている。一条高校は気持ちで負けていなかっただろうか。
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 開幕戦には似つかわしくないドロドロの下手糞なサッカーだった。ミスを拾いあい、縦に速いパスで無理に裏を狙ってみたり、バイタルエリアでボールをこねてみたり、両者ともゴールへの形が見えない戦い方であった。一つのエンターテイメントとしてのサッカーとして見るには耐えなかったというのが正直な感想だ。しかし高校サッカーはこれでよい。観客が求めるのはプロ張りのパーフェクトなプレーではなく、応援団を含めた勝利に対する一途な思いとそれ相応のプレーである。そういう意味ではPK戦までもつれ込んだこの試合は高校サッカーの開幕戦としては非常に相応しいいい試合だったと言えよう。

 勝利をもぎ取った鹿島学園には素直におめでとうを贈る。国立競技場の華やかな開会式の余韻が残るなかという独特の雰囲気に飲まれながらも見事に勝利を掴んだ。勝利のみが求められるトーナメントにおいてこれ以上求めるものはない。ゆっくり体を休めて次の試合に臨んでいただきたい。
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